予防や症状軽減のためのセルフケア
痛みの少ない鼻うがいのすすめ
はる耳鼻咽喉科
(大阪市城東区/今福鶴見駅)
最終更新日:2024/08/23
- 保険診療
外出後のうがい・手洗いを毎日の習慣にし、風邪やインフルエンザの予防に気を配っている人は多いことだろう。また、花粉症で悩む人は、専用のケア用品で目を洗う人も多いかもしれない。このように、洗い流すことで清潔を保ち、病気の予防や不快感の軽減に役立てるという考えは、日本に浸透していると言えるだろう。そんな中、城東区今福東にある「はる耳鼻咽喉科」の宮部はるか院長は「うがいや手洗いの重要性をみんなが知っている今、もう一つお勧めしたいのが鼻うがいです。特に鼻の症状に悩む人には、ぜひ試してみてもらいたい」と話す。そこで、小さな子どもから高齢者まで、地域の人々のつらい症状に日々寄り添う宮部院長に、「鼻うがい」の目的や方法について、詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2022年9月16日)
目次
風邪の予防だけでなく、不快な症状の軽減も期待できるセルフケア
- Q鼻うがいには、どんな目的があるのですか?
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A
「鼻うがい」は鼻でする「うがい」のことで、鼻の中をきれいに洗い流すことです。空気中にはほこりやウイルス、花粉など、さまざまなものが飛んでいます。呼吸をすればそれらの物質が鼻の中に入り込み、ムズムズしたり鼻詰まりを起こしたりします。中でも鼻の奥のほうにある上咽頭に付着すると、炎症を起こすなどトラブルのもとになります。そんな時、鼻うがいを行えば物理的に鼻の中がきれいになるので、鼻がすっきりするだけでなく、鼻をかんでもなかなか取れないネバネバした鼻水や感染の原因となるウイルスや細菌を洗い流せます。喉のうがいと同じく、風邪の予防にもつながるので、簡単にできるセルフケアの一環としてお勧めしています。
- Q痛みがありそうで不安なのですが?
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A
プールで鼻に水が入り、ツーンとした経験がある人は「鼻に水を入れるなんてとんでもない」と思うかもしれませんね。しかし、正しい方法で行えば心配はありません。ポイントは人間の体液と同じ塩分濃度の生理食塩水を使用することです。最近では鼻うがい用のキットや薬剤が販売されていますので、気に入ったものを購入するのもいいですし、自宅でもぬるま湯と食塩で簡単に作ることができます。1回の鼻うがいには200〜250ccの洗浄液があれば十分ですので、ぬるま湯250ccに対し小さじ0.5杯の塩を溶かすと良いでしょう。分量はそれほど厳密である必要はありません。
- Qうまく鼻うがいをするためのコツを教えてください。
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A
最初はお風呂で練習してみると、濡れても気にならないので良いかもしれませんね。鼻うがいの際にはやや前屈みになり、「あー」と声を出しながら、適度な強さで流し込みましょう。ポイントは「あー」と声を出しながら洗うことと、生理食塩水を勢いよく入れすぎないこと、鼻うがいの後に強く鼻をかみすぎないことです。この3つは中耳炎を防止するためのポイントでもありますので、注意してくださいね。
- Qどんな症状の人にお勧めですか?
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A
急性、慢性問わず副鼻腔炎に悩む方、アレルギー性鼻炎の方、慢性上咽頭炎に悩む方など、つらい鼻の症状を抱えている方にお勧めしています。また、風邪の予防や花粉症対策として、自宅でできるセルフケアを探している方にもお勧めです。難しいことのように感じるかもしれませんが、専用の器具を使えばすぐにできるようになりますし、小さなお子さんでも、慣れればあまり苦痛を感じずにできるようになります。当院の患者さんには、「手洗い・うがい・鼻うがい」といった具合に、毎日の習慣にしている方も多くいらっしゃいます。
- Qどのくらいの間隔で行えば良いですか?
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A
予防的に行う場合には1日に1〜2回がお勧めです。朝歯磨きのついでに鼻うがい、夜は帰宅時か、お風呂で行うと良いですね。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎で症状がきつい時は1日に5〜6回程度洗っても良いと思います。花粉症対策としては外出から戻り、手を洗うタイミングに実施すると良いですね。ただ、不快な症状がなくならないからといって、洗いすぎるのはお勧めしません。鼻うがいを通して「いつもと違うな?」「なんだかおかしいな?」と感じることがあれば、耳鼻科を受診し、適切な治療を受けることも大切なことです。