渡辺 享永 院長、渡辺 理恵 副院長の独自取材記事
わたなべクリニック 整形外科・乳腺外科
(大阪市城東区/蒲生四丁目駅)
最終更新日:2021/10/12
大阪メトロ長堀鶴見緑地線・蒲生四丁目駅からすぐ。商店街の入り口に完成したメディカルビルに「わたなべクリニック 整形外科・乳腺外科」が開業したのは2021年5月。医院名が示すとおり、院長の渡辺享永(きょうえい)先生が担当する整形外科と、院長の妻で副院長の渡辺理恵先生が担当する乳腺外科を併科。2つのフロアでそれぞれがスペシャリストならではの医療を展開する。整形外科では、骨粗しょう症への取り組みから透視下でのブロック療法、リハビリテーションまで幅広い医療を展開。一方の乳腺外科では、マンモグラフィやエコーといった乳がん検診をメインとし、女性への手厚いサポートに力を注いでいる。そんな両先生に、新しいクリニックへの思いや方向性などをじっくり聞いてみた。
(取材日2021年6月4日)
整形外科と乳腺外科、双方で良質な医療の提供をめざす
こちらのビルで開業した経緯を教えてください。
【渡辺院長】ここはもともと商業ビルとして計画されていたのが、オーナーさんの意向でメディカルビルになったそうです。私が開業地を探していたタイミングで声をかけていただき、ここならと快諾させてもらいました。私も妻も出身校は愛知医科大学ですが、私は整形外科、妻は乳腺外科と専門が異なるため、開業前は別々の病院に勤務し、私は和泉市の病院で医長、妻は大阪市淀川区の病院で副医長を務めていました。私は医師の資格を取る前から開業をめざしていたので、それぞれの専門を生かし、2本立てでの開業に踏み切ったわけです。
どんなクリニックをめざしましたか?
【渡辺院長】当院は2階に整形外科、3階に整形のリハビリテーション室と乳腺外科というフロア構成です。それぞれの専門の一点に絞って診療を提供していますから、風邪でも腹痛でもなんでも診るということはありません。その分、整形疾患と乳腺疾患に関しては病院レベルの医療が提供できると自負しています。整形に関してはさまざまな新型機器をそろえ、エコー(超音波)やエックス線を用いた透視下ブロック治療、体外衝撃波治療などにも対応しています。また、私は勤務医時代に優秀な理学療法士に出会い、リハビリテーションの重要性を思い知らされました。広いスペースと2人の理学療法士を確保したのは、それをここで実現するためです。
乳腺外科は副院長の担当ですね。
【理恵副院長】私が担当する乳腺外科は、医師の私を含め、受付スタッフも看護師も検査技師も、全員が女性で、いわばここは女性専用のスペースです。いかに皆さんが気兼ねなく検査や診察が受けられるかを考え、プライバシーの確保から検査着までいろいろ工夫しています。設備面では、少しでも多くの皆さんに安心して受診していただきたいと考え、マンモグラフィもエコーも新型の検査機器を用意しました。女性のがん罹患者数で一番多いのが乳がんです。罹患率は年々増加傾向にあり、今は70歳以上の方にも増えています。それに反して受診率は依然として低く、皆さんがもっと気軽に受診できる仕組みが必要だと実感します。乳がんは、早期に見つけて治療をすれば決して怖い病気ではありません。30歳を過ぎたら一度受診していただき、それを機に定期検診を続けてほしいですね。
一人の患者のために何ができるかを考える
骨粗しょう症に関して留意すべきポイントは?
【渡辺院長】社会の高齢化で問題となるのは、いくら寿命が延びても、健康寿命が延びなければ満足に動ける期間がどんどん失われることです。皆さん、血圧や血糖値は結構気にされますが、ご自身の骨密度を一度でも正確に調べたことがあるでしょうか。私はこれまで人工関節や脊椎の圧迫骨折を専門にし、骨折の患者さんも山ほど診てきました。その人の骨密度によって、骨の折れ方が違います。例えば太ももの場合、良い骨質だとパキンと単純に折れますが、骨粗しょう症の方の場合は骨がバラバラになるんです。それで寝たきりになり、人生がすっかり変わってしまう、そんな事態だけは絶対に防がねばなりません。ちなみに骨密度を測るにはさまざまな検査方法がありますが、DEXA法という検査方法がより精度が高いとされ、当院ではより精度の高い検査や治療の提供に努めています。
エックス線透視下でのブロック治療について教えてください。
【渡辺院長】エックス線による透視画像を見ながら、痛みのある部位にブロック注射を打つのが神経根ブロックや股関節ブロックといった治療法で、手術をせずに痛みを取るには非常に有用な方法といえます。にもかかわらず股関節ブロックがあまり普及しないのは、医療者側にとってのコストパフォーマンスが低く、装置を導入しないのが主な理由と考えられます。手術をするかしないかの判断にはタイミングがあり、いくら患者さんが嫌がったとしても、頃合いであれば「よく考えてください」とはっきりお伝えすることが重要です。その患者さんの人生に関わることですから、私たちもしっかり真剣に向き合わねばなりません。
院長がリハビリテーションに力を入れる理由は何ですか?
