王 興栄 院長、小宮山 太貴 さん、里中 洋介 さんの独自取材記事
西尾久リウマチ整形外科
(荒川区/荒川車庫前駅)
最終更新日:2025/07/01

荒川区西尾久の住宅街にある「西尾久リウマチ整形外科」。日本リウマチ学会リウマチ専門医および日本整形外科学会整形外科専門医の王興栄(おう・こうえい)院長は、大学病院や関連病院でリウマチ性疾患の診療や研究を行い、留学経験もあるリウマチ分野の専門家。痛みや骨折など整形外科の症状に幅広く対応し、特に関節リウマチや骨粗しょう症についての専門的な診断・治療を行っている。「患者さまの生涯に関わる病気を診るために、身近で通いやすいクリニックを開業しました」と話す王院長。看護師や薬剤師、理学療法士、作業療法士の、各自の専門知識を生かしたチーム医療も同院の強みだ。穏やかで話しやすい雰囲気の王院長と、薬剤師の里中洋介さん、作業療法士の小宮山太貴さんの3人に、同院の特徴などを聞いた。
(取材日2025年4月18日)
子どもから高齢者まで、整形外科の悩みに幅広く対応
こちらではどのような診療が受けられるのでしょうか?

【王院長】リウマチ科と整形外科を併設し、痛みや骨折など整形外科のお悩みに幅広く対応しています。中でも関節リウマチや骨粗しょう症についてはより専門的な診療ができるよう体制を整えました。荒川区はスポーツが盛んな地域ですから、部活動でケガや骨折をした生徒さんや、外傷の治療と再発防止のためにスポーツ整形外科を受診される方もいらっしゃいますね。ご高齢の患者さまも多く、首・肩・腰の痛みや手足のしびれ、骨粗しょう症、運動機能や移動機能が低下した状態であるロコモティブシンドロームなどの早期発見と治療も行っています。理学療法士によるリハビリテーションにも力を入れ、関節リウマチの治療でも必要に応じて運動療法を取り入れています。また最近では、近隣の小学校から子どもの側湾症の検査を依頼されるケースが増えました。
幅広い診療の中でもリウマチの診療に力を入れていると伺いました。
【王院長】私はリウマチ専門医であり、整形外科専門医です。整形外科の疾患の中でもリウマチ分野は少し異質な分野です。私自身が免疫の働きに関心があったことに加えて、リウマチ分野を専門とする恩師との出会いにより、この分野に進もうと決めました。リウマチの専門病院での診療や海外留学を経て、「患者さまにとって身近な場所で医療を提供したい」という思いから、開業の道を選びました。めざすのは患者さまと一緒に病気を治療するクリニック。患者さま一人ひとりに丁寧に向き合い、その気持ちに寄り添いながら治療を進めています。
リウマチ科と整形外科を併設するメリットは何でしょうか?

【王院長】関節リウマチは抗リウマチ薬で基本的な治療をしますが、お薬で症状が軽快または病気が進行しない寛解状態につながっても、関節痛や腰痛が残ったり、腫れた後の手が使いにくかったり、関節リウマチが原因の続発的骨粗しょう症を併発することもあります。そのため、リウマチ科、整形外科とはっきり区切ることができる疾患ではなく、運動器疾患として遅滞なく総合的に治療できるのはリウマチ専門医を持つ整形外科医のアドバンテージだと思います。当院では採血結果などで関節リウマチの炎症の軽快が見込めた患者さまでも関節症状がある方には積極的にリハビリテーションを行います。また、関節リウマチ以外の膠原病は膠原病内科が専門なため、即時に膠原病内科の専門病院へ紹介しております。
エキスパートチームで取り組むリウマチ治療
先生だけでなく、スタッフの方々もリウマチの専門知識をお持ちだそうですね。

