武本 祐 院長の独自取材記事
武本クリニック
(米子市/富士見町駅)
最終更新日:2024/09/03
米子市西福原の閑静な住宅街にある「武本クリニック」。日本呼吸器学会呼吸器専門医である院長の武本祐先生が、2018年11月に地域で信頼されるかかりつけ医をめざして開業した。院内は新しく清潔感があるだけでなく、車いすでもスムーズに移動できるような広々とした空間。インタビュー中、武本院長は「一人の力ではない」という言葉を何度も繰り返し、これまで出会った人やスタッフに対する感謝の思い、人と人との縁を大切にする思いが感じられた。しっかりと目を合わせてすべての質問に丁寧に答える武本院長に、開業にあたっての理念やこだわり、幅広い診療内容や地域に対する願いなどについて聞いた。
(取材日2021年4月26日/更新日2023年3月23日)
地域の駆け込み寺として、医療を通じて幸せに貢献
開業から4年、開業までの経緯を教えてください。
米子市は私が生まれ育ち、高校まで過ごした故郷です。学生時代はサッカーをしていたこともあり、ケガなどで病院には時々通っていました。病院は「行きたくはないけれど、行くと自分にとってプラスになる」というイメージがあって、高校の頃には医師をめざすように。いつかは地域の人が困ったときに頼れる開業医になりたいと思い描いていました。2011年に高知大学を卒業後、鳥取県立中央病院での初期研修を踏まえ、呼吸器内科を専門にしようと決めました。ただ、開業にあたって地域の人が必要とする内科の経験を幅広く積むことも大切だと考えていたため、その後の鳥取大学医学部附属病院や松江赤十字病院、山陰労災病院での勤務では専門科目を中心にしながら、一般内科やアレルギー診療、健康診断業務といった専門以外の分野も担当させていただきました。専門・総合性の両方から研鑽に励んでいた中で、2018年に縁あってこの米子の地で開業に至りました。
武本クリニックはどのようなクリニックでしょうか?
体調がすぐれないときはもちろんですが、気になることがあったときに何でも気軽に相談できる地域のかかりつけ医でありたいと思っています。困ったときの駆け込み寺のようなイメージですね。例えば、新型コロナウイルスの感染拡大時に発熱患者の受け入れが間に合わなくて受診ができず、路頭に迷っている状態の患者さんが多く見られました。必要に応じて病診・診診で適切に連携していくのはもちろんですが、患者さんや地域の状況を鑑みながら、当院で対応できる検査や治療はしっかりと責任を持って担当するなど、柔軟に対応し地域医療を支えていきたいと思っています。残念ながら現時点の医療ですべての病気を根治できるわけではありませんが、精神面も含めて誠実に一人ひとりに向き合うことで、その人の人生の幸せに少しでもお役に立てればと願っています。そのためには、私もスタッフもいつも心に余裕がある状態で診療に携わるように気を配っています。
発熱患者さんの受け入れや、感染対策についてお伺いしたいです。
2023年3月13日のマスク着用義務の緩和を皮切りに、医療機関での感染対策の対応も変化していくかと思います。当院では発熱患者の受け入れは続けていきますが、一方で感染へ不安を持つ患者さんも多いかと思うので、今後も各種検査を実施した上での診察や、一般患者との空間的分離などの感染対策も継続してまいります。発熱症状のある患者さんも、ほかの患者さんも、安心して受診できる環境を整えることが大切だと考えています。
呼吸器内科を専門に内科全般に幅広く対応
どのような患者さんが多いですか?
お子さまからご年配の方まで内科全般に幅広く診療していますが、開業医の中ではビジネスパーソンの割合が比較的高いほうかもしれません。中でも健診で血圧やコレステロール、血糖値で異常を指摘された方が多いです。高血圧・脂質異常症・糖尿病は重症でなければ、当院へ通院していただき、改善・重症化予防をめざして長期的にコントロールしていきます。また、呼吸器内科・アレルギー科を専門としているため、喘息や鼻炎の方も多いです。風邪で咳が続くと思っていた方で、実は喘息だったというケースもあります。長引く咳でお悩みの方は一度受診されることをお勧めします。
クリニックの設備面でこだわっている部分はありますか?
