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呉島 誠 院長の独自取材記事

まこと脳神経外科クリニック

(北九州市小倉北区/城野駅)

最終更新日:2021/04/30

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JR城野駅から徒歩3分の場所にある「まこと脳神経外科クリニック」は、呉島誠院長が2021年4月に開業したばかりのクリニックだ。脳神経外科と整形外科が並ぶという独自性をもつ同院は、めまい、頭痛、認知症、交通事故によるけがに対し専門的な治療を提供している。中でも認知症の治療では、院内でのリハビリテーションと社会交流も重視し症状の進行を食い止める狙いもあるという。「大切なのは患者さんとの対話。何が原因なのか、何を解決したいのかをしっかり見極めることが治療の第一歩です」と快活な口調で話す呉島院長に、治療スタンスや具体的な治療方法、今後の展望などを聞いた。
(取材日2021年4月24日)

めまい・頭痛・認知症治療を柱に、リハビリも導入

先生が医師をめざしたきっかけ、これまでの経緯などをお聞かせください。

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祖父が中学生の時に亡くなり、その時に医師になろうと決めました。実家は山口県ですが、弘前大学に進んだのは、遠くに行ってみたいという興味からでした。気候も言葉もまったく違う場所で勉強できたのはいい経験になりましたよ。大学卒業後は広島大学病院の脳神経外科に入りました。その後はいくつかの病院で勤務医として勤めましたが、大きな転機になったのが、北九州総合病院で認知症を専門的に診る外来の担当になったこと。これによって急患対応の他、カテーテル治療などの手術に加え、認知症の治療も行うようになったんです。

こちらのクリニックが脳神経外科と整形外科を併設しているのはどういった経緯からでしょうか?

開業のタイミングを考えていた時に、たまたまこちらの整形外科の先生が、年齢的な理由もあり閉院されるというお話を伺いました。JR城野駅から徒歩3分ほどとアクセスも良く、何より大きなリハビリルームがとても魅力的でした。認知症の患者さんというのは、年齢的にも腰痛や膝の痛みなどで整形外科に通っている方も多いのです。手間を減らしたいというニーズにも応えられるし、認知症の方のためのリハビリ、デイケアなども将来的に行いたいと思っていたので、本当に理想的な場所だと感じました。整形外科の先生に「残って一緒にやりませんか?」とお声がけをするとすぐに快諾いただき、今は2人体制で診療を行ってます。

それでこのようなユニークな診療体制になったのですね。

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当院が柱にしているのは、慢性的な「頭痛」、「認知症」、「めまい」、そして「交通事故によるけが」の4つです。頭痛、物忘れや認知症、めまいの診療を私が担当し、むちうちや骨折など交通事故に関する治療を整形外科の先生に担当いただいています。中でも頭痛と物忘れのご相談はとても多いですね。当院ではMRIやエックス線機器も備えていますから、病院と変わらず安心して治療に来てくださっているのだろうと感じています。

患者だけではなく、周囲の人々の課題も解決していく

患者層や、先生が診察で心がけている点などについてお聞かせください。

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頭痛は、「何年も薬を飲んでいるけれど治らない」という慢性的で症状の重い方が多いです。まずMRIで画像診断をし、その後お薬の指導を行います。頭痛は市販薬を飲めば治る、と思い込んでいる人も多いですが、3ヵ月以上の服薬になると服薬で頭痛が誘発されることもあるんです。なのでまずは頭痛薬の飲み方の指導をしっかり行います。30〜40代の方が多い印象ですが、中には10代で親御さんが連れてくるケースもありますよ。めまいの年齢層も幅広いですが、40代以上が特に多い印象です。MRIがあるので、「急に起こっためまいを診てほしい」という患者さんにも対応できます。いずれも「どうしてその症状になったのか」という生活背景や環境といった原因を、対話を通じてしっかり見極める点を大切にしています。

認知症の治療には、どのような特徴がありますか?

