加齢黄斑変性を早期発見し
硝子体注射による治療で失明防止を
いわみ眼科
(芦屋市/芦屋駅)
最終更新日:2021/10/20


- 保険診療
生活する上で欠かせない視力。視力が落ちると、活動量が低下して生活の質に影響を与えるほか、高齢者の場合は外からの刺激が減少し、認知症につながることもあるそうだ。加齢黄斑変性は著しい視力低下を招く進行性の疾患で、日本人の失明原因にも挙げられている。治療により進行を食い止めることが期待できる疾患にもかかわらず、手遅れになってかけがえのない視力を失うケースが後を絶たない。芦屋にある「いわみ眼科」では、加齢黄斑変性を早期発見するために先進の機器を導入し、大学病院と同等レベルの検査と治療を実施。一人でも多くの人の視力を守るべく、専門性の高い診療を行っている。今回は岩見久司院長に、加齢黄斑変性の特徴や検査・治療などについて解説してもらった。
(再取材日2021年7月16日)
目次
検査を受けて早期発見・治療へ。加齢黄斑変性の進行を食い止め、大切な視力を守ろう
- Q加齢黄斑変性とはどのような病気ですか?
-
A
▲幅広い症例に対応してきた院長がわかりやすく説明してくれる
目の奥には網膜と呼ばれる薄い組織があり、その中心部を黄斑と呼びます。黄斑は物を見る上で重要な役割を果たしていますが、網膜の下に老廃物がたまると加齢黄斑変性を引き起こし、視力の低下や失明へと発展してしまいます。発症する原因としては、遺伝を含めた体質、喫煙習慣、加齢の3つの要素が挙げられ、中でも深刻なリスクファクターとなるのが喫煙です。過去の喫煙歴も含め、タバコを吸っている人は吸っていない人に比べると加齢黄斑変性を発症するリスクが約5倍にまで高まるといわれているからです。2025年には、喫煙率が高いとされる団塊世代が後期高齢者になるため、ますます罹患率が高くなると予想しています。
- Q自覚症状はありますか?
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A
▲リラックスして待てるよう、待合室には水槽が設置されている
物がゆがんで見えるのが代表的な症状です。視界の中心が不自然にゆがんで見えますが、周りの部分は正常な見え方をします。さらに進行すると、「中心暗点」といって、視界の中心が見えなくなり、視力が低下します。治療しなければ、大抵は視力が0.1以下にまで落ち込み、最悪の場合失明に至ります。多くの患者さんは、見え方に異常を感じて受診されます。しかし、一方の目で病気が進行していても、もう一方の目が見えにくさを補ってしまうので、気づくのが遅れてしまうことがあります。また、通常の診察だけでは見つけにくいのが特徴です。網膜は強いダメージを受けすぎると機能を取り戻すことができないので、早期発見・治療が非常に大切です。
- Q早期発見するためには、どうすればよいのでしょうか?
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A
▲整理整頓された診察室
見え方に違和感がある人や50歳以上の人、喫煙者と元喫煙者、両親やきょうだいが発症したという人は、加齢黄斑変性の治療に対応している眼科を受診していただければと思います。当院の場合は、視力低下により受診された方には、スクリーニングとして必ず眼底検査を実施します。眼底の写真を撮影することで、ある程度の診断に結びつけられるからです。さらに精密検査が必要になれば散瞳検査を行います。加齢黄斑変性は発見が遅れると失明してしまう可能性があるため、視力低下が受診の理由であったとしても、少しでも疑わしい場合は検査を行い、リスクの有無を確認しています。違和感を覚えた際は、早めに専門家に相談されるほうがよいでしょう。
- Q加齢黄斑変性が疑わしい場合、どのような検査を行うのですか?
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A
▲的確な診断のため検査機器も充実
加齢黄斑変性の診断には、眼底検査のほかにOCTと呼ばれる黄斑の断層検査、蛍光眼底造影検査、光干渉断層血管撮影、自発蛍光検査が重要です。当院はレーザー光線による眼底写真および光干渉断層計の複合機を導入し、大学病院と同等レベルの検査機能を備えているので、5つの検査をすべて行うことが可能です。これらの検査を受けるには、事前に散瞳検査を受けていただく必要があり、造影検査に関しては予約制で30分ほどの時間をかけて行います。検査の結果から、加齢黄斑変性だと判断した場合は、目の状態や病気についてわかりやすい言葉を用いてしっかり説明し、納得していただいた上で治療に進みます。
- Q治療方法について教えてください。
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A
▲「気になったら早めの受診を」と呼びかける岩見院長
治療の第一選択は硝子体注射で、入院せずに受診したその日のうちに治療を受けられることが最大のメリットです。これまでは感染予防のため事前に抗菌薬を点眼する必要がありましたが、どのタイミングで抗菌処置を行っても感染リスクに影響しないということが近年の研究で明らかになってきたので、当院では即日対応で治療を進められる環境と設備を整えています。通院に関しても、異常を来す血管の活動の有無を見ながら間隔を設定し、状態に応じて次回通院日を臨機応変に決めています。患者さん一人ひとりの体力や社会的背景に合わせて、必要最小限の診察と注射を行っているため、負担を軽減することにもつなげられるのではないでしょうか。