【渡辺院長】機械だけの物理療法と人の手で行う理学療法がありますが、多くのクリニックではこれまで物理療法のみが主流でした。物理療法は除痛を目的としていますが、それだけで機能の改善は見込めません。痛みを取ることと機能回復は、また別の問題です。物理療法で痛みが緩和し、患部が少し動くようになったとしても、その先の機能改善には理学療法が必要です。これは、数多くの手術を手がけてきた経験から得た私の確信といってもいいでしょう。当院には男性と女性の2人の習熟した理学療法士が常勤していますが、将来的には7人程度に増員したいと思っています。一人の患者さんのために何ができるか、目的や情報を共有しながら、彼らとともにしっかり考えていきたいと思います。
すべての人にハッピーな健康寿命を
整形外科と乳腺外科が併科するメリットはありますか?
【渡辺院長】骨粗しょう症の大きな原因の一つに、男性では加齢、女性では特に閉経後の女性ホルモンの減少があります。ところが乳腺外科では乳がんの術後、女性ホルモンの作用を下げる薬を用いるので、特に閉経後の方は骨密度がどんどん悪化するわけですね。そういう意味では、その下がった骨密度をフォローできる整形外科が同じクリニック内にあることは合理的ではないかと思います。あと、乳がん手術で腋窩リンパ節郭清をした場合は肩関節の拘縮を予防するために、術後早期からリハビリが必要になりますが、それがおろそかになると肩関節の痛みが強くなり動かせなくなってしまいます。そうした方に対しても、当院の整形外科には女性の理学療法士もいますから、できることは積極的にやっていきたいと考えています。
ご夫婦でお仕事をしながら、家事や育児はどうしていますか?
【理恵副院長】私たちには2人の娘がいて、今は3歳と0歳です。日中は幼稚園や保育所に預けていますが、仕事を終えて娘たちの顔を見るのを毎日楽しみにしています。主人には院長としての仕事もありますから、家事は主に私が担当します。でも、子どもの寝かしつけで一緒に寝落ちしてしまったときは、遅く帰宅した主人が残っている家事をやってくれます。
【渡辺院長】家族との時間はすごく大切にしています。妻がいなかったら、たぶん私もここまで来れなかったでしょう。私や家族のことも常に考えてくれますし、おかげで私も強い意志で仕事に向かっていくことができます。出産と育児、転職、開業に新型コロナウイルス感染症の流行まで重なった大変な1年間でしたが、何年かたって「あの頃が一番大変だったね」と笑い合えるように頑張ろうと思います。
最後に読者へ向けたメッセージをお願いします。
【理恵副院長】まずは他人事と思わずに、女性なら一度は乳がん検診を受けて、早期発見、早期治療でハッピーな人生を送っていただきたいと思います。昔とは違って、今はよほどの必要がない限り大がかりな手術にはなりません。調べないことのほうがずっと怖いですから、ぜひ勇気を出して検診にいらしてくださいね。
【渡辺院長】健康でなければ、いかに長寿でも意味がないと私たちは考えます。私の目標は、この城東区内の骨粗しょう症をゼロにすること。つまり未治療の方をなくすことです。骨粗しょう症も乳がんも、悪くなってから調べたのでは遅いんですね。整形外科は地域密着で、乳腺外科はさらに広範囲の皆さんに対して、それぞれここがベストチョイスと思っていただけるよう、しっかりとサポートをさせていただきますので、ぜひ期待してください。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診(自費診療の場合)
視触診+超音波検査 6600円
視触診+マンモグラフィ 7700円
視触診+マンモグラフィ+超音波検査 11000円