別府 孝浩 理事長の独自取材記事
べっぷ内科クリニック
(糸島市/筑前前原駅)
最終更新日:2023/11/22
糸島富士の可也山の麓、志摩中央公園前バス停から徒歩5分。糸島市役所志摩庁舎そばの大型ショッピングモールの敷地内にクリニックを構える「べっぷ内科クリニック」。2021年2月1日に開院したクリニックだ。一般内科から消化器内科、内視鏡内科の診療経験の豊富な別府孝浩先生が理事長を務める。地域のかかりつけ医として一般内科の診療はもちろん、健康面での相談も積極的に受けている。さらに、別府理事長のこれまでの知見や経験を生かした苦痛に配慮した内視鏡検査や消化器内科の治療を提供。別府理事長から同院の特徴や治療に対する考え方、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2023年2月15日)
病名にとらわれず症状のつながりを見た丁寧な治療を
開業から2年ほどたつとのことですが、今どんな患者さんが多いですか?
お子さんから年配の方まで年齢層が幅広く、主訴もさまざまです。当院が標榜しているのは消化器内科で、上部・下部内視鏡検査、つまり胃カメラや大腸カメラも行っているので、胃腸の症状などはもちろんですが、花粉症で起きる目のかゆみや、農作業などで生じる膝の痛みなどの相談もあります。内科は頭のてっぺんからつま先まで全身を診る科なのでこれらの症状にももちろん対応しますが、専門的な治療や医師の診断が必要だと考えられる場合は、信頼できる先生をご紹介します。紹介先は私自身も診てもらったことがある先生も含まれていて、「医師が信頼している医師」であれば患者さんも安心してくださるでしょうし、「紹介してくれた先生、すごく良かったですよ」などの声をもらえたらホッとしますね。
最近では生活習慣病の相談も多いとか。
高血圧、高脂血症、糖尿病、高尿酸血症、脂肪肝などの相談は非常に多いです。これは当院だけではなく全国的に見ても増加傾向にあり、これからはいかに生活習慣病の患者さんを治療していくか、もしくは予防できるかが大事なのだと感じています。生活習慣病改善の大きな柱になるのは食事療法と運動療法ですが、この2つは私の専門である消化器内科、その中でも大腸がんにも大きく関係するもの。なので大腸がんは生活習慣病の一つとも言える、と私は考えています。生活習慣病は定期的な通院でそれぞれの数値の変化をきちんと見ていくのが大事ですが、患者さんの訴えや症状、またはまったく内視鏡検査をしたことがないという方には、内視鏡検査を並行してお勧めし、全身の症状の関連性を加味しながら治療を提案していきます。
大腸がんも生活習慣病も、初期は自覚症状がない疾患ですね。
いずれもかなり進行しなければはっきりとした症状は現れません。だから健康診断や、クリニックでの定期的な検査が大事なのです。生活習慣病だから、消化器の症状だからと線引きをせず、気になる症状があれば何でも相談していただくと良いと思います。例えば、胃のむかつきや喉の詰まり感などを訴える方が上部内視鏡検査(胃カメラ)を受けると、逆流性食道炎が見つかることもあります。原因はさまざまですが、一つに肥満も考えられます。腹部の脂肪が増えると胃が圧迫され、それが逆流性食道炎を引き起こすのです。便秘もそうで、ガスがたまるとこちらも消化器が圧迫され、逆流性食道炎につながるようなのです。
会話をもとに、一人ひとりに具体的な改善方法を提案
内視鏡検査は成人しか受けられないのでしょうか?
ある程度成長したお子さんであれば小学生でも可能です。たまに小児科からの紹介で大腸内視鏡検査を受けに来られるお子さんもおられますよ。血便や腹痛が主訴の多くですが、血便の場合のほとんどは内痔核のことが多いですね。しかし中にはお子さん特有の疾患である若年性ポリープ、10〜20代で発症しやすい潰瘍性大腸炎、クローン病などが見つかることもあるので、小児科などで原因がわからない、小児科の先生から内視鏡検査をお勧めされたという親御さんは、ぜひ大腸内視鏡検査を活用していただければと思います。年齢を問わず初めて受ける患者さんも多いのですが、「予想よりキツくないのでまた受けます」「原因がわかって治療に入れるので受けて良かったです!」と納得していただき、患者さんの心がスッキリするよう努めています。
先生が診察時に心がけていることは何でしょうか?
