坂井 秀明 理事長の独自取材記事
香里園かほりまち歯科
(寝屋川市/香里園駅)
最終更新日:2025/04/07

京阪本線の香里園駅から徒歩1分。坂井秀明先生が理事長兼院長を務める「香里園かほりまち歯科」がある。同院がめざすのは、全世代をサポートできる歯科診療。近くにある本院と連携し、本院で虫歯・歯周病治療などの一般歯科診療や小児歯科、訪問診療などを実施し、同院の1階では歯列矯正やインプラント治療など高度な治療を集約する。また3階に予防歯科に特化したフロアを設け、リラックスした気分で予防を継続できるようにしているのも特徴的だ。また「生まれる前」からの予防を推奨する坂井理事長は、産婦人科で講演を行い、子どもの歯が生える前からの通院の大切さを伝える活動にも取り組んでいる。今回は同院の診療ポリシーや取り組み、予防の大切さについてなど、たっぷり話を聞いた。
(取材日2022年3月15日/再取材日2025年3月7日)
全世代をサポートできる歯科診療をめざす
ユニークな造りの歯科医院ですね。

高級感のあるデザインですが、受診される方にフレンドリーな歯科医院でありたいと思っています。1階と3階に分かれており、1階は治療のためのスペース、3階は検診など歯のケアのためのスペースです。虫歯や歯周病にならないための予防とその継続が何よりも大切なので、3階では歯科医院独特の音が出る器具や特有のにおいがする薬剤を一切使わず、心地良く通っていただける空間になっています。近くには本院の「坂井歯科医院」がありますが、そちらでは虫歯や歯周病などの一般歯科診療、小児歯科、訪問診療を。こちらの「香里園かほりまち歯科」では、歯列矯正やインプラント治療、超精密な入れ歯など高度な歯科医療を中心に診療し、互いに連携して、幅広い年代に歯科診療を提供しています。
「生まれる前」からのケアを大事にされているそうですね。
当院では予防に力を入れていますが、本当の意味での「予防」を追求していくと、歯が生える前、さらに生まれる前からの取り組みが必要だという考えに至りました。そこで、妊産婦の歯の健康がお子さんの歯に与える影響について啓発を行ったり、出産後は歯が生える前からお子さんと一緒に通える離乳食教室を開催したり、さまざまな取り組みを行っています。また、歯の生え始めから小学校低学年くらいまでのお子さんで問題となっているのが、口呼吸です。姿勢などの悪習慣や、やわらかい食べ物中心の食生活などが影響して、顎の成長が妨げられ、口呼吸にならざるを得ない状態になっているのです。こうした場合は、まずは正しい姿勢に戻し、MFTと呼ばれるお口の筋肉のトレーニングを行って、習慣の改善を図ることが重要です。お口のチェックとともに、指導やアドバイスを行い、子どもたちの健康を見守るよう努めています。
大人の予防についても、啓発されています。

成人の方が歯科医院を受診される大半の理由は、虫歯や歯周病などで痛みがある、噛めない、といった症状からです。それを治療するのは大切なことですが、さらに重要なのは再発させないこと。しっかり歯を磨いていると思っていても、歯ブラシで落とせる汚れは6割程度。残りの4割ほどは、歯科衛生士によるクリーニングでないときれいにするのは難しいです。30代以降のほとんどの人がかかっているとされ、今や「国民病」とまでいわれる歯周病は、お口の中の健康に害を及ぼすだけでなく、全身の健康にダメージを与えることが明らかになっています。人生100年時代に向けて、ご自身のために定期的なメンテナンスを続けていただきたいですね。
あらゆる面から口腔内の健康を支える
歯周病の治療にも注力されています。

