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尾林 誉史 院長の独自取材記事

VISION PARTNER メンタルクリニック四谷

(新宿区/四ツ谷駅)

最終更新日:2021/11/30

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「VISION PARTNER メンタルクリニック四谷」はJR四ツ谷駅近くの複合商業施設内にあるクリニック。近隣で働くビジネスパーソンが多く訪れる同院の院長である尾林誉史先生自身も、サラリーマン経験を持つ。「メンタルの問題は誰にでも起こり得るもの。今より生きやすくなるための方法があることを知ってほしい」と話し、カウンセリングの気軽な利用を呼びがける。受診の必要性を自覚していない、もしくは自覚していても受診できずにいる潜在的な患者を合わせると、相当数の人が「うつっぽさ」に悩んでいるといわれる昨今。そういった状況には精神科や心療内科の受診ハードルの高さがあると考える尾林院長に、同院の診療の内容や方針、受診しやすい環境づくりへの工夫などについて聞いた。

(取材日2021年11月16日)

近隣で働くビジネスパーソンが多く受診

血の通った、温かな雰囲気のあるクリニックですね。

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クリニックの中でも精神科や心療内科というと、無機的で怖いイメージを持つ方が多いと思います。そうしたイメージが受診のハードルになることも考えて、曲線を多く使ったやわらかく落ち着いたデザインを意識しました。初診時の予診や心理テストなどを行う部屋のほか、カウンセリングや診察を行う部屋が2つあり、1つは緑色、1つはラメ入りの深い赤色を壁紙に使っています。赤や緑を使うクリニックはあまりないかもしれませんが、サロンのようだと患者さんに好評なんですよ。一般的に病院は緊張するところですし、中でもメンタルの相談をするというと構えてしまう方が多いのですが、ここにいる間だけは少し気を抜いてくつろいでいただけたらと思っています。

患者さんは近隣で働いている方が多いのですか。

当院が入っているCO・MO・RE YOTSUYA(コモレ四谷)は、JR四ツ谷駅の四ツ谷口から徒歩2分の複合型商業施設です。駅からのアクセスが良いだけでなく、都内各所からの乗り継ぎも良いので、患者さんはかなり広範な地域からいらしてくださっていますね。埼玉県、神奈川県など近隣の県にお住まいの方で、都内での仕事帰りに立ち寄ってくださる方もいらっしゃいます。私自身を含め、所属するドクターが精神科の医師かつ労働衛生の専門家であることもあって、お仕事のことや職場での人間関係にお悩みのビジネスパーソンが多い印象ですね。

患者さんは、どんなお悩みを抱えていらっしゃるのでしょう。

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ビジネスパーソンのお悩みの原因は大きく「仕事量」「仕事の内容や質」「人間関係」の3つに分けられますが、受診する時点では悩みの原因が明確でない場合もあります。「仕事をしているとなんとなくストレスを感じていらいらする」「よく眠れない」「不安感があって落ち着かない」「わけもなく落ち込む」「仕事をしなければと思うのに、どうしてもやる気が出ない」「考えがまとまらない」といった漠然とした訴えで受診される方も多いんですよ。皆さん、総じて真面目で、一生懸命仕事をしている方ばかりです。だからこそ、こんなことで人に迷惑をかけてはいけない、と自分を追い込んでしまうのでしょう。人にお願いするのが苦手で、責任感の強い方が目立ちますね。

サラリーマン経験を生かし、「人を診る」診療を実践

先生ご自身も、もともとサラリーマンだったと伺いました。

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大学を卒業後、一般企業で5年間営業を経験した後に医師になりました。望んで入った会社ですが、営業志望ではなく、性格的にも営業向きでなく苦労しました。話をするのは好きなのでアポイントは取れるのですが、いかんせん売る気がないので受注につながらないんです。あるときなど、1時間近くお客さまと電話で和気あいあいと話していて、「尾林は電話だけで受注するのか」と周囲の期待が高まる中、アポイントすら取れずに電話を置いたこともありました。華々しく活躍する同期を横目に見ながら、活躍できない自分にいつも悶々としていましたね。大手企業の営業マンであるというおごりはおろか、誇りもありませんでした。今振り返れば、お客さまや同僚の話を聞いて寄り添える自分の強みや、ものが売れる仕組み、世の中が円滑に回っているように見えるその裏で努力している人の存在などに気づけた貴重な期間だったと思いますが、当時はとても苦しかったです。

