睡眠時無呼吸症候群とは
治療によっていびき、昼間の眠気の改善へ
うすだ内科クリニック
(世田谷区/明大前駅)
最終更新日:2024/12/23
- 保険診療
いびき、睡眠中の息苦しさ、日中の眠気などを生じる睡眠時無呼吸症候群。患者本人の生活の質を低下させるだけでなく、仕事効率やパートナーの睡眠に悪影響を及ぼすこともある。さらに高血圧症や糖尿病を悪化させることから、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重い病気を引き起こしかねない。多くの場合、肥満が関係しているという睡眠時無呼吸症候群。世田谷区にある「うすだ内科クリニック」の臼田和弘院長は以前から高血圧や糖尿病のコントロールに取り組み、睡眠時無呼吸症候群の治療でも、CPAPの使用と並行して肥満の解消や体質改善に力を入れている。睡眠時無呼吸症候群はなぜ起こるのか、また検査や治療について、臼田院長に詳しい話を聞いた。
(取材日2024年7月22日)
目次
睡眠時無呼吸症候群の治療は、命を守るための治療。いびき緩和や睡眠改善だけでなく、重い血管疾患の予防も
- Q睡眠時無呼吸症候群の症状について教えてください。
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A
患者さんの主訴で多いのは、いびき、睡眠中の息苦しさ、日中の眠気などです。ご自身では気づかなくても、パートナーにいびきを指摘されて来院される方も多いですね。ご自身でも気づかぬうちに何度も呼吸が止まってしまったり、大きないびきはパートナーの睡眠にも影響してしまいます。また日中の眠気の原因がわからず、検査してみたら睡眠時無呼吸症候群が見つかるということも十分あり得ます。仕事の効率や休日の過ごし方にも関わってきますし、放置し続けると健康にも悪影響を及ぼします。少しでも思いあたることがあれば、一度検査にいらしてください。
- Q放置するとどのようなリスクがありますか?
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A
睡眠中に何度も呼吸が止まると、低酸素の状態が続いてしまいます。これは血圧や血糖のコントロールに影響を与え、高血圧や糖尿病を悪化させる原因となり得ます。肥満体質の方ですと、中性脂肪やコレステロールなど血中の脂質を上昇させてしまうこともありますね。高血圧・糖尿病・脂質異常症は動脈硬化につながり、脳卒中や心筋梗塞といった重い病気を引き起こしかねません。睡眠時無呼吸症候群の治療は、いびきの緩和や睡眠の改善が期待できるだけでなく、重い病気を防ぐことにつながる「命を守るための治療」とも言えるでしょう。
- Q睡眠時無呼吸症候群はなぜ起こるのですか?
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A
大きく2つのタイプに分けられ、1つは上気道の閉塞によるものです。上向きで横になると空気の通り道である上気道がふさがって、呼吸が止まってしまうんですね。睡眠時無呼吸症候群のほとんどがこのケースで、肥満体質の方に多く見られます。もう1つはチェーンストークス呼吸といって、呼吸をコントロールする中枢神経の障害によるものです。その他、メンタルや耳鼻科の病気が隠れていて、いびきや不眠として現れることもありますね。症状を放置したままですと、そのような隠れている病気を見逃すことにもなってしまいます。
- Qどのような検査で確定診断に至るのですか?
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A
まずはご自宅で検査キットを使って簡易検査を行っていただきます。メーカーから送られてきたキットを就寝中に装着していただく検査です。この段階で1時間に40回以上の無呼吸状態が確認できた場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。無呼吸状態が5回から39回であった場合、1泊入院もしくはご自宅で精密検査を実施。そこで1時間に20回以上の無呼吸状態が確認できた場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。これらの検査は、原因が上気道の閉塞であっても神経の問題であっても共通です。睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、治療には保険が適用されます。
- Qこちらのクリニックでの治療について教えてください。
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A
一般的には、専用のマスクを装着して空気を送り込む「CPAP」という治療法を用いますが、これは睡眠時無呼吸症候群そのものを治すわけではありません。医師によるデータ解析と合わせて、定期的な診察で自覚症状の変化などを確認しながら、例えば肥満体質ならば体重のコントロールなどを行います。空気を送り込むマスクの種類にもいくつかあり、その方にフィットするものを探していくことも大切です。減量により上気道の閉塞が改善すれば、マスクが不要になる可能性も。そのほか、気道改善の外科手術や、専用の機械で舌下神経を刺激する治療法もあり、当院ではご希望に応じて耳鼻科や整形外科の先生をご紹介します。