大人の方の場合、職業をまずお伺いします。デスクワークなのか、立ち仕事なのか。規則的な時間に出勤するのか、夜勤などがあるのか。忙しさはどうなのか。そうするとその方の詳しい症状や、日常的にどんなストレスにさらされているのかが見えてくることもあるので、患者さんのお話を聞くことはとても大事なことだと考えています。もちろん前述したような食生活や運動も大事なので、アルコール歴や量、喫煙、睡眠についてもお伺いしますよ。というのも、患者さんによって適切な食事、運動はそれぞれ違います。例えばこの糸島には漁師さんや農家さんも多く、その中には膝や腰を痛めている方も多くおられます。となると、ウォーキングだと膝痛をさらに悪化させてしまう恐れも考えられるので、それを加味した提案が必要になるのです。
患者さんお一人お一人に合った運動や食事をアドバイスされるのですね。
当院にはヨガやピラティスの講師をしている方、ラガーマンやランナーの方もいらっしゃいますが、その方たちと普段運動をしない方では体がまったく違います。運動をしない方でも標準体重に近い方と肥満気味の方では、3キロの減量がもたらすものも大きく異なりますよね。無理に運動を行わずとも、ストレッチを行うだけでも体は十分変わるでしょう。痛みが強くて運動が難しい場合などは食事療法をメインに行うこともあります。そうやって起きる変化を月に1回ほどの診察でつぶさに見ながら、自然と服用するお薬を減らしていけると良いのではないかと思いますよ。
医療機関でもあっても人と人との出会いを大切に
先生もスポーツが大好きだと伺いました。
この糸島は海、山、川がぎゅっと近くにある、非常に魅力的な土地です。ランニングチームをつくっているのでメンバーと一緒に走ることもありますし、先日は大阪で勉強会があったのでそこでも走ってきましたし、フルマラソンにも参加する予定です。医師が「運動するように」と言っているのに何もしていないというのは避けたいですし、患者さんとも運動の話題だけではなく、ほかの趣味である音楽などの話で盛り上がることも多いんです。前述したようにフラダンスやヨガ教室の先生が患者さんとしていらっしゃることもあって、今度開院2周年の感謝でハワイアンフラのイベントを企画しています。さらにすぐ近くの志摩中央公園でヨガ教室を行うなどの企画も考えています。
患者さんとともに、健康につながる企画を考えておられるのですね。
今後はこういったイベントを増やしていきたいですね。イベントをきっかけに健康や運動に興味を持つ方が増えればと思っています。それに患者さんには本当に素晴らしい方が多く、私もまだまだ負けていられないなと思うことがとても多いんです。なので本当にこの場所で開業して良かったと思っています。また当院は新型コロナウイルス感染症の非常事態宣言の中で開院しました。そのため院内の感染症対策に力を入れており、手術室の天井に埋め込むような大型の空気清浄機を3台、待合室、診察室、内視鏡室に完備し、24時間の換気と合わせて院内の空気を常時きれいな状態に保つようにして、患者さんやご家族が安心して受診していただける環境づくりをしています。当日のインターネットでの予約システムも導入し、院内が混み合わないような配慮もしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
医療機関に通うということは、少し勇気や決断のいることだと思います。だからこそ、少しでも体調がおかしいなと思ったときに気軽に相談できる相手になりたいと思って、この糸島の地で開業をしました。「べっぷ内科クリニックに行けば、きちんと診てもらえる」と言っていただけるように、これからも日々目の前の患者さんに向き合って診療を行っていきます。どんなに小さなことであっても「内科の先生に相談してもいいのかな?」「こんな話をしてもいいのかな?」などと悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。皆さんの心と体がともに健康になるように、さまざまなサポートができればと思います。