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小川 雄史 院長の独自取材記事

鶴見メンタルクリニック

(横浜市鶴見区/鶴見駅)

最終更新日:2024/03/26

小川雄史院長 鶴見メンタルクリニック main

JR鶴見線の鶴見駅から徒歩約10分、京急本線の鶴見駅から徒歩約5分と好アクセスな「鶴見メンタルクリニック」は、2020年4月の開院以来多くの患者が訪れる。早稲田大学大学院理工学研究科で工学を学び、鉄道会社で技術系総合職として勤務した経験を持つ小川雄史院長は、新幹線の運転免許も持つ異色の精神科医師だ。さまざまな出来事をきっかけに医師の道を志し、精神科の医師になって15年。自身の会社員経験を生かして自立支援や就労サポートにも積極的に取り組み、認知行動療法、運動・食事指導、睡眠指導、漢方薬に関するアドバイスを行うなど、多くの引き出しを持つのが同院の強みだ。クリニックの診療方針は、「薬の処方に慎重」であること。患者に向き合う真摯な姿勢と明るい人柄が魅力的な小川院長に話を聞いた。

(取材日2024年2月16日)

会社員経験を生かした診療で幅広い疾患に対応

開院までの経緯を教えてください。

小川雄史院長 鶴見メンタルクリニック1

早稲田大学大学院理工学研究科で修士課程を修了した後、3年間鉄道会社で技術総合職として勤務していましたが、高校時代の友人の死や家族の交通事故をきっかけに医学に興味を持ち、富山大学の医学部に編入し医師の道を志しました。その後、精神科の医師として13年間いくつかの病院に勤務し、2020年の4月に開院しました。前職の診療所から近いこの場所で開院したのは、以前から診ていた患者さんから「先生、行かないで」と言われたことが一番の理由です。このエリアに精神疾患で困っている人々が多くいることを知り、以前からの患者さんも変わりなく診療させていただけるので、結果的に鶴見にして良かったと思います。

患者傾向や診療体制について伺います。

うつ病、不眠症、パニック障害、認知症など幅広く対応します。また、勤務医時代からの長いお付き合いの患者さんの中には、重度の統合失調症の方も多くいらっしゃいます。新型コロナウイルス感染症の流行下では、マスク着用や在宅ワークなど新しい生活様式が広まったことが原因で、パニック障害や不眠症で来院される患者さんが増加しましたが、5類に移行されたことでストレス発散の機会が増えたことが理由でしょうか、パニック障害や不眠症などのご相談は減少傾向にあります。

診療方針はどのようなものでしょうか。

小川雄史院長 鶴見メンタルクリニック2

当院の診療方針の一つは、薬の処方に慎重だということです。薬は実生活に支障を来す場合にのみできるだけ少ない量から始めます。薬は体に吸収されるものですから、初めて精神薬を飲む患者さんは抵抗を感じるでしょうし、副作用が出たら驚いて治療を中断してしまうこともあります。まずは薬を体になじませることを優先し、いずれ薬をやめることを目標に依存性の出にくい薬を選んで処方します。ほかには、漢方薬の処方や、食事指導、運動指導、睡眠指導、認知行動療法などを取り入れています。適応障害の患者さんには、診断書を書いて休職のお手伝いも行います。

復職や生活支援など患者を支えるトータルサポート

患者さんの復職サポートに注力されているそうですね。

小川雄史院長 鶴見メンタルクリニック3

ある程度回復が見込めても、復職するタイミングによっては再び不調になってしまう場合もあります。そういったことを防ぐために、復職するときに私が上司の方と面談するなど、復職後の環境を整えるためのサポートも行っています。また、患者さんの段階に応じて精神障害者保健福祉手帳のご紹介や、行政から受けられる障害年金などの制度もご紹介しています。復職のタイミングでは、より良い人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルの一つである「アサーション」の本を勧めるなどもしています。こういった制度の提案などは本来の医師の仕事ではないかもしれませんが、「誰かがやらないといけない」という使命感を持って対応しています。

