リストカットの傷痕に見えなくする、隠すため
戻し植皮手術
きずときずあとのクリニック豊洲院
(江東区/豊洲駅)
最終更新日:2023/11/30
- 自由診療
若い頃に自傷した傷痕をいつも隠しながら生活している、リストカットの痕を消したい、などと人知れず悩んでいる人も多いようだ。実際、「きずときずあとのクリニック豊洲院」の村松英之院長のもとには、リストカットの痕に悩む患者が日々訪れているという。「傷痕はどんな治療をしても完全に消すことはできません。ですので、リストカット痕の治療の目的は、リストカットの傷痕に見えないようにすることであり、それによって患者さんの悩みを少しでも解消することが大切と考えています」と村松院長は話す。そのための有用な治療法として、今、村松院長が着目しているのが「戻し植皮手術」だという。どのような手術なのか、特徴や治療の流れなどについて話を聞いた。
(取材日2021年2月17日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qリストカットの傷痕とほかの傷痕にはどんな違いがあるのですか?
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A
リストカットの傷痕とほかの傷痕とでは、その傷ができた理由が異なります。リストカットの傷は家庭環境や人間関係などに悩み、その抱えきれないほどのストレスによって生じたものです。一方、ほかの傷痕は外傷で原因は外的なもの。いずれも見た目を気にしての受診が多いですが、リストカット痕の場合、傷痕を見た人が気を使ってしまうのではないかと、他人の気持ちを慮って悩む人が多いようです。そもそも傷痕はどんな治療や手術をしても完全に消し去ることはできません。ですので、治療の目的は、普通の傷痕の場合はできるだけ目立たなくすることであり、一方、リストカット痕はそれらしくない別の傷痕に見えるようにすることと考えています。
- Q別の傷痕に見えるようにする方法が「戻し植皮手術」なのですか?
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A
戻し植皮手術は傷痕のある部分の皮膚を薄く採取して、真皮を整えた後、採取した皮膚を90度回転させて元の場所に植皮するという手術です。リストカット特有の横の傷痕が、薄い縦の傷に変わると、何か普通の外傷のように認識されるのです。リストカット痕の治療法としては、ほかにも一般的にはレーザー治療、切除手術、削皮手術がありますが、レーザー治療は太くて深い傷痕にはあまり効果が期待できず、切除手術や削皮手術は、術後に傷痕の引きつれや盛り上がりが出やすいといった問題も伴いました。戻し植皮手術は、こうした問題の解消が期待できる方法としても着目しています。
- Qその治療期間や大まかな流れを教えてください。
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A
手術時間は90分程度で、術後数日から1週間ギプス固定が必要です。術後2週間で抜糸します。その後は定期的に通院していただき、術後の経過をチェックします。リストカット痕の治療はこれまで確立されたものがなかったため、レーザー治療や切除手術などを受けてもあまり効果が得られない、もしくはさらに悩みが大きくなってしまった、という人も多く、当院ではそういう患者さんたちを数多く診てきました。リストカットの傷痕治療は難しいのですが、この戻し植皮手術は患者さんの抱えるさまざまな悩みの解決につながる方法としても大きな可能性があると考えています。遠方からの患者さんのため、手術と抜糸以外はオンラインの対応が可能です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1事前予約と看護師によるカウンセリング
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予約をして受診。初診ではまず看護師によるカウンセリングが行われる。正確に状況を把握し、齟齬なく治療を進められるよう、最後の傷の発生時期や傷痕治療経験の有無などを確認。また、傷痕に関すること以外にも、それぞれの生活背景や予算感なども聞き、これからの診療でも配慮できるよう努める。
- 2診察と治療方法の提案
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カウンセリング内容をもとに医師が傷痕を診察。傷の広さや深さ、患者の生活環境、要望なども踏まえ患者に合った治療方法を提案する。リストカット痕の治療で、戻し植皮手術など手術を伴う治療を希望する場合、同院では最後のリストカットから2年程度経過していることを条件としている。最後のリストカットからそれほど年月がたっていない場合でも、できるだけ目立たなくなるように、現時点で行える治療法を提案している。
- 3戻し植皮手術
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局部麻酔をして傷痕のある部分の皮膚を薄く採取。その部分の真皮を平らに整えるとともに、採取した皮膚に残る深い傷を切除し、その皮膚を90度回転させて元の場所に戻す。症状によって回転させず戻す場合も。手術時間は90分程度。戻し植皮手術はほかの場所の皮膚を使わず、同じ場所に同じ皮膚を戻すので、肌の色や皮膚の質感の違いが出にくい、皮膚の引きつれが起こりにくいといったことが期待できるという。
- 4経過観察
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術後1週間はギプスによる固定が必要。手術の3日後、1週間後、2週間後と通院して経過観察。抜糸は約2週間後に行う。術後1週間は、傷口を濡らさないよう注意。抜糸した後は1ヵ月に1回程度通院して、問題が起きていないか確認する。
- 5アフターケア
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皮膚の状態が落ち着くまでは約1年程度かかる。その間、皮膚の状態を良好に保つため、スキンケアクリームなどを使って毎日しっかりケアすることが重要だという。
自由診療費用の目安
自由診療とは20万~100万(傷痕の面積によって異なります)