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山本 史郎 院長の独自取材記事

山本医院

(新宿区/目白駅)

最終更新日:2021/10/12

山本史郎院長 山本医院 main

JR目白駅より徒歩12分、2016年1月にリニューアルした「山本医院」は、皮膚科と泌尿器科を標榜。アレルギー疾患の患者にも優しい、自然素材をふんだんに取り入れたバリアフリー設計になっている。シンプルかつ洗練された印象の待合室は、無垢材が随所に用いられ木の香りが清々しい。同院は1967年に開院。1997年に2代目院長に就任した山本史郎先生は、日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医として診療を行いつつ、プライマリケアにも力を注ぐ。見落としがないよう患者からしっかり話を聞いて診断し、適切な紹介先を選ぶゲートキーパーでいることも自分の職責と考える山本先生に、日々の診療や診療理念について聞いた。

(取材日2016年11月10日)

父の代から続く医院で地域医療を支えるクリニック

こちらの医院や先生のご経歴などを教えてください。

山本史郎院長 山本医院1

1967年に父が開院しました。父も泌尿器科の医師で、とても患者さんに信頼されていました。私はというと、日本医科大学に在籍し、日本医科大学千葉北総病院の泌尿器科開設に携わった後、都内や神奈川県内の大学病院や総合病院の泌尿器科で勤務していました。1997年に父が急逝し、以来、院長を務めています。ただ医院の継承は、手がけていた遺伝子治療の基礎研究が形になって学位を取得し、留学も考えていた矢先でもあったため悩みました。しかし、長年父のもとに通ってくださった患者さんのことを思うといったん閉院するのも申し訳ない。当初は午前限定で医院の診療をし、午後は大学で診療するなどしていましたが、最終的には今のかたちに落ち着きました。父は信頼が厚い医師だっただけに継続して来られる患者さんが今もいます。そういう患者さんのためにも、やはり医院を継承してよかったです。続けることに意味があったんだなと感じます。

患者層について教えてください。

祖父母世代から子や孫へと、家族ぐるみでずっとかかってくださる方、かつて目白台にあった東京大学の分院で父が診察した患者さんも、開業以来ずっと通い続けてくださり、今は私がその方を診療しています。この地域は昔から住んでいる高齢者の方が多いのですが、一方で中落合周辺に新しいマンションが建ち、新しく入ってくる方も増えましたね。ただ、郊外のように若年層ではなく、一定の年齢に達した方が多く、患者層の高齢化を肌で感じます。

患者さんに多い症状は?

山本史郎院長 山本医院2

泌尿器科では、膀胱炎・腎盂腎炎(じんうじんえん)・尿道炎などの感染症が多いです。高齢者では、前立腺肥大症や過活動膀胱といった排尿障害も目立ちます。受診のタイミングは誰しも迷うと思いますが、尿が出にくい・頻尿・排尿時の痛み・血尿などがあったら、気軽に相談していただきたいですね。皮膚科は小児から高齢者まで幅広い年代の方が受診されます。アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の他、イボやとびひ、足の水虫などの感染症、高齢者では皮膚の乾燥が原因の皮脂欠乏性皮膚炎や帯状疱疹といった病気も多く見受けられます。

患者に優しい自然素材を使ったバリアフリー設計

2016年1月に建物をリニューアルされたそうですね。

山本史郎院長 山本医院3

以前は鉄筋コンクリートで3階建てでしたが、新耐震基準前の設計で不安もありました。患者さんの高齢化に伴い、なるべくフラットな段差のない造りにして、足の不自由な人や車いすの人も移動しやすいようにしました。また、皮膚科はアレルギー疾患の患者さんも多いですから、なるべく化学物質を排除し、自然素材を取り入れようと設計の段階から意識しました。待合室は木材をふんだんに使用しているので、歳月を重ねるごとに味わい深い印象になるだろうと思います。患者さんも自分のことのように喜んでくれて、きれいになってよかったですねと言っていただきました。改装後、新患も増えましたし、久しぶりに来院される方もいますね。

診療時に心がけていることはありますか? 

