清水 孝志 院長の独自取材記事
しみず整形外科リハビリクリニック
(羽島郡岐南町/岐阜駅)
最終更新日:2024/11/14
学生時代から縁の深い岐阜の地を選び、2017年に清水孝志院長が開院したのは「しみず整形外科リハビリクリニック」。天井が高く、院内には明るい光が差し込んでいる。待合室からは内庭が覗け、クリニックであることを感じさせない開放感のある空間だ。清水院長は患者の病気を根本から改善すべく、スタッフと一丸となって診療に取り組んでいる。患者はもちろん、ともに働くスタッフとも向き合い、その声にじっくりと耳を傾けて真摯に接する姿が印象的だ。医師をめざしたきっかけから診療にかける思いなど、地域への愛とともにたっぷりと話を聞いた。
(取材日2019年1月30日)
病院と患者の架け橋になるために開業を決意
初めに、医師をめざしたきっかけを伺えますか?
高校生の時に、自分で勉強して身につけたものを人に還元できる仕事がしたいと思い、医師をめざすようになりました。医師になってからは、整形外科を専門として研鑽を積んできました。腰、膝の痛みや骨折など、整形外科の病気は適切に治療していけば改善が見込めるというところが魅力だと思います。治療がうまくいって、通院の必要性がなくなってきた時に「治って良かったね」と声をかけてあげられることは、私にとっても大きな喜びです。
整形外科の中で専門に学ばれてきた分野はありますか?
大学卒業後は、岐阜大学医学部附属病院や高山赤十字病院、彦根市立病院など、さまざまな病院に勤務してきました。整形外科全般について経験を積んだ後、さらに専門性を高めたいと思い、岐阜市民病院や岐阜県総合医療センターで膝関節に力を入れて学ぶようになりました。どの病院、クリニックに行っても、膝の痛みでお悩みの患者さんは必ずいらっしゃいます。整形外科の医師としては、その治療スキルを身につけるべきだと思ったんです。膝のトラブルは加齢によるものばかりでなく、若い方の場合はけがによるものもあり、年齢を問わず起こり得ます。膝の痛みで歩行に支障が出ると、行動範囲が制限されることにもつながるので、違和感がある時にはご相談いただきたいですね。
開業を決意されたのはなぜですか?
一つは、患者さんに最も良いと思える治療を実現したかったからです。これまで私が勤務していた総合病院などでは、手術を必要とする患者さんの治療が優先的に行われていました。しかし、実際は患者さんの全員が手術による治療を求めているわけではありません。手術はあくまで最終手段で、手術することなく改善を図る方法もあります。患者さんの気持ちも尊重し、納得して取り組めるような治療を提供できる場をつくりたいと考えました。もう一つは、手術を終え、リハビリテーションを必要としている患者さんの受け入れ先をつくるためです。この地域にはそういった場所が少なかったので、私がこちらで開院することによって地域の皆さんのお役に立てるのではないかと思い、開業を決意しました。
患者の意向、ライフスタイルに合わせて治療法を提案
診療のコンセプトはありますか?
患者さんにとって身近な存在のクリニックでありたいですね。開業のきっかけでもお話したとおり、少しでも患者さんのお力になりたいと考えて開業をしたので、些細なお悩みでも気軽に相談してもらいたいと思っています。膝や肩、首などに痛みのある方には、注射によって一時的に痛みの緩和をめざす方法もありますが、根本的な原因から改善を図れるよう、専門の医療機器を導入し、リハビリを行える環境も整えています。現在、当院に2人いる理学療法士も、4月からは4人になりますので、複数人のリハビリを同時に行うことが可能になり、お待たせする時間も軽減できると思います。
では、治療方針はどのように決めていきますか?
治療には、内服薬、外用薬、注射、リハビリ、手術など、さまざまな方法があります。お薬の服用を嫌がる方、忙しくて通院してリハビリを行うのが困難な方など患者さんの事情やニーズはそれぞれです。なので、診断がついたらその方の意向やライフスタイルに合わせて、選択肢の中からいくつかの治療法を組み合わせてご提案しています。また、先の見えない治療を続けることは、患者さんにとっておつらいと思うので、治療期間の見込みも一緒にお伝えするようにしていますね。手術が必要な患者さんについては、適切な医療機関へご紹介しています。さまざまな治療の選択肢を提供できるのが、当院の強みですね。
こちらでは、骨粗しょう症の診療にも力を入れているそうですね。
骨粗しょう症は、閉経後の女性に多くみられる病気です。痛みもなく進行するので、骨折して初めて来院する方も多いです。折れた箇所によっては寝たきりになってしまう恐れもあるので、それを防ぐために丈夫な体を維持し、健康寿命を延ばしてほしいという思いがありますね。診療では、腰に痛みがないか、骨折していないかなどと問診し、必要に応じてレントゲン検査を行います。当院では、骨折すると特に困難を来すとされる腰と脚の付け根の骨密度を同時に測れる先進の骨密度測定器を導入しており、被ばく量がとても少ないのが特徴です。骨粗しょう症という病気に関する認知はだんだん広まっているように感じますが、治療法や薬がしっかりとある病気だということはあまり知られてないように思えます。どれだけ早くその兆候に気づけるかがポイントになるので、患者さんには定期的な検査をお勧めします。
スタッフたちと連携し、一緒に患者をサポートする
診療する上で心がけていることはありますか?
患者さんのお話の些細なことも聞き漏らさないことです。これは症状や体調についてのことももちろんですが、普段の生活に関することも同様です。例えば、旅行や患者さんのご家族の体調不良など、普段と異なることがあった時にはカルテに書くようにしています。旅行から帰ってきたら状態が悪くなっている可能性があったり、心理的な不安や悲しみが痛みにも影響を与える可能性があるためです。時にはそういったプライベートなお話もお聞きしながら、信頼してもらえるよう日々心がけています。また、診療の際には、カルテの入力補助をしてくれるスタッフが隣にいてくれるので、私は患者さんのほうに体を向けてお話を聞くことができます。話しにくい、聞きづらいということを極力なくして診療を行っています。
一丸となって診療を行っているスタッフさんについても聞かせてください。
当院のスタッフは皆頼りがいのある仲間です。クリニックの窓口になってくれる受付やリハビリを担当する理学療法士は、私よりも多くの時間を患者さんと過ごすこともあります。そんなスタッフの言葉に患者さんが癒やされることもあると思うので、日頃から患者さんへのお声がけを丁寧に行うように伝えています。また、スタッフにも知識や技術を習得し、患者さんに還元してほしいという思いから、セミナーや勉強会があれば医院で費用を負担するなどして、積極的に参加できる環境を整えるように努めています。そんな思いに共感してくれたスタッフからの発案で、昨年は骨粗しょう症予防についての市民公開講座を開催しました。約90人の参加者の方に向けて、私が骨粗しょう症についての基礎知識をお話ししたり理学療法士が簡単な体操を実演したり、とてもご好評をいただきました。今後もスタッフと一緒にクリニック以外の場所でも啓発活動ができたらうれしいですね。
最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
最近はスマートフォンやパソコンの使い過ぎによって、肩や腰に症状の現れる方も少なくありません。そうした小さな苦痛も「これぐらい大丈夫」と放っておかず、気軽にご来院いただければと思います。適切な治療を行ったり、姿勢など生活習慣を少し変えることで改善を見込める場合もあります。治療というのはすべてが教科書どおりに進むわけではありませんので、経験を重ねる以外に、自ら講習に参加し、自分で引き出しを増やしていくことが大切だと思っています。これからも進歩し続ける医師であり、クリニックでありたいですね。気になることがあれば、まずはご相談ください。