いびきや昼間の眠気は危険信号
睡眠時無呼吸症候群
さえき耳鼻咽喉科
(明石市/明石駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
居眠りが原因の交通事故などをきっかけに、病気としての認知度が高まっている睡眠時無呼吸症候群。仕事中や勉強中に眠くなってつらい人、疲れが取れず起床時に憂鬱な人、いびきで友人との旅行を避けている人、夜中に頻尿で何度も目が覚める人は、一度睡眠時無呼吸症候群を疑ってみよう。さらに糖尿病や高血圧といった生活習慣病や不整脈、脳卒中などの原因にもなることもあるのだとか。適切な治療を受けることで、仕事効率や朝の気分、寿命までもが変わるかもしれない。日本国内で約500万人の患者数ともいわれているにもかかわらず、約1割しか治療を受けていないという睡眠時無呼吸症候群の診断や手術を含めた治療に数多く対応する「さえき耳鼻咽喉科」の佐伯暢生院長に、その詳細と治療法について聞いた。
(取材日2021年4月21日)
目次
睡眠中の呼吸を助け、病気の悪化を防ぐためのCPAP療法。月1回の受診で無理なく続けていこう
- Q睡眠時無呼吸症候群とは? 息が止まるだけなのでしょうか。
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A
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まることにより、日常生活にさまざまな不具合を起こしてしまう病気です。主な症状として、睡眠中のいびきや日中の眠気・だるさ・頭痛などがあります。それにより、集中力の低下、仕事のミス、交通事故などの危険性が高まります。さらに高血圧や糖尿病、心不全、脳梗塞などの合併症を引き起こす危険性が数倍におよぶともいわれています。実は日本国内で約500万人もの患者数がいるにもかかわらず、9割の方は病気だという自覚がなく放置してしまっています。中高年で肥満の方はもちろんですが、若い方で肥満がなくても顎が小さい方は要注意です。
- Q睡眠時無呼吸症候群の原因を教えてください。
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A
ほとんどの場合、空気の通り道のうち鼻から喉までの部分、つまり上気道がふさがることで無呼吸を発症します。これを「閉塞性」無呼吸と呼び、肥満や加齢が主な原因です。肥満により形態的に狭くなっている場合は、まずはダイエットをお勧めします。加齢による筋力低下が原因となり、舌が沈み込んで気道がふさがる場合には、後で出てくるCPAP(シーパップ)療法というマスクを装着する治療が必要となります。他には、「中枢性」といって脳からの呼吸の信号が停止して無呼吸が起こることもあります。この場合は呼吸が停止しているのでいびきをかかず、発見されにくいです。
- Q肥満があると無呼吸になりやすい? それ以外にも原因は?
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A
先ほどお話ししたとおり、肥満の方がなりやすいのは言うまでもありません。首の周りについた脂肪は就寝時に気道を圧迫し無呼吸を起こします。また肥満の方は首の筋力も弱いことが多いので、舌が沈み込む舌根沈下も併せて起こしやすいです。しかし、実は肥満がない場合も油断はできません。アジア人は欧米人に比べて気道が前後に細く狭い傾向にあり、肥満がなくても無呼吸になりやすい骨格です。そのほかにホルモンとも関係があります。女性は閉経後にホルモン変化が起き発症率が上がります。日中のだるさや心の沈みの症状を更年期障害と決めつけず、無呼吸を検査してみるのも良いと思います。
- Q耳鼻咽喉科で治療を受けるメリットは何でしょうか?
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A
睡眠時無呼吸症候群の治療は、耳鼻咽喉科や内科で行っています。睡眠中の呼吸を助けるマウスピースを作製するために歯科医院と連携する場合もあります。全身に悪影響を与えるため生活習慣病との合併も多く、かかりつけの医師とも協力しながら継続できるように管理することが大切です。その中でも、病気の原因となる鼻や喉の形状や、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎を詳しく診療できるのが耳鼻咽喉科。手術で改善が図れる場合もあり、治療の選択肢や組み合わせが広がります。さらにCPAP療法を行う場合は、鼻詰まりがあると治療効果が落ちるため治療をお勧めします。耳鼻咽喉科ならよりスムーズに治療が受けられます。
- Q具体的にどんな検査や治療をするか教えてください。
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A
初診時に問診、鼻や喉の形を調べます。睡眠時無呼吸症候群の疑いがあれば、ご自宅で簡単な検査装置をつけて一晩眠るだけの簡易検査を受けていただきます。解析をして病気の有無や重症度を診断し、治療方針を決めていきます。軽症の場合には、肥満があればダイエットはもちろんですが、睡眠姿勢の指導や、睡眠中に装着していただく空気の通り道を広げるためのマウスピースが適していることも。重症の場合には、CPAP療法をお勧めします。これは睡眠中にマスクを装着する治療で、マスクを介して気道に空気を送り込み睡眠中の呼吸を助けます。いびきも抑え快適な睡眠と起床が期待できます。月1回の受診時に毎月のデータを一緒に確認します。