伊藤 久美子 院長、野口 哲夫 先生、伊藤 俊紀 先生の独自取材記事
はなクリニック
(さいたま市南区/浦和駅)
最終更新日:2026/01/20
小児科と整形外科を併設した「はなクリニック」。伊藤久美子院長が小児科を、久美子院長の父で2024年3月まで同院の院長を務めていた野口哲夫先生と、久美子院長の夫の伊藤俊紀先生が整形外科を担当している。院内はぬくもりある木目を基調にした落ち着きある雰囲気で、車いすやベビーカーでも受診しやすいオールバリアフリー。子どもから高齢者まで、幅広い年齢の患者が訪れる同院の診療について、息の合った様子の久美子院長、野口先生、俊紀先生に話を聞いた。
(取材日2024年9月18日)
家族全員のかかりつけクリニック
小児科と整形外科を標榜しているのが大きな特徴ですね。

【久美子院長】意外と少ないかもしれませんね。私が担当する小児科では、地域の乳幼児から学童期のお子さんのあらゆる病気を診ています。整形外科にかかるほどではないけれど、少し相談したいという親御さんは多いんですよ。鼻水での受診のついでに、「少し前から膝が痛いと言っていて……」といった感じで、気になることをお話ししてくださいます。整形外科にかかる前のワンクッションというんでしょうか。小児科の医師はもともと皮膚や体の痛みなどお子さんに関するご相談はなんでもお受けする存在。そこから痛みが長く続く場合や他に心配な症状があれば、整形外科の受診をお勧めします。ちなみに、当院の待合室は診察順を映すモニターだけでテレビを設置していませんが、これは待つ間にご家族で会話をしてほしいとの思いからです。とはいえ、現在は感染症対策の観点から、待ち時間も少なくするよう工夫しているところです。
整形外科の診療についてお聞かせください。
【野口先生】整形外科でのご相談は、首・肩痛と腰痛が多いです。2階にはリハビリテーションルームもあり、病院で手術を受けた後の機能回復や維持を目的としたリハビリテーションも行えます。エレベーターを設置し、廊下も介助しやすいよう横幅を広めにしたので車いすの方も利用しやすいと思います。痛みは、できるだけ早く取って差し上げたいですね。痛いと来院だけで大変なはずなので、来院した時より良い状態でお帰りいただけるように努めています。今は痛みに対するさまざまな治療法があり、当院では神経ブロック注射も積極的に行っています。我慢せずに早めにご相談ください。お子さんで気になるのは側湾症です。自然治癒するものではなく悪化すると手術が必要になることもあるので、注意深く経過を観察し、進行するようであれば専門の医療機関をご紹介しています。
整形外科は子どもの患者さんも多いのでしょうか。

【俊紀先生】そうですね。小さい子から高齢の方まで、ほぼすべての年代の患者さんを診ています。診療では、お子さんは飽きる前に手早く、ご高齢の患者さんはたくさんお話しさせていただくようにしています。説明では、特にわかりやすさを心がけています。例えば子どもが骨折した時、治るまで動かさないでね、とお話ししますが、ただ動かさないでと言っても理解が難しいので、なぜ動かしてはいけないのかをきちんと説明します。逆にご高齢の方は、リハビリテーションを兼ねて積極的に患部を動かしてほしいとお願いしますが、怖くてなかなか動かせない方が多く、そこが難しいところですね。ですので、患者さんの症状や状況に応じて、こまやかな説明やサポートができるよう努めています。
子どもにもきちんと説明する姿勢
院長の診療におけるポリシーは何ですか?