お子さま連れやご年配の方、車いすの方など、ご来院いただくすべての方にとって過ごしやすい場所になることを願って、バリアフリーでゆとりのある空間にしました。また、車でお越しいただくケースが多いので、駐車場は30台分を備え、1台ごとの駐車スペースも広めにして、駐車や乗降のしやすさにこだわりました。さらに、エントランスには車寄せを設けましたので、希望される方は雨の日も濡れずにご乗降いただくことが可能です。提供する医療の質でご満足いただくことはもとより、「快適に過ごすことができた」というようなプラスの気持ちでお帰りいただくことができたらと思っています。
検査環境の充実も図っているそうですね。
呼吸器領域では、気管支喘息やCOPDの診断に使用する肺活量の検査機器を備えています。これらは治療の効果を調べる意味でも重要な検査となります。また、禁煙指導を行っているため、その検査のための測定器もあります。それから、当院は米子市の特定健康診査、胃がん検診、大腸がん検診、肺がん検診、肝炎ウイルス検査の実施医療機関となっており、特に胃がん検診で行う胃カメラは鼻から挿入するタイプをご用意して早期発見に力を入れています。ほかに、デジタルのエックス線、ピロリ菌検査、血液検査でのアレルギー検査、ご自宅で測定できる睡眠時無呼吸症候群の検査などに対応しています。
診療で心がけていることはありますか?
病気や体質は個別のものではなく、関係している場合が多く見られます。例えば、喘息の方は花粉や黄砂の飛散、寒暖差の激しい時期には喘息症状が悪化しやすいことがありますし、睡眠時無呼吸症候群や肺気腫では高血圧を合併しているケースが少なくないです。ですから、主訴だけでなく丁寧にお話をお伺いして、なるべく全身を診て診断を行い、患者さんにもご自身の状態がわかるように説明することを心がけています。なお、患者さんには健康診断の結果をお持ちいただくようお願いしており、診断の一助としています。
クリニック全体で地域に根差して役立ちたい
スタッフとの連携も大切にされているそうですね。
毎日必ず朝礼を行い、その日の予定や連絡事項を確認しています。私一人では患者さんの疑問や不安に十分対応できていない可能性もありますから、スタッフにも丁寧な声かけをお願いしています。また、先ほども申し上げたとおり、当院のスタッフ全員で患者さんに寄り添って医療を提供し、幸せのお手伝いができればと考えています。患者さんの幸せを願うには、スタッフも心身ともに健康である必要があり、スタッフにとって働きやすい職場であるよう工夫を重ねています。5年10年とこれからも地域に根差していけるように、スタッフとともに成長していければと考えています。
そのほかに、クリニックで取り組んでいることはありますか?
東日本大震災の年に医師になったので、災害対策に関しては開業当初からできることには積極的に取り組んでいます。クリニックにとっては、電気や水道が止まってしまうことが特に危惧されることです。そのため、太陽光発電を備えたほか、社用車を電気自動車にして、そこからも電気をクリニックに供給できるようにしています。また、雨水タンクも設置しており、断水しても水を流せるようにしています。当院だけでなく、近隣施設もこうした取り組みを行っており、いざというとき、電気・水道が復旧するまでの間だけでも、地域のお役に立てればと考えています。
最後に読者にメッセージをお願いします。
地域のかかりつけ医とは、「ジェネラリスト」としての多方面の知識や対応力、そして「スペシャリスト」としての専門性という2つの要素が求められていると考えています。よって、呼吸器内科として咳などの呼吸器症状はもちろんですが、体調や医療面に関して気になることがあれば何でもご相談ください。忙しい日々を過ごす中で、貴重な時間を利用して受診していただきますので、当院でできる限りのお応えができるように、診療や各種検査・健康診断など、対応領域を広く持ちたいと思っています。当院を入り口に、より専門の医療機関へ紹介することも可能です。皆さんの人生に少しでもお役に立てるよう、スタッフ一同で対応させていただきます。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃内視鏡検査/1万5000円~※使用薬剤などにより若干の金額変動あり