食物アレルギーとうまく付き合うため
適切な診断と最小限の除去を
おおしま小児科アレルギー科
(豊田市/豊田市駅)
最終更新日:2022/04/14
- 保険診療
特定の食物によってじんましんや喘鳴、嘔吐や下痢などの症状が免疫を介して引き起こされる疾患である「食物アレルギー」。乳幼児で発症するケースも多く、食生活に与える影響も大きい。「おおしま小児科アレルギー科」の大島美穂子院長は日本小児科学会小児科専門医および日本アレルギー学会アレルギー専門医として大規模病院でさまざまな食物アレルギーの症例に携わってきた。「食物アレルギーは、乳幼児の頃や症状が出てすぐのなるべく早い段階で受診することが大切」と語る大島院長に食物アレルギーの検査方法や食事指導について話を聞いた。
(取材日2021年12月22日)
目次
食物経口負荷試験の結果をもとに食事指導を行い、食物アレルギーの耐性の獲得をめざす
- Q食物アレルギーとはどのような病気なのでしょうか。
-
A
本来は無害な食べ物を異物として体の免疫システムが判断してしまうことによって起こるアレルギー反応です。原因となる食べ物は乳児の場合は卵、牛乳、小麦が多く全体の7割程度を占めます。最近では、くるみやカシューナッツといった木の実類が原因となる症例も増えてきています。症状としては、じんましん、かゆみ、咳や喘鳴のほか、嘔吐、腹痛、下痢が出る方もいますし、血圧や意識の低下といったショック症状が起きる人などさまざまです。
- Q食物アレルギーが発症しやすいタイミングはいつですか。
-
A
乳児に関しては、離乳食を開始した生後6ヵ月以降のお子さんが多いです。初めて離乳食を食べた際に発症することもあれば、2回目以降で離乳食の量を増やしたときに症状が出るケースもあります。学童期以降は、甲殻類や果物類のアレルギーが増加します。成人になってから発症するケースもありますが、小児に比べて耐性の獲得をめざすのが難しいといわれています。
- Q食物アレルギーの検査内容について教えてください。
-
A
ひと昔前は原因物質を完全除去するのが一般的でしたが、現在は「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食品の除去」が基本です。食べても安全な量を知るための検査に、食物経口負荷試験があります。過去の症状や血液検査の結果から個別に負荷量、つまり食べる量を設定し、原因食品を食べていただく試験です。負荷量と症状の程度から、自宅での摂取量を決めます。当院では少量から回数を分けて食べてもらい、15分おきに診察します。何らかの症状が出た場合、内服薬や吸入、アドレナリン注射などの処置が必要です。十分な観察後、帰宅となりますが、症状が遅れて出る場合も。帰宅後に症状が出ても対応できるよう検査は平日の午前中に行います。
- Q食事指導についても教えてください。
-
A
試験中に食べた量と症状の有無から、自宅で食べる量や調理法の指導を行います。その後、原因食品を自宅で繰り返し食べてもらい、免疫システムに覚えさせていきます。大切なのは、なるべくお子さんが小さいうちに受診すること。1歳を過ぎるとお母さんの育休が終わる方もいらっしゃいます。職場復帰に伴い、保育園に通い始めるお子さんもいますよね。そうなると食物経口負荷試験を行う平日の午前中の通院が難しくなります。また保育園にいる時間帯や夜間にアレルギー症状が起きてはいけませんから、登園前や夜遅くに原因食品を食べるのも避けたいところです。耐性獲得をスムーズに進めるためには、0歳児のうちにご相談いただくと良いでしょう。
- Qアレルギーを疑ったら、どんな医療機関を受診すればよいですか。
-
A
例えば一つの基準として、アレルギー専門医がいる医療機関にかかるのもよいでしょう。専門的な知識を持ち、日々多くのアレルギー患者さんを診ているなど、一定の条件を満たした医師がアレルギー専門医に認定されます。日本アレルギー学会のホームページで検索できますので、ご自分で最寄りの医師を調べることもできますし、かかりつけ医に連携している医師がいないか相談してみるのもいいですね。数多くの症例を診てきた医師は、経験豊富なだけに診療もスムーズでしょうから。そのあたりも考慮に入れるといいと思います。