当院ではスウェーデンやフィンランドなど、北欧で確立されたセオリーに基づいた方法を用いてケアを行っています。さらに、自由診療で北欧式予防管理型の根本的歯周病治療も始めています。歯科衛生士によるケアで歯石を取ると同時に、歯周病菌の増殖を根本的に抑制することをめざすものです。治療の技術を習得するには厳しい訓練や特別な機器も必要で、導入している歯科医院はまだまだ多くありません。なかなか歯周病が良くならないという方に、ぜひ知っていただきたい治療法です。
歯列矯正やインプラント治療などを得意とされています。これらはどのようなメリットがありますか?
歯列矯正は見た目を気にして希望される方が多いですが、予防に関するメリットも期待できます。歯並びに問題があると、歯ブラシが届かないので虫歯や歯周病のリスクが高くなるだけでなく、噛み合わせが原因で口呼吸になってしまうこともあるからです。一方、インプラント治療は、歯を失ってしまったときの治療法の一つですが、残っている歯に負担をかけることがないといった点で優れた治療法だといえます。また審美的にも違和感が少なく、自然な歯に近い噛み心地も期待できます。歯を失ったまま放置すると、ほかの歯もまるでドミノ倒しのように次々と駄目になることがありますが、インプラントはそれを防ぐのにも役立つと考えています。ただその歯を治療するためだけでなく、10年、20年後のお口の健康のために、治療提案することも多いですね。
管理栄養士による食事や運動に関するアドバイスなどもされているとか。

食べ物の入り口にあたる口腔内を扱う歯科は、食べ物についての正しい情報も提供する必要があると思います。それなら、「何を食べれば良いかについてアドバイスができれば、患者さんのプラスになるんじゃないか」と考えたことがスタートでした。管理栄養士による歯の健康にも役立つメニューレシピは、院内に置いておくとすぐになくなるほどの人気です。さらに、お口の健康と体の健康はつながっていますから、よりバランス良く健康サポートができるようにと、運動に関するアドバイスなども始め、実際に院内ではヨガによる運動療法も実施しています。また患者さんの中には、うまく食べられない、うまく飲み込めないという方もおられます。院内には栄養サポートチームがいますので、個別のご相談に応じたり、筋肉・脂肪・栄養状態がわかる体成分分析装置を活用する機会を提案したり。あらゆる面からご自身の健康に向き合っていただけるように機会を設けています。
チームで患者に寄り添った診療を提供
歯科医師としてのモットーを教えてください。

一番大切にしているのは、患者さんの気持ちに寄り添うことです。医学的に歯を抜かなければならない状況でも、患者さんが歯を抜きたくないのであれば、可能な限りその思いを尊重します。また、スタッフには患者さんに「出会えて良かった」と思っていただける歯科医院をめざそうと伝えています。そのためには各自がやりがいを持ち、幸せを感じながら働くことが必要ですから、スタッフ間の風通しを良くして、空気感のいい歯科医院でありたいと考えています。実際に院内は和気あいあいとした温かい雰囲気。どなたもリラックスして通っていただけると思います。
スタッフ教育にも熱心に取り組まれておられます。
新人に対しては育成プログラムを用意しています。歯科衛生士は業務の中で非常に大切なSRP(スケーリング・ルートプレーニング)のセミナーを継続的に受講してもらい、新人の歯科医師はグループで独自に開発した歯を削るためのシミュレーションモデルを使っておよそ1年をかけて技術を磨いてもらいます。また、女性のスタッフが多いので、結婚、出産などによって仕事をいったん離れる人が少なくありません。そういうスタッフが、各自の時間的な制約の中で仕事に復帰できる環境を整えています。お子さんが成長してから、再び当院に戻ってくるスタッフもいるんですよ。
今後の展望とメッセージをお聞かせください。

本院の開院から数えると40年以上、香里園の皆さまのお口の健康を見守ってきました。開院当初に小さなお子さんだった患者さんが、ご自身のお子さんを連れてメンテナンスに来てくれる姿などを見ると、「地域の皆さんの健康に少しでも貢献できているのかな」とうれしく思います。これからも息子が院長を務める本院と力を合わせて、地域の健康を底上げできるような医療提供に努めていきたいですね。近い目標としては、新型コロナウイルスの感染拡大以降開催できていないお祭りを再開して、地域の子どもたちと一緒に楽しみたい。また今後の目標としては、クリニックのDX化を進め、より受診しやすい環境を整えていくことを構想しています。例えば、お口をスキャンするだけで必要な治療がわかるアプリの導入などを考えています。皆さまのお力になれるよう、更なるレベルアップをめざしてまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/76万7800円~
インプラント治療/41万8000円~
北欧式予防管理型の根本的歯周病治療/2万900円( × 回数分)円~
メンテナンスは1回につき1万3200円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。