岩橋 利彦 院長の独自取材記事
いわはしクリニック
(大阪市都島区/野江内代駅)
最終更新日:2024/09/19
「いわはしクリニック」は、大阪メトロ谷町線・野江内代駅から徒歩3分の城北筋に面した一角にある。岩橋利彦院長は長年、大阪各地の中核病院で手術を中心とした耳鼻咽喉科診療に携わってきたが、「患者さんにとってより身近な存在になりたい」と開院を決意した。開院後は、中耳炎や副鼻腔炎といった一般的な耳鼻咽喉科疾患の診療に加え、発声や嚥下、言葉の遅れ、発達障害など専門性の高い分野の検査や治療、リハビリテーションを提供している。2024年4月より小児科を開設し、耳鼻咽喉科と小児科それぞれ専門とする医師を迎えて2科体制での診療をスタートさせた。取材では岩橋院長に診療内容や2科の連携について聞いた。
(取材日2024年6月11日)
専門性の高い耳鼻咽喉科診療こそ「クリニック」で
開院の経緯や岩橋院長のご経歴を教えてください。
勤務医時代には、音声や嚥下、気道の分野を専門として難病の重症症例に対する手術を数多く行っていました。耳や鼻の手術なども含めて幅広く対応していましたが、徐々に地域に根差した外来診療の重要性を感じるようになり、これまでの経験を生かした専門性の高いチーム医療ができる耳鼻咽喉科のクリニックを立ち上げることにしました。2024年4月から耳鼻咽喉科に加えて小児科も設けて2科併設にしたのは、診療していく中でお子さんの受診が多くなり、小児科の医師の協力が必要だと感じるケースが出てきたからですね。患者さんのために小児科分野もしっかり診ていきたいと考えました。
院内の設備や内装で工夫されていることはありますか?
感染症対策には特に力を入れています。常時換気システムや複数の空気清浄機を備え、院内が過度に混雑しないようウェブ予約や自動精算機を導入しています。発熱の患者さんが来院された場合は、待合室とは離れた隔離室にご案内しています。また、ご家族でも安心して使えるようにトイレは空間を広くして、大人用と子ども用の便器やおむつ交換台、ベビーチェアを備えた親子トイレにしています。医療面では、専門的な診療を提供するため、リハビリ室や親子で入れる広い聴力検査室を用意しています。その他、耳鼻咽喉科用のCTや耳用硬性内視鏡、聴力検査装置、ファイバースコープ、めまい診断に使う重心動揺計、注射を使わずに指先からの微量採血でアレルギーや血液の検査が行える機器など、先進的な機器をそろえています。小児科には広めのキッズスペースを設けました。
診療内容について詳しく教えてください。
耳鼻咽喉科の分野である耳、鼻、喉の病気や小児科分野の診療など、手術を必要としない治療にはなるべくすべてに対応したいと考えています。主訴としてはお子さんの場合、風邪に伴う中耳炎や副鼻腔炎、花粉症などのアレルギー症状のご相談が多いですね。大人の方はそれらに加えてめまいや外耳炎、喉の違和感、顔面神経麻痺などです。ご高齢になると耳が遠くなった、むせる、飲み込みにくいというご相談が増えます。耳が聞こえにくい患者さんに対しては、医師、言語聴覚士、認定補聴器技能者の3者が連携する補聴器の外来を行っています。他にも睡眠時無呼吸症候群に対する検査や治療、ダニアレルギーやスギ花粉症に対する舌下免疫療法などにも対応しています。言葉の遅れが気になる、声が詰まる・出しにくい、発達が気になるといった専門的な知識や検査が必要になる診療も行っています。
2科体制でますます広がる診療の幅
専門的な治療が必要で、患者さんが多い病気はありますか?
