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外山 真弘 院長の独自取材記事

みかわ血管外科クリニック

(豊川市/国府駅)

最終更新日:2021/10/12

外山真弘院長 みかわ血管外科クリニック main

豊川市八幡町に今年5月に開院したばかりの「みかわ血管外科クリニック」。外山真弘(とやま・まさひろ)院長は、開業以前、豊橋メイツクリニックで10年以上にわたり、バスキュラーアクセス手術に力を注いできた。豊橋市近辺だけでなく、広く三河地区のシャント血管の作成、修復を必要とする患者にとって通いやすいクリニックをつくりたいと考え、開業に至ったという。待合室や手術室は広く、手術後の待ち時間のために回復室を設けるなど、患者にとって居心地が良い空間になるようこだわったという。専門のバスキュラーアクセスだけでなく、近隣住民の健康を長く守りたいと、一般内科も診療する同院。シャント血管や糖尿病と透析の関係など、外山院長にじっくりと話を聞いた。

(取材日2019年07月10日)

患者にとって、居心地の良いクリニックに

開業されたばかりのクリニックですが、こだわった点はありますか?

外山真弘院長 みかわ血管外科クリニック1

いわゆる医療施設というイメージの四角い建物にはしたくなかったので、外観は切妻屋根をポイントにし、患者さんにとって居心地が良い空間を考えました。診察室や待合室の椅子、壁紙などはスタッフと相談し、納得がいくものを何度も話し合いながら決めました。患者さんが窮屈に感じないように、手術室やカテーテル治療の部屋も広めに造ってあります。バスキュラーアクセス手術が終わった後は、1時間くらい待機してもらうのですが、ゆったりと待っていただけるように回復室を設けました。この部屋にはテレビつきのリクライニングチェアを用意し、つき添いのご家族も一緒に待っていただけるようになっています。スタッフの控室がすぐ裏にあり、あえてドアはつけていないので、何か不具合があった場合もすぐに対応できるので、安心してもらえると思います。

心臓血管外科を選択され、その後透析医療に携わるようになったのはどのようなきっかけからでしょうか?

人を助ける仕事に就きたいと考え、心臓疾患という命に直結するような病気を診療する心臓血管外科を専門に選びました。もちろんどの診療科でも人の命を助けるのは同じですが、心臓外科は悪い状態の患者さんの容態が治療によって改善していくことを実感しやすい現場であり、自分が努力したことがダイレクトに返ってくるという面で、とてもやりがいを感じていました。大学卒業後2年目に勤務した病院で、尊敬する先生の傍で手術経験を積ませてもらったのはとても大きかったと思います。その後、消化器外科を経験した後、豊橋メイツクリニックに勤務し透析について一から勉強し、透析における血液の出入り口であるバスキュラーアクセスの手術に11年間携わりました。三河地区の透析を受けている患者さんにとって通いやすいクリニックになればと思い開業しました。

透析についてわかりやすく教えていただけますか?

外山真弘院長 みかわ血管外科クリニック2

透析を受けるのは、慢性腎不全の末期の患者さんになります。通常命を保つのが難しい状態なんですが、透析を受けることで、仕事をしたり日常の生活を問題なく送ったりすることができるようになることがあります。透析には血液透析と腹膜透析とがありますが、多くの患者さんが血液透析を選択されますね。血液透析というのは、血液を抜いてそれをきれいにして体に戻すのですが、そのための血液の出入り口が必要で、それをバスキュラーアクセスといいます。バスキュラーアクセスには種類がいろいろありますが、ほとんどの方は自分の血管や人工血管を用いたシャントを作り、それを使い透析を行います。また、シャントが作れない人の場合はカテーテル治療を行うこともあります。

患者のストレスを減らせるような治療を心がける

透析では具体的にどのようなことをするのでしょうか?

外山真弘院長 みかわ血管外科クリニック3

透析では、1分間に200cc前後の血液を抜き、それをきれいにして体に戻すのですが、針を刺しやすい表在静脈からは1分間に200ccという多量の血液を抜くことはできません。例えば上腕動脈からなら、それだけの量の血液を抜けるのですが、そのままの状態では筋膜の下を流れていて、週3回の透析のたびに針を刺すことは現実的ではありません。それを可能にするのが、先ほどお話ししたシャント血管です。その中で多く行われているのが、手首にある動脈と静脈をつなぎ合わせる方法で、動脈から血液が流れこみ圧がかかることにより静脈が発達して、1分間に約200ccの血液が抜けるようになります。

診療の際に心がけていることは?

