樋口 貴俊 理事長の独自取材記事
ひぐちデンタル&ケア おひさま歯科
(豊川市/諏訪町駅)
最終更新日:2024/02/14
諏訪町駅から歩いて10分の住宅街に立つ「医療法人D&C ひぐちデンタル&ケア おひさま歯科」。クリニック名には、樋口貴俊理事長のデンタルケアへの思いと、家族で通える明るい歯科医院を理想とする2つの思いが込められている。開業して2年半。患者の半数は子どもが占め、小児矯正に力を注ぐ。「ご家族がお子さんの癖などを見ながらよく話をしてあげることが、小児矯正をうまく進める秘訣」と語る。樋口理事長自身2児の父で、副院長で妻の樋口真理子先生とともに育児の真っただ中。親の目線に立った診療やアドバイスも心がける。父と兄が経営する総合病院と医科歯科連携し、全身の健康を考慮した歯科治療を大切にする樋口理事長に、小児矯正や予防の大切さなどを中心に聞いた。
(取材日2020年11月17日)
医科歯科連携して地域の予防医療に取り組む
歯科医師を志したきっかけをお聞かせください。
外科の医師で総合病院を開業していた父は、夜中に呼び出されて朝方帰宅することも度々あり、人助けになる医療の重要さは、子どもの頃から実感していました。家族で外食に出かけると、患者さんから声をかけられることも多く、地域の人に名前を覚えてもらえるのはすごいことだなと思った記憶があります。兄も医師となり、私も父の出身大学の歯学部へ。現在は、近くにある樋口病院の健診センターのセンター長を兄が務め、父は介護老人保健施設も経営しているので、医科歯科連携しながら地域の方々の健康に貢献していくことをめざしています。
医科歯科連携というのは、具体的にはどのように行われているのですか。
豊川市は県内でも検診の受診率が低く、結果として病気の早期発見が遅れ、がんの死亡率も高いといわれています。私は勤務医の頃に学んだ予防歯科をメインにしていきたいという思いで開業し、父や兄も地域の予防医療の必要性を感じています。全身の予防医療に積極的に取り組んでいくことが、私たち親子の共通理念。例えば、当院の患者さんで糖尿病に加えて歯周病も患っているなど全身疾患がある場合は、病院と連携を取って治療にあたります。また、病院や施設の患者さんで歯や口に問題がある場合は、当院に来ていただいたり、私が施設を訪問しています。施設の患者さんだと、ご家族が安心されるというメリットもありますね。
広々としていて温かい雰囲気のクリニックですね。こだわりを教えてください。
内装でこだわったのは、ベビーカーや車いすがそのまま入れるようにすることです。院内はすべてユニバーサルデザインで、小さなお子さんからお年寄りまで安心して通院いただけるようにしました。診察室は完全個室ですが、私の目が行き届くように各部屋にガラス窓をつけて閉鎖的な空間にならないようにしています。そうすることによって、事故を未然に防ぐことにもつながり、それが患者さんとスタッフの両方を守ることにもなりますからね。また、滅菌室を広く取っているのですが、これは滅菌する前のものと滅菌した後のものを近づけずに分けておくため。通路を通る患者さんが滅菌室を見て安心できるよう見通しもよくしました。待合室から目の届く所にキッズスペース、お手洗いにはベビーベットもあります。ちなみに、お手洗いは特注モデルのゆったりした空間で、当院のちょっとした自慢です。
小児矯正では歯並びに影響する癖の改善にも注力
小児矯正はどのような形で行われていますか。
マウスピース型の装置を使った矯正と顎の内側に装置をつけて顎を広げる床矯正の2つの方法を、状況によって使い分けています。どちらもワイヤーの矯正ではなく、取り外しできる装置です。マウスピース型の装置は、自分で管理できる5歳ぐらいから顎の成長が止まるとされる10歳ぐらいまでに適用し、歯並びや噛み合わせだけでなく、口呼吸から鼻呼吸への改善も図ります。口呼吸だと口の中が乾燥して虫歯になりやすくなりますから、虫歯予防の意味でも鼻呼吸は大事ですね。ただ、9歳ぐらいにならないとご本人が意思を持って矯正に取り組むのは難しいというのが実際のところです。なるべく短期間でスムーズに矯正を進めるためには、親御さんが注意深く見ながらよく話をしてあげるのがポイントかなと思いますね。
小児矯正においては口腔機能の改善も大切だそうですね。
