大熊 喜彰 院長の独自取材記事
武蔵小杉 森のこどもクリニック 小児科・皮膚科
(川崎市中原区/武蔵小杉駅)
最終更新日:2025/10/01
武蔵小杉駅から徒歩3分、タワーマンション1階の商業施設の一角に「武蔵小杉 森のこどもクリニック 小児科・皮膚科」はある。「クマ先生」の愛称で親しまれているのが大熊喜彰院長だ。国立病院の小児科に長年勤務した経験から、重い病気の子どもを1人でも減らすため、「待っているだけではない小児科」として地域と積極的に関わるクリニックを実践している。循環器、感染症、腎臓、発達障害、アレルギーなどの専門性を持つ小児科医が8人交代で診療することで、子どもの疾患すべてを診る「子ども科」をめざしている大熊先生に、クリニックの特徴や診療にあたって心がけていることなどを聞いた。
(取材日2025年9月8日)
子どものすべてを診る「子ども科」をめざして
医師をめざしたきっかけや経歴を教えてください。

父は精密機器メーカーで数多くの案件に関わった物作りの達人でした。僕は人と話す仕事がしたかったので、何かを極めるとしたら「物」よりも「人」と考えたのが医師をめざしたきっかけです。小学校の先生にも憧れるほど子ども好きなので、自然と小児科の道に進みました。中でも循環器を専門にしたのは命に関わる疾患が多いからです。無限の可能性を秘めた子どもたちを1人でも多く救いたいという思いがありました。国立病院の小児科に14年間勤務し、入院管理では集中治療を必要とする疾患から慢性疾患まで幅広く経験しました。特に注力していたのが川崎病の発見、診断、治療です。循環器とアレルギーを専門とする外来でもしっかりと研鑽を積み、すべてを生かすために当院を開業しました。
「待っているだけではない小児科」とは何でしょうか?
地域の行事に参加したり、院内で「キッズドクター体験」を開催したりしています。元気なお子さんにも当院に親しみを感じていただき、心配事ができたらすぐに来てもらえるようにしておくことが大事だからです。国立病院では、「どうしてもっと早くクリニックに相談しなかったのか」と、悔やむ親御さんをたくさん見てきました。重症に陥る子をなくしたければ、病院で待っているだけでは駄目なんです。当院には、重い病気の子どもたちを診てきた看護師も何人かいて、同じ思いをかみしめています。年齢もキャリアも異なるスタッフたち全員がこの考えに賛同してくれていて、毎年みんなで行事の準備をするのは楽しいひとときです。
こちらではどのような治療が受けられるのでしょうか。

小児科と皮膚科を標榜していますが、一部の器官に限定せず頭から指先まで子ども全体を診る「子ども科」をめざしています。もちろん、必要があれば高度医療機関に迅速に紹介しますが、できるだけ院内で対応できるよう、循環器、感染症、腎臓、発達障害、アレルギーなどの各分野に専門性を持つ小児科医が8人、交代で診療にあたっているのも当院の特徴です。お子さんは皮膚トラブルも多いので、皮膚科は2人の女性医師が交代で毎日診療しています。複数の医師がいるというのは1人では見逃していた問題にも気づけるという大きなメリットがあります。たとえ違う医師が診ることになっても前回までのカルテを読み込んでから診察するよう徹底しているのでご安心ください。診療中の電子カルテ入力をサポートする医療クラークも配置して詳細な記録を残しつつ、医師はパソコンの画面ではなく患者さんと向き合い、きめ細かに診療できるようにしたのもこだわった点です。
アレルギー疾患、心疾患、予防接種にも注力する
アレルギー疾患への対応について教えてください。

