浅川 晋宏 院長の独自取材記事
衣笠あさかわ眼科
(横須賀市/衣笠駅)
最終更新日:2023/10/19
衣笠病院に長く在籍していたことから、2018年に「衣笠あさかわ眼科」を開院した浅川晋宏(くにひろ)院長。眼科の一般的な症状から子どもの弱視・斜視の検査と矯正、白内障、緑内障、黄斑疾患などの治療まで幅広く対応している。身近に白内障の日帰り手術や、緑内障の専門的な治療も受けられると、近隣はもとより、広く三浦半島全体から患者が訪れるという。「ここですべて診てほしいという患者さんの気持ちに応え、専門的な医療設備による検査・治療も数多く行っています」と話す浅川院長に、衣笠地域との関わりや地域密着の診療スタイルなど、同院の特色を詳しく聞いた。
(取材日2023年9月1日)
地域に根差した「目のことはなんでも相談できる眼科」
こちらは、多くの患者さんが来られるのですね。
近隣の方はもとより、駅前でバスのアクセスも良いので、三浦半島の西側からも来てくださいますね。目の痛み・かゆみ、ドライアイ、眼精疲労といった一般的な症状から、お子さんの弱視・斜視の早期発見および矯正、白内障の日帰り手術、緑内障に対するレーザー治療や手術、黄斑変性の硝子体内注射による治療など、幅広く対応しています。また、視能訓練士が在籍し、専門的な立場から視力検査や視能矯正を行っています。特にお子さんの弱視の矯正は、視機能が完成する12歳頃までに終える必要があるので、視能訓練士による適切な検査と視能訓練に注力しています。
院内には、どのようなこだわりがありますか。
リラックスして過ごせるように、全体的にスペースにゆとりを持たせ明るくやわらかな配色にし、花柄をデザインとして取り入れています。「大きな病院を紹介されるより、ここですべて診てほしい」という方が多いので、無菌状態で手術を行うための手術室を設け、網膜部を検査するOCT、目の前部を調べる前眼部OCTなど、病院と同等の検査・治療ができるよう医療設備を整えました。最近では、眼底検査を無散瞳でできる広角眼底写真撮影用カメラも導入しました。
開業までの経緯を教えてください。
大学卒業後、大学病院やその関連病院の眼科で診療してきました。中でも9年間在籍していたのが衣笠病院で、眼科医長として地域のさまざまな診療科の先生方と協力して、地域医療の向上に努めました。その後、大学でより専門的な技術の修練を積んでいたところ、衣笠駅近くの眼科の先生が急逝され、近隣の先生方から「同じ場所で眼科をやっていただけませんか」とお声かけいただいたので、これも何かのご縁と思い当院を開院しました。衣笠地区は地域とのつながりもあり、私にとって大切な場所。たいへん貴重な機会をいただいたと感じています。
白内障の日帰り手術や緑内障の専門的な治療を実施
白内障の日帰り手術について教えてください。
白内障は目の水晶体が濁って、目がかすんだり外光をまぶしく感じたりする病気です。症状が進まないうちは進行を遅らせるための薬で対処する方法もありますが、水晶体を人工レンズに置き換える手術が現時点での根本的な治療法です。日常生活に不自由を感じるなど中等度の白内障なら、ほとんどの場合日帰り手術は可能です。重症白内障に角膜疾患が合併しているなど術中合併症が起きやすい場合などは、連携病院への紹介も検討します。丁寧な検査で白内障の診断を行い、日帰り手術となった場合は手術日を設定します。ほとんどの方が外来での通院手術を選択されますが、自力での歩行が難しい方で付き添いがいないため転倒のリスクが高い方や、ご自宅であっても見えない目でひと晩過ごされることに不安を感じるという方は、入院施設への紹介も検討します。患者さんに入院を伴う手術のメリット・デメリットを十分にご説明した上で、ご判断いただくようにしています。
緑内障の治療についても聞かせてください。