成人矯正では、歯の動きなどを見て装置を調整し、歯並びを矯正していきますが、子どもは歯の生え替わりもあるので、顎の発育や機能を考慮して進める必要があります。そこで、当院では「口腔筋機能療法(MFT)」や「口育」の考え方を取り入れています。歯並びには舌や唇などの癖が影響することが多いため、最初に歯並びの状態からこういう癖があるのではないかとこちらで推測して、ご家族にご自宅でのお子さんの癖を見ていただきます。癖が見つかったら一人ひとりに合わせたカリキュラムを作って癖を直すことで、口腔機能の改善をめざします。口腔機能が低下すると鼻づまりや鼻炎なども起こりやすくなると考えられていますから、全身の健康のためにも口腔機能を十分に発達させることは大切ですね。
マイナス1歳からの予防にも力を入れているとお聞きしました。
妊娠中の方には、お母さん自身だけでなくおなかの赤ちゃんのためのケアもお勧めしています。妊婦の時期にキシリトールを摂取していると、お母さんの体を通して赤ちゃんの虫歯予防も期待できるということがわかってきました。ですから、妊娠6ヵ月から赤ちゃんが母乳を飲む生後9ヵ月ぐらいまでは、キシリトールを摂取することを推奨しています。副院長である私の妻は、専門である歯周病の治療にあたるとともに、子育て中でお母さん方の相談にも乗っています。お子さんの顎の発達のためには、呼吸の仕方や日頃の食事といったことも大事ですので、家庭でできる食育などのアドバイスもさせていただいています。
全身の健康を見据えた予防、メンテナンス、治療を
開院から2年半たち、変化はありましたか。
開院当初はお年寄りの患者さんが中心でしたが、今はお子さんが5割、お年寄りが3割ほどになり、一家で通ってくださっているご家族もいらっしゃいます。地域的には、豊川市内を中心に、ご紹介などで1時間ほどかけて来てくださる方もいらっしゃいますね。診察では親御さんとお話をする機会が多くなり、話しているうちにどのようにアドバイスしたらいいかということがわかってきた気がします。お子さんの中には、どうしても診療を受けることができないお子さんもいらっしゃいますが、何度も通い続けるうちに自我の芽生えがあるのか、お子さんの行動に成長が見られることがあります。そんなときは、やっていて良かったなと思いますね。
今後の展望をお聞かせいただけますか。
お子さんの口腔機能を改善させることが一番の目標ですね。やわらかい物をあまり噛まずに飲み込むことなどによって、顎が育たないため小さく、噛み合わせが悪いお子さんが増えています。そうすると口腔機能が落ちやすくなってしまうんです。また、新型コロナウイルス感染症の感染が広がっていますが、ウイルスは基本的に口や鼻から入りますので、表面上ウイルスを除去しても口の機能が低下しているとどうしても風邪やインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。歯科医院は、虫歯や歯周病の予防、治療のためだけでなく、全身の健康のために通う場になればと思いますね。来年早々には、唾液を調べて虫歯や歯周病の菌を調べる検査を始める予定です。メンテナンスの前後で口の中の状態が見える化されますので、継続的な予防、治療につながるのではないかと考えています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
診療チェアに座ることも苦手なお子さんでも、まずは歯科医院に来る大切さや虫歯の原因などについてゆっくりとお話ししますので、徐々に雰囲気に慣れていってもらえればと思います。もちろん大人の方でも緊張されると思いますので、リラックスしていただけるよう丁寧な説明や声かけにも努めています。歯や口の病気だけでなく、ご家族に体の不調がある場合には医科歯科連携の強みを生かして速やかに病院へ紹介し、相談にも乗れるような、ご家族みんなのかかりつけ歯科医院をめざしていきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円(埋入20万、上部構造10万)、
小児の歯列矯正:マウスピース型の装置を用いる矯正/60万円~、床矯正/15万円~、
ホームホワイトニング/2万6000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。