患者さんとのコミュニケーションを大切にし、しっかりお話を聞くことです。特に、なかなか口に出しづらい頻尿や尿漏れなどは、何が一番困っているかを丁寧に聞き出すようにしています。患者さんご本人だけではなく、普段ケアをされているご家族にも伺います。こちらから大きな病院へ紹介することもありますが、その際に診療時間がすごく短かかったときなどは、医師に疑問点など聞きそびれてしまい、不安に感じて当院に来院される方もいます。その場合、「きっとその先生はこういうことを話したかったんですよ」と、お話しすると安心して帰られます。

プライマリケアにも注力されているそうですね。

私は泌尿器科を専門としていますが、患者さんの訴えをよく聞いて、丁寧な診察をするように心がけています。特に、がんや重度の感染症などを見逃さないよう注意しています。血尿があり内科では問題がないと言われたが実は膀胱がんだった方もいました。また、皮膚科では、陰部の湿疹と診断された患者さんが、改善しなくて当院へ来院し、特殊な皮膚がんとわかった例もあります。専門外だと、どうしても見落としの危険性がある。ですから、抱え込まないことが大切です。私にも自分の守備範囲があり、できない検査があるなら、しかるべき病院へ紹介します。私は気軽に相談できる、地域の医師であることを意識しつつも、皮膚科・泌尿器科の医師としての職責を確実に果たすことが自分の役割だと思っています。

やりがいを感じるのはどんな時ですか? 

山本史郎院長 山本医院4

患者さんに満足してもらうことが、モチベーションの維持につながっています。いつでもフレッシュな気持ちで患者さんと向き合いたいので、なるべく興味を外へ向けるようにしています。市民公開講座での講演や、医師会の防災委員長として医療救護訓練に携わっているのもそのためです。患者さんとの付き合いを通じ、自分を高める努力は日々惜しみません。

専門の医師として地域の在宅医療をサポートしたい

訪問診療も行っているそうですね。

山本史郎院長 山本医院5

尿道カテーテルや褥瘡(じょくそう)の管理など、限られた方の訪問診療を請け負っています。在宅診療専門なら、24時間体制で複数の医師で対応できますが、私の場合は医院での診療の合間を縫って1人でやっているため、大勢を診ることはできません。最近は患者さんを住み慣れた地域で見ていくという流れになってきており、訪問診療も訪問看護師やケアマネージャーなどと協力し、チームとして患者さんとご家族をサポートすることが必要です。これからさらに高齢化が進み、排尿障害や高齢者の皮膚病も増えていくでしょう。皮膚科・泌尿器科の専門家として地域から信頼される医師でありたいですね。

印象に残る患者さんとのエピソードはありますか? 

大学病院勤務時代に苦労した思い出はよく記憶に残っています。浸潤性の膀胱がんで、重症な患者さんがいました。もともと糖尿病などの余病があったのですが、膀胱を摘出してから人工膀胱を作る手術をした後、尿漏れや感染症といったトラブルがありました。何とか回復され、半年入院生活を送ってから退院し、お嬢さんの結婚式へ出席されました。残念ながら数年後に亡くなったのですが、ご家族から「大変だったけれど、父親として出席できたことを大変喜んでいた」と言っていただけたのが印象的でしたね。ほかにも30代で小さなお子さんを抱える方から、膀胱がんが見つかったことがあります。まさかその年齢でないだろうと思いがちですが、疑うことは大切です。早い段階で見つけられ、今は社会復帰されています。皮膚科でもわずかな皮膚症状から膠原病が見つかることもあり、早期発見できると患者さんには感謝されますね。

読者へのメッセージをお願いします。

山本史郎院長 山本医院6

この地域は、運動や食事への健康意識が高い地域ですが、残念ながら、がんが進行してから見つかる方も数人いました。予防が一番大切ですが、万が一病気になったときも、素早く対処することが重要。私たちは、皮膚科や泌尿器科の些細な症状でも気軽に相談できるクリニックでありたいと考えています。

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