【久美子院長】子どもを泣かせてまで診察や処置をしたくないと思っています。例えばインフルエンザの検査。あの検査は長い綿棒で鼻の奥をぐりぐりして結構痛いし不快ですよね。中にはトラウマになって、何を聞いても「お鼻のやつやらない?」としか言わないお子さんもいるんです。どうしても必要だから仕方なく行うわけなので、検査する場合には、なぜしないといけないのかをきちんと説明するように心がけています。「痛くないよ」とだますと二度と信用してくれませんし、無理やり押さえつけて行うのは論外だと思っています。きちんとできたら、偉かったね、良かったねと褒めます。診察も予防接種もお子さんの負担にならないように短時間で済ませるように意識しています。
小児科の予防接種についてお聞かせください。
【久美子院長】予防接種はスケジュール管理が大変ですよね。予防接種で来院された際「鼻水が出ているので診察もお願いします」「先日発熱しましたが今日は下がりました」とおっしゃるお母さんがいますが、予防接種は本来体調が万全な時に受けていただくもの。これは大人も子どもも同じです。予防接種はそれ自体が体に大きな負担をかけます。それでも病気にかからないようにするため、体の中に抗体を作る大切なプロセスとして頑張って受けていただかなくてはなりません。親御さんからすると、お子さんの予防接種のためにお仕事の調整をしたり、タイミングを見計らって来院したり、外出だけで大変でしょう。私も二児の母なのでよくわかります。しかし、少しでも小児科にかかりたいような状況なら見合わせましょう。発熱があれば最低1週間、できれば10日~2週間は空けていただきたいです。
整形外科の診療で気をつけていることは何ですか?

【野口先生】今は同じ疾患でも治療法がいくつもあるので、それぞれメリットや使い方をご説明して患者さんに選んでもらうようにしています。例えば痛みの治療なら、薬や注射や湿布などがありますが、人によってライフスタイルや好みが違いますからね。
【俊紀先生】中には骨折のように、どうしても痛みを伴う処置もありますが、私もお子さんを泣かせるようなことはしたくないですね。私の中では、診察や処置が終わって診察室を出る時に、お子さんに「バイバイ」と声をかけ、お子さんが「バイバイ」と手を振り返してくれたらミッション成功だと思っています。
生活に支障が出始めたら早めに受診を
俊紀先生は骨粗しょう症も専門的に診ておられますね。

【俊紀先生】はい。当院では、腰椎と大腿骨で骨密度を測定する機器を導入しています。骨粗しょう症が見逃されて骨折し、放置して骨が曲がってくっついたということは実際に起こっています。骨折しやすいのは、手をついたときの手首、転んでぶつけたときの肩、尻もちをついたときの尾骨と足の付け根の4ヵ所。特に足の付け根は早く手術しないと歩けなくなることも。特に女性は閉経を境に骨密度が低くなりますので、50歳をめどに一度検査を受けてみてください。今は骨粗しょう症治療のための新しい薬もありますし、せっかく受診されたからには、何か役に立つ知識をお土産に持って帰ってもらいたいと思っています。症状の原因や対処法など、知っていれば役立つ知識はたくさんありますので、そんなこともお話ししています。
他に気になる疾患はありますか?
【俊紀先生】痛みが長引くと思ったら骨折一歩手前だったという子がごくたまにいるので注意しています。いわゆる成長痛の半数は、ストレッチで体をほぐすことなく運動をする子に見られます。体が痛くなって初めて、ストレッチの重要性がわかるわけです。一方、スポーツで痛める子も多いですね。少しのフォームの改善が痛みや故障の予防に役立つので、将来的にはフォームもチェックしたいと思っています。また、お子さんは軟骨を痛めることが多く、それは超音波検査でよくわかるので、最近力を入れています。その他、先ほども少しふれた、背骨が曲がってしまう側弯症のチェックも心がけています。学校でスクリーニング検査があるものの、内科の先生が担当する場合が多いこともあって、大人になってから発覚してすでに不調が出ているようなケースも往々にあるのです。ですので、親御さんにもお子さんの体の様子を注意して見ていただければと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

【久美子院長】不安なこと、聞きたいこと、たくさんあると思います。受診するほどではないと思って様子を見ておられる方も多いことでしょう。ですが中には、長期にわたり様子を見ていたために悪化することもあります。我慢しすぎず受診していただきたいです。受診の目安は生活に支障が出始めたら。これは小児科だけでなく整形外科も同様です。咳がひどくて夜中に何度も起きる、足腰が痛くて歩くのがつらい、体の痛みが10日から2週間程度続いたら、ぜひ受診してください。また最近は、乳児の頭の形のご相談も増えてきました。当院では、お話を聞いた上で専門機関にご紹介をしております。時期がずれると治療が難しい場合もありますが、気になるときはご相談ください。

