弁膜症、心不全、不整脈など
糖尿病の関連と運動の必要性について
もんでん内科ハートクリニック
(福岡市博多区/竹下駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
新型コロナウイルスは、今なお私たちにさまざまな影響を与えている。在宅ワークなど生活様式が劇的に変化する中で、運動不足を感じている人も多い。中にはふいに運動した際に起こる動悸などに、心不全、不整脈、心臓弁膜症などといった心臓の病気が脳裏をよぎる人も。「これら心臓の症状は生活習慣病とされていて、中でも糖尿病がその危険因子となっていることも多い。いずれも客観的な医学的根拠を持って治療にあたることが大切」と語るのは、「もんでん内科ハートクリニック」の門田欣也院長だ。同院では心エコー検査のほか、最長7日間の心電図を連続記録するホルター心電図などを用いて患者の症状を見極めていく。今回はそれぞれの症状や治療法のほか、心疾患の危険因子である糖尿病の治療についても話を聞いた。
(取材日2020年10月14日)
目次
心疾患の治療には正確な診断が不可欠。ホルター心電図や運動負荷検査で、医学的根拠に基づく医療を提供
- Q心不全や心臓弁膜症には、どういった対応をされていますか?
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A
▲循環器での研鑽を積んだ院長が行うエコー検査
最近よく聞くようになった弁膜症ですが、症状には3つの特徴があります。「狭心症のように胸が締めつけられる」「手足がむくんだり運動時に息切れがする」「急に意識がなくなり失神する」。これらの症状があればすぐに手術をお勧めする場合もあります。福岡市内では九州大学病院などで弁膜症のカテーテル手術が可能で、入院期間も短く、早期にリハビリテーションを始められることも多いため、高齢者でも受けやすいメリットがあります。術後のフォローを行うのが当院のような地域のクリニックです。心不全や弁膜症も生活習慣の改善が重要ですから、服薬のほか、エコーでの定期的な検査を行い、食事や運動療法を取り入れながら経過を見ていきます。
- Q不整脈による体への影響、その治療法などをお聞かせください。
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A
▲画面上で不整脈のグラフを見せながらわかりやすく説明する
一部の不整脈は突然死や脳梗塞の原因になり得るため、「不整脈が起きる時に別の症状がないか」に注意することをお勧めしています。不整脈が原因で心臓のポンプ機能が低下することがありますが、他に不整脈の原因となる病気が隠れていないか、しっかり判断することも重要です。例えば同時に胸の痛みを感じるのであれば狭心症を疑います。ホルター心電図といって24時間~7日間連続記録可能な心電図をつけ、判断を行うこともありますし、運動負荷検査を行うこともあります。意識障害がある場合は高度専門医療が可能な病院を紹介する場合もあります。いずれにせよ「なぜ不整脈が起きるのか」を考え、それに対する適切な治療を行うことが大切です。
- Q心疾患の危険因子ともなる糖尿病についても教えてください。
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A
▲インスリン注射の使い方もわかりやすく丁寧に指導
糖尿病には1型と2型があります。1型はインスリンが分泌されなくなる病気なのでインスリン注射は不可避です。2型の場合、飲み薬では効きが悪かったり、副作用が出ることがあるため、糖尿病歴が短い患者さんですと、短期間のインスリン注射で血糖値を下げ、内服薬が効きやすい状態にすることもあります。一方、病歴が長い患者さんは、長い間飲み薬で対応していて膵臓の働きが弱ってしまい、服薬だけでは血糖コントロールが難しくなって、インスリン注射が必要になることがあります。2型の場合は飲み薬でコントロールできればインスリン注射をやめることができます。注射は必ずしも最終的な手段とは限らないことを理解しておくと良いでしょう。
- Q疲れやすいと感じるとき、心疾患の可能性もあるのでしょうか。
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A
▲些細なしぐさや症状も見逃さないように心がける
疲れやすいという症状が病的かどうかを判断するのは、実は難しいです。そういう時は、同年代のご友人やご家族と出かける際に、自分がどういった状態になるのかを観察してみるといいでしょう。無意識のうちに歩く速度を落として体力を温存していることもあります。同年代の方と行動をともにして比較することで、「歩くのが遅くなった」「友人よりも早く動ける」といったことが客観的にわかります。もっと正確に判断したい場合は、運動負荷検査をお勧めします。正常値より劣っている場合は、適切に対処しないと将来寝たきりになるリスクが上がりますので、運動療法などを取り入れます。まずは自分の体を客観的に評価することがポイントです。
- Qこちらで行っている運動療法のポイントをお聞かせください。
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A
▲運動指導でも患者一人ひとりに合わせた指導を行う
糖尿病のような生活習慣病や、虚血性心疾患、心不全などの心臓病がある場合、運動療法は有用であると考えています。中でも有酸素運動は重要で、これを効率良く行うには有酸素運動と無酸素運動の境界を見極める必要があります。運動をする際、早歩きだけで苦しくなる方もいれば、ジョギングに水泳を加えても十分に動ける人などさまざまです。そこで役立つのが心肺運動負荷試験です。どのくらいの負荷だと有酸素運動が効率的に行えるのか、医学的根拠を持って提示できることがポイントです。当院でも新型コロナウイルスへの対応が固まり次第、ジムなどと連携しながら、心不全や糖尿病に悩む患者さんに適した医療を提供していきたいと考えています。