北九州総合病院の頃は、新患の方だけでも数多くの方を診ていました。そこから引き続き通ってくださる方も多く、認知症の治療が当院では一番多いですね。認知症の治療ではご本人への治療も当然ながら、ご家族へのアドバイスも重要です。家族である患者さんにどう接すればいいのか、公的にどういうサービスがありどのように活用していけば家族の負担が減るのか。そういった相談は実に多いのです。当院の理念に「生活の中で困っている患者さんを助ける」という点を掲げていますが、この困っている人というのは患者さんだけではないのです。そのご家族や周りの方も含まれているんですよ。

では認知症の治療では、ご家族も一緒にいらっしゃるのですね。

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できるだけそうしてほしいとお伝えしています。認知症の治療は薬を出すだけではないのです。もちろん最初は問診をし、診断をつけます。認知症も種類によっては治療が変わるので、そこはしっかりと行います。他にもMRI、認知機能検査などを行い、薬物によるアプローチをどのように行っていくか、リハビリをどうするかなどを提案していきますが、そこに付随している「周囲の困り事」を一緒に改善していくのが大事なんです。ご家族とも時間をかけてじっくり対話をしながら、家族として患者さんのどのような行動に困っているのか、それをどう解決してほしいのかなど課題を洗い出し、ならばケアマネジャーさんにつなぎましょう、介護サービスを利用してみましょうなどの提案を行います。抱えている課題を解決することで皆さんがより良く生活できることが、認知症の治療で最も大切な部分なのだと思っています。

社会交流が重要と捉え、デイケアなどにも取り組む予定

ご家族の負担を減らすことが、認知症の治療ではとても重要なのですね。

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もちろんです。頑なに「家で見ます」とおっしゃる方もおられますが、正直疲弊することは避けられません。ですからなるべく早い段階から、介護保険サービスに頼りましょうと声をかけます。申請方法などわからないことがあればきちんと説明しています。認知症という病気はがんなどと違って、病巣を取り除けば治癒が見込めるというものではありません。また認知症は早期の治療が肝心です。早いほど対処方法も多いですし、遅いほど治療の選択肢が狭まります。前もって行動しておくことが、進行の抑制にもつながります。脳神経外科は患者さんやご家族の心理的ハードルが低いのか、まだはっきりとした症状の少ない、いわゆるグレーゾーンの方でも来院しやすいようです。

具体的に認知症の治療ではどのような工夫を行っていますか?

例えば、今日の日付や曜日、ご飯を食べたこと、友人と話をしたことなどを忘れてしまう短期記憶障害であれば、メモ帳やスマホなどの媒体に記録を残しておくことで、ほとんど問題なく生活ができるかと思います。漫然と薬を処方するのではなく、「どうすれば生活しやすくなるか?」という点を患者さんやご家族と一緒に考え、実際に行動に移すことが非常に大切です。特にこの方法はグレーゾーンの方にお勧めで、症状の進行抑制にも役立ちます。また、その方々にとって欠かせないものの一つに社会交流があります。そのためにも診察後はスタッフと会話をしながらリハビリをするなどの工夫を取り入れています。これが整形外科を併設している、当院ならではの強み。認知症は、慣れたことしかしないから進行するとも考えられます。新しいことを能動的にやることがとても重要で、80代の方にも「スマホを使ってみましょうよ」などとお声がけすることもありますよ。

今後も、リハビリを組み合わせた治療にさらに取り組んでいかれるのですね。

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今は新型コロナウイルスの問題もあり一旦中止しているのですが、以前の病院で行っていた認知症予防のための講習やリハビリ治療をできる限り早く再開したいです。講習では薬剤師や栄養士、リハビリ担当者などとともに運動や食事指導を行います。皆さんが交流を深めることで認知症の進行を抑えながら、患者さん同士の憩いの場にもなるのではないかと思うんです。インターネットの普及によって情報は氾濫していますが、その情報がその患者さんに本当に合うかどうかは、まったくの別問題。だからこそ、私たち専門家に遠慮なく尋ねてほしいんです。頭痛、めまい、物忘れや認知症、交通事故によるけが、いずれであっても気軽に質問していただければ、必ず何らかの提案ができます。敷居が高い場所とは思わず、どうか最初の一歩を踏み出してください。たった1回の受診でも改善の糸口が見つかることもありますから、その機会をぜひ得てほしいと、強く思っています。

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