そこから医師をめざしたのには、どんな理由があったのでしょう。

同じプロジェクトチームに所属していたメンバーが体調を崩し、産業医面談に付き添ったことがありました。私は同僚のつらい状況を間近で見ていたので、どんな道筋をつけてくれるのか、とても期待していたんです。ところが、面談はものの数分で終了し、同僚は休職することになりました。こんなものなのか、と驚いて調べたら、産業医は臨床の傍ら非常勤のようなかたちで勤務しているケースがほとんどだったんですね。仕事上のストレスで身体的・精神的に厳しい状況に立たされている人にとってとても重要な役割を持つ仕事なのに……と衝撃を受けました。それで、私自身が医師になって、働く人に道しるべを示せるような存在になりたいと思ったんです。ビジネスパーソンに寄り添うにはメンタルを深く知るべきだろうと考えて、精神科を選びました。

ご自身の経験が臨床で生きていると感じることはありますか。

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私自身も悩み、迷いながら仕事をしてきた人間なので、「本当に今の仕事を続けていていいのだろうか」「もっと自分に合う仕事があるのではないか、かといって辞めたら人に迷惑がかかるのではないか」と思い悩む人の気持ちがよくわかります。単に病名をつけて薬を出すだけでなく、その人の持つバックボーンや性格まで考えて寄り添えることこそ、人が人を診る意味だと思うんですよね。そういう意味で、自分のサラリーマン経験はとても役立っていると思います。うつになったからといって何かが終わるわけではないし、二度と社会復帰できないわけでもありません。なんとなくおかしいな、いつもと違うな、と感じたり、仕事以外に夢中になって取り組んでいた趣味に対する興味が急速に失われたりしたら、一度相談にいらしていただきたいと思います。

治療期間は、人生と向き合うために必要な時間

国内では、まだ精神科や心療内科の受診やカウンセリングへのハードルが高い気がします。

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「うつ病」「躁うつ病」といった病名は少しずつ浸透していて、理解が進んでいると感じています。一方で、現在の「統合失調症」が異なる呼称であった時代を知っている方やそのご家族の中には、昔の病名が持つネガティブな印象が根深く残っているのもまた事実です。精神の病は不治の病で、他者に言いづらいとか、病院へ行けば閉じ込められてしまうといったイメージがあって、受診をためらう方が今なおいらっしゃるんですね。身近な相談相手としてカウンセリングが浸透している欧米のように、国内でもカウンセリングが一般化していくことを期待しています。

診療で心がけておられることを教えてください。

受診される方の多くは、自分自身と真剣に向き合うあまり手が抜けず、気も抜けないつらい状況にあります。ですから、ここにいらしたときくらいは心を解放して、誰かの力を借りることは決して悪いことではないと感じてもらいたいと思っています。真面目な方は全部を自分で抱え込もうとしますが、一人で全部を完璧にこなすことはできません。いろいろなことをお話ししながら、諦めるポイント、手放したりやめたりしていいものに気づいてほしいですね。患者さんには「手を抜く」「気を抜く」ことをお勧めしますが、私自身は診療に全力を投じています。一人ひとりの患者さんを自分にとって大切な人だと思って、少しでも生きやすくなるお手伝いができたらうれしいです。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いいたします。

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診断を受けると、うつ病を患ったという事実に苦しみ、ほとんどの方が「いつ復帰できますか」「元に戻れますか」と仰います。正直に申し上げて、うつ病になる前と同じ状態に戻ることはできません。うつ病をはじめとした精神的な病気は、その人が自分自身のこれまでの生き方や考え方と向き合う大切な期間。この期間を経て、自分への理解が深まれば、きっと新しい自分を再発見することができるはずです。以前と同じ自分に戻るのではなく、より生きやすく生き直すための時間として、治療と向き合っていきましょう。

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