週3回、1回で4~5時間の透析を受けるのは、患者さんにとって負担が大きいです。それだけでも大変なのに、シャントトラブルが起こると患者さんにとって非常につらい状況に陥ります。ですから、なるべくシャントでトラブルが起きないように力を尽くす、逆に言えばシャントで何かあった場合は、ここへ来れば何とかなると患者さんに思ってもらえるようなクリニックでありたいと思っています。昔と比べ、透析導入の原因が腎炎ではなく糖尿病である患者さんが増えていることもあり、血管の状態が悪い人が多く、シャント手術が難しくなっていると感じます。そういう点からも専門性のある当院のようなクリニックが患者さんの力になれればと思います。

日頃から、スタッフの皆さんにお話ししていることはありますか?

外山真弘院長 みかわ血管外科クリニック4

当院は以前のクリニックから一緒に働いていたスタッフもおり、シャントについて深い知識を持ったスタッフが多いです。患者さんは、ストレスを抱えながら貴重な時間を使いここへ来られているので、医療に携わる立場の人間から見て「問題がない」と思われるようなことでも、「何でもないよ」と言うのではなく、患者さんが何に困っているのかをしっかりとお聞きし、それを医学的に客観的に判断し対処するようにと、スタッフには話しています。「患者さんの立場になって」と言いますが、患者さんが困っていることをリアルにイメージして、その悩みに寄り添えるようにしたいと思いますし、実際にスタッフ皆、積極的に努力してくれています。

生活習慣病は早めの対応で健康寿命の延伸を

透析は糖尿病とも関係が深いんですね。

外山真弘院長 みかわ血管外科クリニック5

以前は腎炎が原因で腎不全になる人が多く、比較的若い時に透析になる人もいたのですが、現在は糖尿病性腎症といって、糖尿病が原因で腎不全になる人が増えています。糖尿病はいくつかの合併症がありますが、血糖値が高い状態が続くと血管がボロボロになり、糖尿病の末期になると腎不全になってしまうことがあります。現在、透析導入の主な原因は糖尿病なんですよ。それから最近は社会の高齢化を反映して、80代、90代という高齢で透析導入になる方が多くなっていて、動脈硬化が進み血管の状態が悪くなることが腎不全につながっています。そうならないように、若い時から生活習慣に気をつけて糖尿病や動脈硬化を未然に防ぐことが大事だと考えます。

一般内科も診療されていますが、地域にとってどんなクリニックでありたいですか?

この周辺は新しい家が多く、若い方が多いです。ですから、これから長いお付き合いができればうれしいですね。僕は、血管外科など循環器が専門ですが、循環器の病気としての高血圧や脂質異常症などは、ほとんど症状がないまま病気が進んでしまいます。だからこそ、中年期ぐらいからしっかり予防医療的に管理していかないと、年齢を重ねるうちに悪くなってしまい、心臓病や脳梗塞を発症してしまうリスクが高まります。症状がないからといって放っておくのではなく、生活習慣病といわれるような疾患に対し早期に治療が行えるよう、当院では月・火・木・金・土曜の午前中は、一般外来も行っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

外山真弘院長 みかわ血管外科クリニック6

症状がないとクリニックに行かない人が多いと思いますが、健康診断を受けて結果に異常値があれば、放っておかず相談してほしいですね。早めに受診すれば、投薬ではなく生活指導だけで済むことも十分期待できます。健康寿命といいますが、最後まで元気で暮らすために、若い頃から対策をとることが必要です。そのためにも、定期健診はしっかり受けてほしいですね。それから、シャント関連では、どんなことでも結構ですので、困っている方がいれば一度ご相談ください。透析の必要な方が高齢化し、手術の難易度も上がり、合併症を患っている方も多くなっています。そういう難しい状況にも対応できるのが専門クリニックの強みだと思うので、いつでも相談してください。

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