緑内障の検査の重要性について
継続通院で進行を随時チェック
加木屋眼科
(東海市/南加木屋駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
一般的に健診や人間ドックを受ける人は多いが、体の中で目の検査を定期的に受けているという人は少ないだろう。「加木屋眼科」の水野大介院長は「眼科検査は病気を早く発見することに役立ちます」と定期的な検査の重要性を訴える。特に、40歳以降に多い緑内障は初期には自覚症状がほとんどなく、自分ではなかなか異変に気づきにくい。「緑内障は完治が望めない病気なのですが、早期に発見し、治療を始めることで進行を遅らせることが期待できます」とのこと。眼科検査でわかることや、緑内障の検査、治療の流れについて詳しく教えてもらった。
(取材日2021年1月13日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q眼科検査は定期的に受けたほうがよいのでしょうか?
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A
はい。定期的な眼科検査は、病気の早期発見や進行チェックに重要です。大抵の方は、目がかゆい、痛い、見えにくい、目が疲れるといった何らかの症状を訴えて来院されますが、緑内障のように初期には自覚症状がほとんどない病気も少なくありません。視野が欠けるなどの症状に気づく頃には、かなり進行している可能性があります。眼科検査では緑内障の他にも糖尿病網膜症やアレルギー性結膜炎など、自覚症状が乏しい病気を偶然発見することも多いです。特に子どものアレルギー性結膜炎は、治療しないままだと重症化し角膜が混濁してしまう危険もあります。症状のないうちに病気を見つけるためにも、定期的な眼科検査を受けることが大切です。
- Q散瞳眼底検査はなぜ必要なのですか?
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A
散瞳眼底検査では血管や網膜、視神経などを精密に調べることができます。目は肉眼で血管を見ることができる唯一の臓器なので、動脈硬化や高血圧があると血管が反射したり蛇行して見える場合も多く、そこから全身の病変が見つかることがあります。さらにOCT(眼底三次元画像解析)検査で、眼底の断層撮影を行うことで肉眼では確認できないわずかな変化まで確認が可能です。網膜に病変が見つかると、大学病院等での早急な処置が必要になる例もみられます。そのため、当院では定期的な散瞳検査をお勧めしています。
- Q緑内障と診断された場合、継続通院は必要ですか?
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A
はい、必要です。緑内障は完治する病気ではなく、進行して失明に至ることもあり、進行を遅らせることが治療の第一目標となります。継続通院していただくことで、進行の度合いが「急激な下り坂」から「なだらかな下り坂」になればと考えています。そのためには経過観察が特に重要であり、通院時に眼圧や眼底、視野検査などを行い、前回の結果と比べながら薬を調整します。当院では、患者さんが安心して通院していただけるように、わかりやすい説明を心がけています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診票に既往症や精密検査希望の有無を記入する
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問診票に、目について気になることや既往歴などを記入する。散瞳検査をする場合に備えて、来院方法についても記入する。OCT検査や視野検査などの精密検査を希望するかどうかも選択可能。基本的には希望者のみに精密検査をしているが、特に糖尿病の患者は合併症が起こりやすいため、全員受けることを勧めているそう。また問診票の裏面は、網膜疾患のセルフチェックができる仕様となっている。
- 2視力、眼圧検査の後、散瞳眼底検査やOCT検査を行う
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視力、眼圧検査はすべての患者に対して行う。その後、問診票で精密検査を希望した人や、持病があり網膜疾患の危険性が高い人、健康診断で眼底異常の疑いを指摘された人などに、散瞳眼底検査とOCT検査を行う。これらの検査を行うことで、網膜疾患や緑内障の疑いがあるかどうかの判断ができる。
- 3視野検査で見えている範囲を調べる
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OCT検査で緑内障の疑いがある場合は、視野検査へ進む。状況によっては順番が逆になる場合もある。視野検査では、中央にある光を見つめ、視野の範囲内に点滅する光が見えたらボタンを押す。光はさまざまな明るさで点滅する。検査時間は両眼合わせて20分ほどで終了し、その結果により治療が必要かどうかの診断ができる。
- 4緑内障と診断されたら点眼薬での治療が始まる
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緑内障の治療は点眼薬で行う。近年では1日1回、就寝前に点眼する治療法が主流だという。治療が始まったら必ず月に1度は受診し、3ヵ月毎にはOCT検査や視野検査を行い、網膜や視野に変化がないかチェックする。変化がなければ点眼薬は継続し、変化があれば眼圧が良好でも点眼薬の変更が行われる。また、視野の進行具合によっては点眼薬が3~4種類にまで増えることもあるため、用法を守ってきちんと点眼することが大切だ。
- 5定期通院により見え具合のチェックを継続する
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緑内障治療では、定期的に視力、眼圧、眼底、視野の状態を確認することが最も重要だ。同院では、検査日と眼圧の数値、次回の来院目安を書いた「眼圧カード」を患者に渡して、継続通院を促す工夫をしている。自分の経過が目に見えてわかるため、治療のモチベーション向上にもつながる。