お子さんの場合だと、言葉の遅れですね。聴力の問題により言葉に影響が出てしまうことがありますので、当院では他覚的に評価できる聴力検査機器を備えている他、落ち着きがない、こだわりが強いなど発達の問題が疑われる場合には発達評価を実施できますので、少しでも気になる際はぜひご相談ください。大人の方では、声がかすれる、声が出にくいなどの音声障害が多いです。声帯にポリープや結節ができている場合や、そういった器質的要因がないのに声が出にくい機能性発声障害など、原因が多岐にわたるので詳しい評価を行う必要があります。ご高齢の方では、補聴器を要するような難聴で相談に来られる方が多く専門的な診療が必要な分野です。どの分野においても適宜、小児科医や言語聴覚士、臨床心理士、認定補聴器技能者と連携を取りながらチームとして専門的な医療を提供できる体制を整えています。
日常疾患から専門的なものまで、さまざまな患者さんが訪れるのですね
そうですね。平日は診療開始時間が早く、土曜日も診ているため、気軽に受診しやすいことが当院の特徴の一つだと思います。例えば小さなお子さんの場合、鼻水を吸ったり耳垢を取ったりといった些細なことでも受診していただき、皆さまの安心につなげていただけたらうれしいです。また、時間を要する補聴器適合検査やリハビリ、発達検査、カウンセリングは予約制なので患者さんの都合に合う時間帯で落ち着いた環境の中で受けてもらえます。言語聴覚士が4人在籍して、臨床心理士もいる耳鼻咽喉科のクリニックは非常に少ないので、その良さを生かしていきたいですね。
2科併設のメリットは、どんなところにありますか?
耳鼻咽喉科と小児科は、診療内容が重なる部分もある一方で、まったく重ならない部分もあります。だからこそ、それぞれを専門とする医師が情報を共有し、意思疎通をしながら一人の患者さんを診ていけるというのは、患者さんと医師の双方にとってメリットになると思います。また、小児科と耳鼻咽喉科を同日受診する場合、スムーズに診療できるのも強みです。例えば診療の結果、原因が小児科の診療だけでは判断が難しいお子さんの場合、すぐに耳鼻咽喉科の医師が診察することができます。医師として「改めて他の場所のクリニックを受診してください」とお伝えするのは心苦しいですからね。
目に見えるわかりやすい説明を大切に
診療の際に心がけていることはありますか?
専門的な病気も診ていますので、聞き慣れない病名をお伝えする際はできるだけ簡単な言葉に置き換え、理解してもらいやすい説明を意識しています。当院で扱う病気の多くは、患者さんご本人には患部が見えません。加えて経過を細かく診ていく必要があり、通院回数を重ねていただく病気もあります。そこで治療やリハビリへの理解と意欲を高めてもらうために、現在の状態を内視鏡画像などでお見せしたり、リハビリの結果や進捗状況を数値化したりして、わかりやすい説明に努めています。また、お子さんの場合では「自分では説明できないけれど、とてもつらい」という訴えを、診療で拾い上げられるよう心がけています。さらに親御さんの「うまく言えないけれど、いつもと子どもの様子が違う」という感覚も大事にしています。経験上そういうときには容態の急変が起こる可能性もありますので、普段から身近で接している方の目線を重要視しています。
他の医療機関との連携について、方針をお聞かせください。
病院や他のクリニックとの連携も密に行っていきたいと考えています。めまいの診療などでは神経内科や脳神経外科と連携する機会も多いですからね。近隣の病院だと大阪市立総合医療センターや北野病院、大阪旭こども病院、大阪府済生会野江病院、大手前病院などと主に連携しています。それから中核病院を受診されていて基礎疾患をお持ちの患者さんのサポートも、できる限りお受けしたいと考えています。引き続き、当院の強みを生かした各医療機関との連携にも積極的に取り組んでいきます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
当院は病院のような専門性の高いチーム医療のできる診療環境と、クリニックならではの受診しやすさや心の距離の近さを大事にしています。患者さんとの関係を深め、風邪症候群や、それに伴う中耳炎、副鼻腔炎などの一般的な疾患に対する丁寧な診療に加えて、言葉の遅れが気になる、発達が気になる、声が出しにくい、耳が聞こえにくいといったご相談に対しては専門的な治療へとつなげていきます。お子さんの場合は、症状から「耳鼻咽喉科と小児科、どちらの科を受診するのがベストか」と悩まれることもあるかと思います。当院に来てもらえれば、適宜どちらの科が良いか判断し、連携して診療しますので気軽にお越しください。また、小児科で予防接種や乳児健診を受ける際にも、夜尿や便秘など、ちょっとした悩みも相談していただけたらと思っています。今後も高い専門性を保ちつつ、小さなお子さんから年配の方まで受診しやすいクリニックをめざしていきます。