病気だけでなく、患者さんの生活全般を支えているのはなぜですか。

生活全般が患者さんの精神状態にも影響すると考えているからです。金銭面で余裕がなくなったために精神状態が悪化してしまう方もいるので、金銭面のお悩みについてもじっくりご相談を受けていきます。例えば、障害者手帳の取得により障害者雇用枠として働けることや保険会社からの傷病手当金などをご案内。患者さん一人ひとりに合わせて何が必要なのかを考えることが大切だと思っています。ケースワーカーとの連携なども含めさまざまな支援を活用しながら、患者さんの生活をトータルサポートしていく体制を整えていきたいです。

精神科の医師として大切なことは何でしょうか。

小川雄史院長 鶴見メンタルクリニック4

さまざまな経験を患者さんにフィードバックできること、いろいろな「引き出し」を持っていることが大切だと思います。私自身が会社員を経験して年を重ねてから医師になったので、いろいろな立場と状況にある方の気持ちが理解できるのが強みです。精神症状は、その人の人生です。例えば、会社へ行けないという状況は、人生がかかっていますからただごとではない。そこは真剣勝負ですね。患者さんから学ばせていただくことが多いのも精神科の特徴かもしれません。治療のヒントは案外目の前にあるものです。患者さんが困っていることは何なのか、求めていることは何なのかを理解し、謙虚な姿勢で患者さんの話をしっかり聞いて、解決して差し上げるのが精神科の医師の仕事であると思います。患者さんに貢献するには自分自身の心の余裕が欠かせないので、ポジティブな意味で自分の限界を自覚しながら、私自身もワークライフバランスの維持を心がけています。

メンタルと体の不調をトータルで診察

診療時に心がけていることを教えてください。

小川雄史院長 鶴見メンタルクリニック5

当院は精神科ですが、定期的に血液検査を行うよう心がけています。きっかけは、医学生時代に、イライラが持続するといって精神科を受診された患者さんを担当したことです。その患者さんに血液検査を行ったところ、甲状腺に関わる数値に異常が認められました。そしてイライラの原因は、メンタルではなく甲状腺であったことが判明。この経験から、メンタルと体の不調は切り離して考えるのではなく、一つのものとしてトータル的に診る必要があることに気づきました。精神科は他の診療科と異なり、検査データから異常を発見して診断を下す科ではありませんが、検査を通して見落としがちな根本原因の発見につながる場合もあります。また血液検査によって肝機能や腎機能の数値を確認できるので、処方薬を適切に判断するためにも有用です。精神科クリニックの中では少ないと思いますが、当院は院内に処置室を設け、週4~5日ほど看護師が勤務し対応しています。

患者さんに知っておいてほしいことはありますか。

患者さんの中には、処方薬を飲み忘れる方や服薬を控えてしまう方がいらっしゃいます。その主な理由は、1日1回の服薬なのでつい飲み忘れてしまった、風邪薬と併用して良いかどうかわからなかったなどが挙げられます。患者さんのご判断で服薬中の薬を減らしたり、服用を中止したりする場合がありますが、それによってふらつき、めまい、頭痛、嘔吐、嘔気、不眠などを伴うケースもあるんです。こうした症状を回避するために、当院は「治療中の飲み忘れや自己中断」に関する資料を作成し、それをモニターに映しながら患者さんに説明しています。当院では週単位で副作用の発現状況を随時確認しながら、その都度患者さんにとって適切な薬を判断します。服薬に少しでも不安があれば、遠慮なくご相談いただきたいです。

最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

小川雄史院長 鶴見メンタルクリニック6

誰でも気軽に来られるようなハードルの低いクリニックでありたいと思っています。一人で悩まずに、判断に困ったらまずは相談してください。精神科に行くことに対して周りの目を気にする方もいますが、重症になってから来るよりも、症状の軽い段階での受診が長期的には負担も減るはずです。ですから、ストレスを感じて眠れないなど具体的な症状が出てきたときには、すぐに来てほしいですね。今後は「困った時にいつでも受診できるクリニック」をめざして、体制を強化することも検討中です。受診を迷っている方は、当院のホームページか電話でご予約の上気軽にお越しください。また、地域限定になりますが一部往診も受けつけていますので、気になる方は電話相談をお願いします。

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