勤務医時代、アレルギー疾患を専門に、軽度から重症までさまざまなお子さんを診てきました。その経験を生かし、気管支喘息の長期管理指導や、花粉症の舌下免疫療法、食物アレルギーに対する食物負荷試験などを行っています。当院の特徴は、専門的な治療に加え、予防的なアプローチを重視する点です。アレルギー疾患は、正しい知識を身につけた上で、適切なアレルゲンの回避、環境整備を行うことが重要なんです。食事について具体的に指導し、必要に応じて管理栄養士と連携することで、ご家庭に合わせて持続可能な環境をつくる方法や対処法をアドバイスしています。とことんお付き合いしますので、ぜひご相談ください。
心疾患の患者には、どのような対応をしていますか?
心疾患は、病診連携が欠かせません。川崎病は入院が必要ですし、先天性心疾患は手術することもあるため、設備が充実した病院が治療の主役です。一方、クリニックは心疾患を見つける役割を果たします。当院にまずご相談いただければ、病気の検査から診断までスピーディーに行えます。また、手術や入院治療が終わった後の健康管理を当院が受け持つことも可能です。さらにRSウイルス感染症の重症化を予防するための注射にも対応しています。先天性心疾患のお子さんは重症化しやすいため保険適用になる注射ですが、クリニックレベルで対応しているところは少ないと思います。当院のようなクリニックは、小回りが利くことがメリットです。定期的に行う検査もあまりお待たせせずにできますので、どんどん活用していただきたいですね。
検診やワクチン接種にも注力しているそうですね。

川崎市では1歳児健診がないのですが、ちょうど子育ての不安が増えてくる時期なので「バースデー健診」を自費診療で行っています。この時、視機能を測定し、問題があれば3歳児健診まで待つことなく早期治療につなげることが可能です。また、予防接種を忘れてしまう方も少なくないため、スタッフが一言を添えたはがきでお知らせしています。また、開業当初から積極的に取り組んでいるのが子宮頸がんワクチンです。男児も接種できるようになったタイミングで導入し、公式サイトでも詳しく説明しています。副作用が不安な方も多いかもしれませんが、ぜひご一読いただければと思います。なお、武蔵小杉エリアには海外渡航歴のあるご家庭が多いため、トラベルワクチンの相談・接種にも対応しています。渡航先に応じた予防接種スケジュールの調整や情報提供を行うことで、安心して海外に出発できるようサポートしているんです。
地域の人とも連携し、多様な医療ニーズに応える
診療にあたって大切にしていることをお聞かせください。

例えば、赤ちゃん健診の際などは、黙って診ても構わないのかもしれませんが、僕はできるだけ話しかけるようにしています。どんなに小さなお子さんにも、説明することが大切だと思うからです。場を和ませることで、親御さんも気軽に質問できるようになるとも考えています。何が心に響くかは一人ひとり違うので、真面目に接したり、絵を描いて説明したりと、いろいろなことを試みています。もし緊張を解くために冗談を言って、笑ってもらえたらうれしいですね。僕も日々、患者さんやご家族から元気と笑顔をいただいており、感謝しかありません。
今後の展望を教えてください。
CTやMRIの検査、手術、入院以外はできるように、よりいっそう医療を充実させていきたいです。その上で、これからもどんどん地域と交流していく小児科でありたいと思っています。病気の子どものケアはもちろん、健康な時にできる予防や、正常な発育のサポートにも力を入れていきたいです。現在は、助産師と協力して、授乳、排泄など、乳児に関する、よくあるお悩みに答える場をつくれないかと計画しています。さらに、食物アレルギーの食物経口負荷試験用のパンをベーカリーと開発したり、新型コロナウイルス感染症の流行以降増えている肥満児の問題を解決するため、スポーツジムとエクササイズを考案したりもしています。これからも、地域の人たちと協力して、子どもたちの健康を守っていけたらいいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

当院の特色を一言で表すならば多様性です。森にはクマだけではなくタヌキもキツネも住んでいて、リンゴだけでもお芋だけでも足りません。枯れ葉だってゴミではなく寝床として必要です。そんなふうに当院も多様な強みを持つスタッフと力を合わせ、できるだけたくさんの人に必要な医療が届くよう努力を続けていきます。対象は、子どもだけではありません。つい、自分のことがおろそかになってしまいがちな子育て世代は、帯状疱疹を発症しやすい年代でもあるのですが、当院では予防接種もできますので、ぜひご相談ください。皮膚科では美容的なお悩みの相談にも応じているため、大人の方もお気軽にお越しいただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは1歳児健診(バースデー健診)/3000円、レフラクトメータによる視能検査/2000円

