レンズ装着により近視抑制をめざす
子どもへのオルソケラトロジー
いわみ眼科
(芦屋市/芦屋駅)
最終更新日:2025/01/08


- 自由診療
専用レンズを用いて近視矯正を行うオルソケラトロジー。就寝時にハードコンタクトレンズを装着するだけで視力矯正をめざせることから、小さな子どもでも始めやすいと注目されているそうだ。さらに、近年は小児の近視進行抑制にも有用といわれており、すでにヨーロッパやアメリカでは広く認知されているという。「近視は避けることが難しい疾患の1つです。ですが、さまざまなアプローチにより抑制できる可能性があることもわかってきました」と話すのは、「いわみ眼科」の岩見久司院長。早期から小児のオルソケラトロジーに注目して取り組み、6歳の子どもに対して適応した経験もある。「子どもたちの近視を食い止めたい」と力強く語る岩見院長に、オルソケラトロジーとはどのような治療なのか、詳しく解説してもらった。
(取材日2019年4月3日/再取材2022年9月26日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q「オルソケラトロジー」とは、どんな治療ですか?
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A
オルソケラトロジーとは、特殊なデザインをされたハードコンタクトレンズを就寝時に装着し、近視矯正を行う治療法です。海外で半世紀、日本でも30年ほどの歴史があり、2017年からは「慎重処方」を条件に未成年への処方も容認されました。一般的に、近視矯正法の一つとして知られるオルソケラトロジーですが、子どもへの適応件数が増えたことで、近視抑制にもつながり得るとわかってきています。近視は眼軸長といわれる角膜から網膜までの長さが伸びることによって焦点が合わなくなるのが原因とされます。眼軸長が伸びやすく近視が最も進む8~16歳にオルソケラトロジーを行うことで、近視進行の鈍化が期待できると考えられているのです。
- Q「オルソケラトロジー」のメリットを教えてください。
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A
メリットは「手軽さ」です。睡眠時にレンズを装着して角膜形状の矯正を促し、起床後はレンズを外します。すると日中は一定時間、形状が矯正された状態が保たれると期待できます。裸眼視力の改善を図ることで、眼鏡やコンタクトレンズがずれたり外れたりする心配をせず、スポーツを思いっきり楽しんでもらえるようになればと思っています。また自宅で就寝時のみ着用するので、保護者が管理しやすく破損や紛失の心配も少なくて済みます。さらに、角膜の形状を手術によって変えるレーシックとは違い、レンズ着用を中止すれば角膜形状は徐々に元に戻っていくため、老眼や乱視など加齢とともに視力の状況が変わった時も対処しやすいといえるでしょう。
- Q「オルソケラトロジー」は何歳から始めることができますか?
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A
現在、当院での最年少の患者さんは6歳です。近視化が始まっているのであれば、6~8歳で始めるのが適切ですが、遅くとも近視進行のピークといわれる小学生の間には始めてほしいですね。いったん伸びた眼軸長は、元に戻りません。最近は幼稚園児から近視が始まることも珍しくなく、近視の進行が疑われたら早めにオルソケラトロジーを専門とするクリニックで相談するのが良いでしょう。「うちの子にできるかしら」と不安に思う保護者の方も多いのですが、きちんと検査して適切なレンズを装着すれば、それほど怖いことはありません。また、視力矯正を図ることで、姿勢が良くなったり、集中力が向上したりといった変化も期待できますよ。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1治療内容について、時間をかけて丁寧に説明
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近視が起こる理由から、オルソケラトロジーにより角膜の形状をどのように矯正し得るのかの説明、さらに治療の流れ、メリット・デメリット、自由診療の費用まで、すべての不安を解消してから治療に臨めるよう医師がわかりやすく丁寧に説明。併せて、「目から距離を取って本やゲームを見る」「ときどき遠くを見る」など、近視を進行させないための生活習慣指導も受ける。
- 2近視の度合い、角膜形状などの適応検査を受ける
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レンズ装用に適しているかを調べるため、近視の度合いや角膜形状、角膜内皮細胞数の測定などの検査を受ける。同クリニックは白内障手術なども行うため、眼球の内部まで精密に調べられる検査設備を整えており、日本眼科学会眼科専門医かつ講習会などでオルソケラトロジーを専門的に学んだ医師を中心に、ガイドラインに則り検査・処方を行う。強度の近視や乱視があると、まれにオルソケラトロジーが適さないケースもあるという。
- 3スタッフ指導のもと、レンズ装着練習にトライ
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検査に問題がなければ、レンズのカーブを決めるためトライアルレンズを装用してフィッティングを調整。黒目のカーブに合うレンズが見つかったら、装脱着の練習を開始する。レンズや眼球にごみなど異物が付着していなければ痛みや違和感はほぼなく、問題なく着けられる人が多いという。スタッフの指導で装脱着に慣れたら専用レンズをオーダー。
- 4自宅でオルソケラトロジーを開始
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就寝前にオルソケラトロジーレンズを装着し、朝起きたら外すだけ。角膜形状に“癖”をつけて矯正を促すと、外しても一定時間その癖が保たれ、日中は裸眼で過ごせるようになることも期待できる。ただし、睡眠時間は6時間以上キープすること。毎日のケアは一般的なコンタクトレンズと変わらないが、不衛生なまま使用を続けると目の感染症を引き起こす恐れがあるため、月1度はより徹底したケアを行うよう丁寧に指導しているそう。
- 5定期検査で視力測定や角膜形状などをチェック
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治療開始後3ヵ月間は毎月、それ以降は3ヵ月に1回のペースで検査を受けるために通院。視力測定のほか、角膜形状に問題はないか、オルソケラトロジーレンズのカーブとずれがないか、目に負担がかかっていないかなどが慎重に見極められる。個人差はあるものの、角膜形状矯正が定着し始めると見込まれる一般的な目安は、治療開始後1~2週間ほどだという。その後、レンズは2年に1度の頻度で交換していく。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/適応検査&トライアル装用:1万円、専用レンズ試し装着:両眼9万円(検査代1万円含む)※1ヵ月以内に治療を中止する場合はレンズ代8万円は全額返金、装用2ヵ月~3ヵ月は毎月検査、4ヵ月目以降3ヵ月に1回検査:5000円/1回、24ヵ月ごとのレンズ交換(破損がなくても交換):1枚3万円