自覚症状なく進行する緑内障
早期発見と継続治療が大切
新高島平サカモト眼科
(板橋区/新高島平駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
日本人の中途失明原因の第1位となっているのが緑内障だ。自覚症状がないまま緩やかに進行し、かなり視野が狭くなってから初めて気づくことも多いという。「新高島平サカモト眼科」の坂本純平院長は「視神経は一度障害を受けると再生できないため、緑内障による視野障害も治すことはできません。だからこそ早期に発見し、継続的な治療によって進行を食い止めることが重要です」と話す。坂本院長は大学病院で緑内障の臨床研究や緑内障専門の診療に携わってきた緑内障のエキスパートでもある。同クリニックでは、OCT(3次元眼底像撮影装置)や視野検査機器などによって精密に検査を行い、的確な診査や診断に努めている。緑内障の原因や継続治療の重要性などについて話を聞いた。
(取材日2020年12月16日)
目次
障害を受けた視神経は元に戻らない。だからこそ進行を食い止めることが重要
- Q緑内障とはどういう病気ですか。
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A
▲目の不安を抱えた人が安心して通えるクリニックをめざす
緑内障は、眼球の奥にある視神経乳頭と呼ばれる部分が障害を受けて、視野が狭くなっていく疾患です。日本人の40歳以上の20人に1人の割合で発症するといわれ、中途失明原因の第1位とされています。視野障害は視野中心部から少し離れた鼻側から起きてくることが多く、自覚症状がないままに進行します。というのも、片方の目に視野障害が起きても、もう片方の目が補正するため自分では気づかないのです。そのため視野がかなり狭くなって初めて気づくことが多いです。また、ダメージを受けた視神経は再生できず、欠けた視野を取り戻す術は現段階ではありません。そのため、早期に発見して進行を食い止めることがとても重要になります。
- Q原因を教えてください。
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A
▲緑内障は視神経乳頭が障害を受け、視野が狭くなっていく疾患
眼圧の上昇や家族歴、重度の近視などがリスクファクターとして考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。眼圧は、目の中を循環している房水の産生と排出によってバランスが保たれているのですが、この循環が何かしらの要因で妨げられると眼内の房水が増え眼圧が高くなります。それによって視神経乳頭が圧迫され少しずつ障害が起きてきます。ただ、多少眼圧が高くても緑内障にならない人や、逆に眼圧が正常範囲であっても緑内障を発症する場合もあります。日本人の場合、この正常眼圧緑内障が最も多いのが特徴です。ですので、眼圧だけが緑内障の決定的原因とも言えず、眼圧の数値だけで判断できないのです。
- Qどんなきっかけで発見されることが多いのでしょうか。
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A
▲客観的かつ正確な診断を迅速に行うことに努めている
企業の健康診断や人間ドック、あるいは何か他の目の病気やコンタクトレンズの処方などで眼科を受診した時などです。緑内障の疑いのある場合は、網膜や視神経の状態を確認するOCT(3次元眼底像撮影装置)検査及び視野の欠け具合を調べる視野検査といった精密な検査を行って診査診断します。先ほどもお話ししましたように眼圧だけでは判断できませんから、視神経や視野の検査が重要になります。40代以上の人は一度眼科を受診してこのような緑内障の精密検査を受けるようにしてください。
- Qこちらのクリニックではどのような治療を受けられますか。
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A
▲網膜や視神経の状態を確認できるOCT(3次元眼底像撮影装置)
緑内障によって障害を受けた視神経を再生することは現段階では不可能ですので、治療は進行を食い止めて今の段階で留めていくことが目的となります。当クリニックでは症状に応じて点眼治療、レーザー治療、手術療法を行っています。まず点眼によって眼圧を下げていきますが、点眼を続けても目標値に達しない場合はレーザー治療を行います。レーザー治療は房水の流れを改善するために行うもので、痛みもほとんどなく低侵襲の治療です。ただ基礎眼圧が高い場合には最初からレーザー治療を行うこともあります。手術は房水の流出路の流れを改善させていくのが目的。点眼やレーザー治療によって眼圧を下げるのが難しい場合の最後の選択肢となります。
- Qなぜ継続的な来院が必要なのでしょうか。
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A
▲治療に対するモチベーションを維持できるよう工夫して話している
緑内障は治らない病気ですから、継続的に来院してもらい、随時、眼底検査や視野検査によって今の治療が適しているかや進行具合などを確認し、今後の見通しを立てていくことが大切です。実は、治療の途中で脱落してしまう人も多いのですね。脱落しない、脱落させないことも緑内障治療のポイントです。緑内障は自覚症状がないため、なぜ点眼を続ける必要があるのか、きちんと理解していない人も多いようです。少しでも治療に対するモチベーションを維持できるよう、当クリニックでは眼底検査や視野検査の画像などを見せながらお話ししています。ご自身の具体的な症状が確認できれば、治療に対する意識も変わると思います。