緑内障は視神経に障害が起こり、視野が次第に欠けていく病気です。眼圧の上昇が原因の一つとされ、一度失った視野の回復は難しいため、早期発見がとても重要な病気です。点眼薬やレーザー、場合によっては手術で眼圧を下げることをめざします。最近、眼圧を下げるための手術を白内障手術と同時に低侵襲で行うことができるようになり、当院でも手がけています。また眼圧が突然上昇して、急速に緑内障の症状が進む急性緑内障発作では、短期間で失明に至る可能性もあります。時に白内障の進行が急性緑内障発作の原因になるため、健康診断や人間ドックを受けた際、眼科の検査項目で要再検査と診断された場合は、早めに眼科を受診することをお勧めします。自分でも進行が感じられない白内障や緑内障が隠れていることもあるので、一度健診目的に眼科を受診されるのも良いと思います。
子どもの近視や弱視を早く発見するにはどうしたら良いのでしょうか。
お子さんは自分の見え方がほかの人とどう違うかなどの判断は難しいですし、3歳児健診や就学前健診ではわからない場合もあります。できれば小学校入学前に、視能訓練士の在籍する眼科で検診を受けていただくほうがいいでしょう。眼鏡をかけるタイミングや、眼鏡の選び方も眼科で相談してほしいですね。近視に関する研究では「自然光に含まれる特定の波長に、近視の抑制が期待できるような働きがある」と証明され、外遊びを勧める報告もあります。とはいえ、温暖化の影響で外遊びは熱中症の心配もありますし、難しいところですね。私にも子どもがいますから、医師として父親として、小児の近視抑制に取り組んでいく必要性を感じているところです。
地域密着の眼科として多様化するニーズに積極的に対応
先生はどうして医師をめざされたのですか。
父が歯科医師だったため子どもの頃から医療分野に親しみを感じ、やがて医師をめざすようになりました。眼科を選んだのは私自身が近視で、目の病気や治療に興味を持ったためです。大学卒業後は大学病院や関連病院で経験を積むと同時に、脳と視覚の関係をMRIなどを使って明らかにする研究にも取り組み、アメリカの大学や国内研究施設でも研究を続けました。目から得られる情報は非常に膨大で、脳の活性化につながります。逆に高齢になって白内障などで目が見えにくくなると、行動や反応が活発でなくなり、時にはご家族から認知症と思われてしまうようなケースもあるのです。そうした患者さんが、豊かな生活を取り戻すことに貢献できる眼科の医師になって本当に良かったと思います。
診療される上で心がけていることは?
その方が抱えているさまざまな症状や不安を和らげるため、患者さん一人ひとりの訴えに耳を傾けるようにしています。そして適切な診断をもとに、治療法についてわかりやすくご説明し、患者さんの信頼を得た上で治療に入ることも重視しています。また、当院は新しい治療法や検査機器も積極的に導入していますので、私自身の研鑽に加え、スタッフの勉強会にも力を入れています。
今後の展望について聞かせてください。
治療法や検査機器をアップデートしながら、診療の質を高めていきたいですね。白内障の治療への多焦点眼内レンズの導入や、眼内コンタクトレンズなどの導入も考えています。また、できるだけ患者さんの負担を軽減して、快適に診療を受けていただける環境づくりにも力を入れていきたいです。例えば、新型コロナウイルス感染症流行下で患者さんが院内で密になるのを極力避けるためにウェブ予約も導入しました。高齢の患者さんにもご理解いただき、家族に協力してもらいながら積極的に利用してくださっているので、より簡単に便利に利用できるよう年内にはSNSでの予約にリニューアルする予定です。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
今後も皆さんの多様化するニーズに対応できるよう、自分の知識・技術を磨き続け、新たな治療法も積極的に取り入れ、近隣にお住まいのご家族全員が「目のことなら何でも相談できる」ようなクリニックをめざしたいと思っています。視能訓練士も常時在籍していますので、お子さんの弱視や近視など心配なことがあれば、気軽にご相談いただければと思います。また、ドライアイなど一般的な病気も薬の調整で楽になることも望めますし、実は目のアレルギー症状が原因でドライアイと診断される場合もありますので、なかなか良くならない場合にはご相談いただきたいですね。受診してくださる場合は、積極的に予約システムをご利用いただきたいですが、難しい場合は電話でも受診日時の相談をさせていただきます。午前中に混むことが多いので、午後のほうが比較的スムーズにご案内できるかと思います。