【王院長】当院では私だけではなく、看護師をはじめ、理学療法士、作業療法士、また薬剤師も、リウマチに関する専門的な知識を身につけてきました。日々の診療のみならず勉強会や研究会にも積極的に参加しており、病気や治療のこと、患者さまとそのご家族へのケア、リウマチ治療における多職種連携など幅広く学び、スキルアップし続けてくれています。いわばリウマチのエキスパートが協力して行うチーム医療です。中でも特に重要な役割を担うのは看護師です。患者さまと接する時間も長く、他職種との橋渡し役を担っています。患者さまの体調や精神状態を短い時間でくみ取り、私や他のスタッフに的確に伝達してくれています。「医師には話しにくいことも看護師になら話せる」という人も多いので、看護師がパスしてくれる情報は治療の大きな鍵になります。
こちらの看護師さんは先生から見てどんな方ですか?
【王院長】当院にはリウマチ診療に関わる看護師が3人いるのですが、皆が「ここに来て良かった、と思ってもらいたい」という思いを持って診療に携わってくれています。よりハイレベルな医療のために専門知識の習得や研鑽を怠らない姿勢を持っており、とても頼もしいですね。多職種での密な連携が重要ですが、その中心となるのは看護師なので、彼女たちがいなければリウマチの治療は成立しないですね。
リハビリテーションではどのような工夫をしているのでしょうか?

【小宮山さん】日常生活の中で何にお困りなのかを把握するところがスタートです。「歩く」、「文字を書く」、「箸を持つ」などの動作を実際に見せていただきながら改善のためのプログラムを考えていきます。リハビリテーションには理学療法士と作業療法士双方が関わりますが、理学療法士が全身の動きを、作業療法士が細かな指の動きなどを見て連携しながら進めています。リハビリテーションとなると無理して頑張ろうとしてしまう人もいらっしゃいますが、その日の体調によってできる範囲は異なるので、楽な気持ちで受けていただけるようなメニューを組むことを心がけています。
どんな時にやりがいを感じますか?
【小宮山さん】患者さまとのふとした会話の中から問題点に気づくことも多いので、普段の生活についてお聞かせくださったり、信頼して何でも相談してもらえるのはうれしいことですね。また、定期的にレントゲン撮影を行っているのですが、レントゲンでは動かさないほうが良い状態に思えても、実際に動かしてみるとできることもあります。撮影画像の読み取り精度をもっと高めながら、現場の知見を生かしていきたいです。
地域に根差し、信頼される医療の実現をめざす
薬を正しく使えているかの確認も必要になりますね。

【里中さん】近年ではリウマチに対する新たな飲み薬や注射が開発されていますが、患者さまご自身が医師の指示どおりに薬を使えることが重要です。薬をお渡しするだけではなく、「思っていたよりも自己注射がうまくできない」、「冷蔵庫での保管をつい忘れてしまう」など、患者さまの実際の声をしっかり受け止めるのも私たちの役目だと思っています。また、服薬することで口内炎のような軽度なものから間質性肺炎のような重篤な副作用が出ることもありますが、初期症状を見逃さないこと、軽度な副作用で治療を中断してしまうことを防ぐことも私たちの大切な役割だと思っております。「不治の病」というイメージを持たれがちなリウマチですが、専門性の高い治療と適切な薬の処方があれば関節の変形がわかりにくい状態を保てることが望めるようにもなってきました。不安なことがあれば気軽に相談していただきたいです。
先生が診療の際に心がけていることをお聞かせください。
【王院長】当院のロゴマークは「仁」の字をアレンジしたものです。これは、腰かけた人が「二」から立ち上がろうとする姿。患者さまのQOLを維持・向上するために治療を行い、より充実した生活を送っていただけるよう努力する当院の姿勢も表現しています。同じ病気でも、基礎疾患の多い方や高齢の方、不調を抱えながら仕事を続けなくてはならない方、スポーツが原因の障害があってもスポーツをやめられない方など、それぞれ状況は異なります。患者さまを取り巻く家庭や仕事、社会情勢などにも目を配りながら、丁寧に寄り添う診療を心がけています。また、リウマチ性疾患は治療期間が長くかかることが多いため、医師の治療方針や考え方とのマッチングも大切です。すでに治療中の方で転院先を探されている方は、当院を一度訪ねていただければと思います。
最後に、地域の方にメッセージをお願いします。

【王院長】整形外科には、私の専門とするリウマチなどいくつかの分野があります。ゆくゆくはその分野一つ一つを強化して、より専門的な診療を提供していきたいですね。私は「医療の本質は、人と人とのつながりから築かれる信頼関係にある」と信じているんです。人情味あふれるこの地域で、一人ひとりの患者さまに寄り添い信頼される医療を実現できるよう、力を尽くします。