適切な知識を得て対処することが大切
骨粗しょう症の検査・治療
しおみ整形外科 痛み・関節クリニック
(茨木市/茨木駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
ほとんど自覚症状なく進行するという骨粗しょう症。骨密度が低下することによって骨の組織がスカスカになり、くしゃみやつまずきといったちょっとした衝撃で骨折しやすくなる病気だ。50歳を過ぎた女性に多く見られる病気ともいわれるが、誰もが骨密度検査を受けて、予防と治療に努めることが重要だ。「しおみ整形外科 痛み・関節クリニック」では、患者一人ひとりの生活背景に合わせた骨粗しょう症治療を提案し、患者と医師、そしてスタッフが一丸となって治療に取り組む。院長の塩見俊行先生に、骨粗しょう症のメカニズムや検査内容、治療の重要性について話を聞いた。
(取材日2019年11月11日)
目次
骨密度測定を通して骨の状態を把握し、個々に合わせた治療を選択。体の健康状態を知る機会としても活用
- Q骨粗しょう症とはどのような病気なのですか?
-
A
骨は人間の体を支える上で欠かせませんが、骨密度が低下して組織がスカスカになると、骨折が起こりやすくなってしまいます。それが骨粗しょう症です。骨粗しょう症は、加齢が原因となって引き起こされる原発性と、他の病気からの併発や服用している薬の副作用が原因となる続発性の、2つのタイプに分類されます。どちらも自覚症状が少なく、知らないうちに進行していることがほとんどなので、骨密度測定を受けるなど、チェックが必要です。骨粗しょう症が進むと、手首や肩の骨、体を支える背骨や太ももの骨がちょっと転んだだけで骨折しやすくなるだけではなく、くしゃみや咳をするだけでも背骨が骨折してしまうことがあります。
- Qどんな方にどのような検査が必要ですか?
-
A
加齢による原発性骨粗しょう症が一般的には多く、50歳を過ぎたら一度検査を受けていただくことを推奨しています。特にその年代の女性は、閉経を迎えることによって骨を維持する女性ホルモンが減少し、骨がもろくなっています。当院では、体への影響が小さい少量のエックス線を使用し、腰椎と大腿骨の骨密度を計測するDEXA法を取り入れています。骨密度測定と同時に血液検査を行い、骨吸収と骨形成のバランスをチェックします。2つの数値の指標となるものを骨代謝マーカーと呼び、骨密度の数値と併せて治療方針を決める要素となります。
- Qこちらではどのような治療を受けることができますか?
-
A
骨吸収の働きが強くなっているのか、骨形成の働きが弱くなっているのかで治療方法は変わるため、当院では検査を受けた患者さんに合ったオーダーメイド治療を行っています。また、服薬と注射の2種類があり、患者さんの状態や治療方法との相性によって、どのように進めていくかを判断しています。注射にも自宅で行えるタイプがありますが、自分で行うことへの不安があればクリニックで対応したり、服薬の副作用が出てしまったら種類や方法を変えたりと、臨機応変に対応しています。一度の治療で完結するのではなく、継続して治療を行うことが重要ですから、無理なく継続できる範囲で患者さんご自身に選択していただいています。
- Qモチベーション維持のために工夫されていることはありますか?
-
A
骨粗しょう症は、改善しているのか悪くなっているのか自覚症状が乏しい疾患です。だからこそ治療経過中に骨密度を定期的に計測し、患者さんに具体的な数値をお見せしながら説明することが大切だと思っています。結果を見て数値が改善していることがわかれば、治療効果を具体的に感じていただけますし、モチベーションにもつながりますからね。あとは、診察で「注射には慣れましたか?」とヒアリングし、スタッフも「困ったことや疑問に思うことがあればいつでもクリニックに電話してください」とお声がけをしています。患者さんお一人ではなく、私たちも治療に参加していること、一緒に頑張る姿勢でいることをしっかりお伝えしています。
- Qそのほか、診療時に注力していることは?
-
A
食事に関しては、検査結果をもとにその人に不足している栄養素についてアドバイスしています。不足しがちなカルシウムを摂取するために、メーカーが監修したおいしい料理のレシピ本やパンフレットをお渡ししています。それ以外には、足元がおぼつかない方にはつえや手押し車の使用について説明し、転倒の可能性を少しでも減らすために、ご自宅での生活環境についてもヒアリングしています。よく「転ばないように気をつけましょう」と言いますが、転びたくて転んでいる人は一人もいないので転倒予防についてのアドバイスを行っています。自分の足で歩行するための筋力をつけていただくために、治療と並行してリハビリテーションも行っています。