岩井 秀憲 院長の独自取材記事
福岡 泌尿器・リプロクリニック
(福岡市中央区/天神南駅)
最終更新日:2024/02/29
天神駅から徒歩約2分というアクセスに恵まれた場所にある「福岡 泌尿器・リプロクリニック」。2021年に開業し、男性不妊治療に特化した医院として、子どもができない悩みを抱える多くの患者に寄り添った先進的な医療を提供している。院長の岩井秀憲先生は、九州大学病院や九州医療センターなどで研鑽を積んだ後、東邦大学で男性不妊の専門性を深めた生殖医療のスペシャリスト。「日本では不妊症で悩む男性が少なくないにもかかわらず、どこの病院に行ったら良いのかわからない方がほとんどなのが現状です。科学的かつ専門的な不妊治療で、そうした方々の悩みを解決するのが私たちの使命だと考えています」と言い切る岩井先生に、医院のコンセプトや診療の特徴などについて聞いた。
(取材日2021年4月20日/情報更新日2024年2月22日)
不妊で悩む男性が気軽に受診できる医院をめざす
まずは開業の経緯からお伺いします。
泌尿器科の医師として臨床の現場に立ち、10年以上たった頃、私自身が不妊症を経験。複数の病院を受診するも診断はまちまちで、原因は結局はっきりしませんでした。それなら自分で勉強して生涯を生殖医療に捧げ、不妊のことを誰にも相談できずに悩む男性たちを救おうと決意したのです。そして、先進の不妊治療を行っていることで知られる、東邦大学に付属の病院で専門性を深めました。その後、約30年以上の歴史がある原三信病院の不妊の外来で診療に従事。日々、仕事をする中で不妊の悩みを持つ方の多さを肌で感じ、もっと不妊治療の敷居を下げ、気兼ねなく受診できる身近な医院をつくりたいと思い、開業を決断しました。
医院の特徴を教えていただけますか?
当院の理念は、不妊治療の経験者でなければわからない繊細な対応のできる医療の提供。デリケートな悩みであるため、なかなか病院に足を運べないという方でも気軽に受診できるようオンライン診療に対応し、検査結果の説明はメールで行うこともできます。受診予約は、スマートフォンやパソコンから簡単に受付可能。予約をせずに飛び込みで来られる方も診察していますが、日によってはお待たせしてしまうことも。そのため、できる限り待ち時間を有効に使ってもらえるようにと、初診時は症状の説明を動画でご覧いただけるようにしています。診療はできる限り保険適用の範囲内で行い、費用の負担を軽減できるよう努めています。天神駅から近い立地でアクセスが良く、患者さんが仕事帰りに来院できるよう夜21時まで診療を提供しているのも特徴です。
泌尿器科を専門にされたきっかけは何ですか?
研修医時代は、救急科と婦人科と泌尿器科で、どれを専門にしようか考えていました。病院では救急科は花形。泌尿器科は、内科や外科に比べると割とマイナーな科であることは間違いありません。しかし、泌尿器科の領域である膀胱がんや腎がんは命に直結するリスクが高いのも事実。胃がんや肺がんと同じように専門的な治療が必要であるにもかかわらず、当時臨床現場で研鑽を積む中で、その知見のある医師が相対的に少ない現実を改めて実感しました。人がやらないなら自分がやろう。そんな意識が高まり、泌尿器科を専攻しようと決めました。
男性不妊に特化し、科学的かつ専門的な治療を提供
男性不妊の原因について教えてください。
不妊で悩む男性の3割は精索静脈瘤のある方だと言われています。これは精巣の近くにある静脈の血液が逆流し、その静脈がこぶのようになってしまう病気です。そうなると血流の悪化や体温の上昇などが起こり、精巣機能の低下を招いてしまいます。1人目の子どもは適切に妊娠できたにも関わらず、次の子どもがなかなかできない、いわゆる2人目不妊の多くはこの病気が原因であるともいわれています。また、白血病の抗がん剤治療によって不妊を招くケースもあります。その他、遺伝子異常や射精障害、勃起障害、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな要因が不妊に影響することがわかってきています。
日本の男性不妊治療についてどうお感じですか?
まず、男性不妊治療を専門的に行える医師の数はかなり少ないのが現状です。さらに、女性不妊は婦人科という社会通念はありますが、男性不妊はどの診療科を受診すればいいかわからない方がほとんどだと思います。世の中に出回っている情報が少ないため、有用な治療法があるにもかかわらず、子づくりを諦めてしまっている方も少なくありません。しかし、実際はそういう方でも子どもを授かれる可能性があります。そこで当院では、積極的にインターネットを使った情報発信を行い、不妊で悩む男性が適切な治療を受けられるよう力を尽くしています。
こちらではどういった不妊治療が受けられますか?
まず、不妊に関する代表的な検査は、血液検査、精巣や腹部のエコー検査で、こちらはすべて保険適用内で受けられます。先ほどふれた精索静脈瘤は、手術による治療になります。当院では、高精細・高倍率の先進的な機能を備えたマイクロスコープを使用し、安全性に配慮した精密な手術が可能です。一般的には局所麻酔での手術ですが、痛みに配慮した診療を全体的な方針としている当院では全身麻酔による手術を行い、基本的に日帰りで受けられます。無精子症の方にはTESEという治療を提供しています。これは精巣を切開した後、高倍率顕微鏡で精子のいる可能性の高い箇所から精子を採取して、顕微授精をめざす方法です。精子がないと諦めていた方でも、ぜひ一度ご相談ください。
頻尿をはじめとする泌尿器に関する悩みにも幅広く対応
一般泌尿器科で気になる主訴は何ですか?
勤務医時代は、膀胱がんや前立腺がんといった悪性腫瘍疾患の診療を多く経験しました。その専門性を生かして、開業後もがんの早期発見や、治療後の経過観察に力を尽くしています。過活動膀胱や前立腺肥大症などによる頻尿の治療も専門的に行っています。1日に7~10回以上の排尿や、夜中に2回以上トイレに行くというときは頻尿と診断できますが、治療においては投薬が有用です。また、尿管結石や急性膀胱炎、急性腎盂炎といった泌尿器科疾患にも幅広く対応しています。
医師を志したきっかけや仕事のやりがいを教えてください。
私は、両親ともに医師という家庭で育ちました。父は外科で、母は麻酔科の医師。2人は開業医として昼夜問わずに働き、そんな姿を見て医師に憧れを持つように。困っている人のために力を尽くす仕事に大きな意義を感じたのも後押しとなりました。もともと私は、誰かが悩んでいるなら手を差し伸べる、知らないことがあるなら教えてあげる、言いにくいことがあるなら言いやすい環境をつくる、そんなふうに考える性格なので今の仕事はとても自分に合っていると感じています。これまでには、情報不足により10年以上不妊で悩んでいた方が受診されたこともありました。適切な治療で、そんな患者さんから、子どもができたと報告があった時に、特にやりがいを感じますね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
不妊治療は女性のもの。そんな先入観を持ち、医療機関を受診しない男性はまだまだ多いと思います。しかし、不妊の半数ほどは男性が原因であるというデータもあります。検査は簡単ですぐに結果が出るので、なかなか子どもができないと悩んでおられる男性の方は、まずは泌尿器科を受診してください。ご結婚前に生殖機能が正常であるかを確かめることを目的に受診される方もいらっしゃいます。昨今は、さまざまな治療法がありますので、ぜひお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは勃起障害に対する陰茎注射/5500円~
精子凍結保存/5500円~