早期発見で健康寿命の延伸を
骨粗しょう症の予防と治療
西尾久リウマチ整形外科
(荒川区/荒川車庫前駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
骨量が下がり、骨がもろくなることで骨折しやすくなる骨粗しょう症。がんや脳卒中、心筋梗塞などのように直接命に関わる疾患ではないが、骨粗しょう症による骨折から要介護となってしまう人も多く、健康寿命を伸ばすためにはその予防・治療が重要だ。荒川区西尾久で「西尾久リウマチ整形外科」を運営する王興栄院長は、「人生の最後の10年ほどを寝たきりで過ごす原因にもなる骨粗しょう症は、70代、80代となってからのケアでは手遅れ。早めから定期的に検査を受けて備えましょう」と話す。早期からのケアの重要性、予防と治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2021年6月29日)
目次
閉経後の女性や婦人科疾患を持つ人は、年1回の骨粗しょう症検査を
- Q骨粗しょう症の検査はどんな方が受けたほうがいいですか?
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A
▲1度の検査で安心せず、1年に1度、定期的に検査を受けよう
骨粗しょう症は閉経後の女性に多い病気です。明確に何歳から受けるべきといった目安はありませんが、50歳前後で閉経を迎えた女性は年に1回程度定期的に検査を受けることをお勧めします。婦人科系疾患をお持ちの方はホルモンバランスが不安定になり、骨密度が低下しやすい状態に。閉経前に卵巣や子宮の摘出を受けた方、抗がん剤による治療を受けている方などは早めに検査を受けたほうが良いでしょう。男性でも糖尿病や腎臓疾患を持つ方は要注意です。定期的に検査を受けて骨量の変化を把握することが重要になりますので、1度の検査結果で安心することなく、毎年検査を受けましょう。
- Q検査を受けずに放っておくとどうなりますか?
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A
▲早いうちから検査を受け、備えることが大切だと話す王院長
骨粗しょう症により骨の強度が下がると、ちょっとしたつまづきやくしゃみなどの衝撃でも骨折してしまうことも。背骨や脚のつけ根、手首などに骨折が起こりやすいのですが、体の重みで背骨に圧迫骨折が起こると背中や腰が曲がり周囲の骨にも負担がかかります。脚のつけ根を骨折すると、歩行が難しくなり寝たきりになってしまいます。骨粗しょう症は変形性膝関節症や脊柱管狭窄症とともに、ロコモティブシンドロームの三大原因疾患とされています。骨粗しょう症を放っておくことで運動器の衰えが進み、介護が必要となってしまうのです。
- Qこちらのクリニックではどんな検査を行っていますか?
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A
▲DEXA法による検査機器を導入している同院
骨密度の検査は大きく分けて3タイプあります。超音波が骨を伝わる速度などで評価するQUS法とエックス線撮影撮影画像の濃淡などを調べるMD法、そして2種のエックス線を使って測定するDEXA法です。3つのうち最も精密に骨の状態を把握できるのがDEXA法で、骨粗しょう症の診断には、背骨の腰に近い部分と脚のつけ根の2ヵ所での検査が望ましいとされています。当院ではDEXA法による検査機器を導入。問診や採血による骨代謝マーカー検査と合わせて骨粗しょう症を診断しています。
- Qこちらのクリニックではどんな治療をしていますか?
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A
▲各種検査機器もそろえる
治療は投薬が中心となりますが、食事指導や運動指導も組み合わせて行います。薬物療法では骨吸収を抑制するビスホスホネート製剤や骨の生成を促進するため副甲状腺ホルモン製剤、ビタミンD・ビタミンK製剤などに加え、不足しがちな栄養素を補うカルシウム製剤などを用います。骨密度の維持に欠かせないカルシウムは、骨粗しょう症患者では食事で取る分と合わせて1日1000mgの摂取が望ましいとされており、予防のためにも700〜800mg程度は摂取すべきとされています。また、骨は適度な刺激により強くなります。無理のない範囲で生活に運動を取り入れることも大切です。
- Q日々の生活で気をつけることはありますか?
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A
▲バランスの良い食生活や適度な運動も予防につながる
バランスの良い食生活を心がけ、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを積極的に摂取するようにしましょう。乳製品や小魚、納豆などがお勧めです。スナック菓子やインスタント食品を頻繁に食べることやアルコール、カフェインの多飲、喫煙は避けましょう。ウォーキングなど骨に適度な負荷をかける運動もいいですね。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることにより体内でも生成されます。美容目的などでの過度な紫外線対策は避け、適度な日光浴を取り入れましょう。