骨折リスクを高める骨粗しょう症
予防と早期治療で長く動ける体を
星が丘整形外科リハビリテーションクリニック
(相模原市中央区/上溝駅)
最終更新日:2025/04/15


- 保険診療
骨粗しょう症の患者は高齢化が進むにつれ増加している。しかし、自覚症状があまりないため、検査を受けようと考える人が少ないのが問題になっている。「星が丘整形外科リハビリテーションクリニック」の南雲明院長は、整形外科医としてさまざまな病院で診療をしてきた経験上、骨粗しょう症の早期治療の重要性を実感している。「骨折によって体が動かなくなってしまうと、そのほかの病気にかかるリスクも上がってしまいます。そのため、骨粗しょう症は早めに治療しましょう」と語る南雲院長に、骨粗しょう症の原因やリスク因子、検査や治療法、食事や運動による予防、日常生活で気をつける点などを聞いた。
(取材日2025年3月27日)
目次
閉経、加齢、糖尿病、ステロイド薬の服用などが骨粗しょう症のリスク。当てはまる人は早めに検査を
- Q骨粗しょう症とは、どういった病気なのでしょうか?
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A
▲骨粗しょう症は、早期発見が重要
骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。常に作り替えられている組織である骨は、破骨細胞が骨を破壊し、骨芽細胞が構築するというメカニズムを有しています。中年期まではそのバランスが保たれますが、女性は閉経によって破骨細胞を制御していた女性ホルモンが減り、女性ホルモンが不足すると骨密度が急激に落ちるのです。しかし自覚症状がないため多くの人が放置してしまいます。日本には1500万人以上の骨粗しょう症患者がいるといわれていますが、そのうち検査受診者は6%足らずです。さらに神奈川県は全国ワースト3位で、1%しか受診していないというデータがあります。早期発見のため早めの検査を心がけてください。
- Q骨粗しょう症の検査について教えてください。
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A
▲エックス線検査や骨密度検査を実施して、骨量を調べていく
エックス線検査でも診断は可能ですが、より精度の高い測定をするには骨密度検査機器を用います。この機器は測定時間約5分で、被ばく量は胸部エックス線撮影の6分の1程度。当院では、先進のセラミックディテクターと高周波エックス線管球を採用した機器を導入しており、体厚のある患者さんの画像もより鮮明に描出します。さらに血液検査による骨代謝マーカーの測定も行います。骨密度と骨代謝マーカーに異常がなければ年に1度の検査で問題ありませんが、治療を始めている方は、確認のため4ヵ月に1度の検査を目安にしてください。なお、当院には骨粗しょう症の専門知識を持つ医師と理学療法士が在籍し、適切な医療を提供しています。
- Q骨粗しょう症は遺伝するのでしょうか?
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A
▲家族の既往歴についてもポイントになる
遺伝はしませんが、体のつくりは遺伝するため、家族に骨粗しょう症の人がいる場合は要注意です。閉経後の痩せ型の女性、婦人科系疾患で卵巣や子宮を摘出している方も骨粗しょう症になりやすいといえます。リスク因子がある方は早めに検査を受けてください。また、ほかの疾患や治療によって骨量が低下する続発性骨粗しょう症もあります。糖尿病、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患といった疾患のほかにも、胃切除後は栄養素の摂取が悪くなりますし、ステロイド薬や抗けいれん薬には骨量を下げる副作用があります。続発性骨粗しょう症の場合は、骨粗しょう症に加えて、原疾患の治療を行う必要があるため、医師に相談し治療計画を立ててもらいましょう。
- Q骨粗しょう症は、どのような治療を行うのでしょうか?
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A
▲食事の見直しや薬などの服用で、改善をめざす
骨粗しょう症の原因の多くは、閉経に伴い女性ホルモンが減少したことなので、食事の見直しや運動だけで改善を図るのは困難です。そこで、骨密度を高めて骨の形成を促進し、骨吸収の抑制を図るビスホスホネート製剤、デノスマブ、活性型ビタミンD3製剤などの薬を服用することになります。ただし、薬だけでも不十分なので、並行して食事管理と運動を行います。運動は、骨密度を高めるには骨に負荷をかける必要があるので、ウォーキングや軽いジョギング、スクワットなどがお勧めです。食事では、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養素をバランス良く摂取することが重要です。特にお勧めなのが乳製品、小魚、緑黄色野菜などです。