大山 亘 院長の独自取材記事
くまさんこどもクリニック
(国分寺市/国分寺駅)
最終更新日:2024/06/21

国分寺駅南口そばにある「くまさんこどもクリニック」。院長の大山亘先生は東京慈恵会医科大学卒業後、同大学付属病院の小児科や東京都立小児総合医療センターなどで子どもたちと向き合ってきた。その経験を生かし、勤務医時代からなじみのある国分寺で開業。クリニックのコンセプトは「元気な時も行きたくなるクリニック」だ。病気を診るだけでなく何でも気軽に相談できる雰囲気づくりを心がけ、育児相談や管理栄養士による栄養相談も行っている。子どもが好きと話す大山院長の朗らかな人柄もあってか、膝に乗ってくる子どももいるのだとか。小児科医療に取り組む理由や診療方針について大山院長に話を聞いた。
(再取材日2024年3月14日)
子どもの成長を見守り、気持ちに寄り添う診療を行う
とてもかわいらしい印象のクリニックですね。特に重視した点はありますか?

子どもにとって病院は「行きたい場所」ではありません。それを払拭したいと思い「病院らしくない」空間づくりを大切にしました。例えば、どこを見ても楽しめるよう入り口や天井にクマの足跡を描いています。通院の励みになるようカプセルトイも用意していますよ。また、注射後に腕に貼るシールにスタッフがキャラクターの絵を描いて楽しませるなど、さまざまに工夫しています。設備面では2つの診察室のほか、入り口を別にした隔離室、鍵のかかる授乳室、おむつ交換台、親子並んで手を洗える洗面台も設置しました。キャッシュレス決済にも対応し、ウェブ診療予約とウェブ問診票も導入しています。ウェブ問診票はご自宅で診察の順番を待つ間に入力できますし、来院前にこちらで症状の確認ができスムーズです。
医師をめざしたきっかけと、小児科を専門に選ばれた理由をお聞かせください。
子どもの頃、近所の耳鼻咽喉科の先生が今でいうホームドクターのような存在で、耳鼻咽喉科以外でも何でも診てくれるような先生でした。その先生にとてもかわいがっていただいて、将来はこんな仕事をしたいなと思ったのがきっかけです。中学生の頃には医師になろうと決めていました。大学に入った頃は血を見るのが苦手で(笑)、漠然と内科の医師になろうと考えていました。5年生になって臨床実習を始めた時、内科はあまりにも専門分野が分かれていて、僕がなりたい医師像とは違うかもしれないと感じ始めたんです。一方で小児科は内科全般を診ることができ、僕自身「子どもが大好き!」という点から、楽しく仕事ができると思い小児科に決めました。
小児科の中でも難しい疾患を専門にされていたそうですね。

各地の大学付属病院および関連病院にて勤務後、東京都立清瀬小児病院や東京都立小児総合医療センターの血液腫瘍科で小児がんや血液疾患、悪性疾患の診療を専門に行いました。一生懸命、重い病気と闘っている小さな子どもたちに笑顔になってほしくて勉強を重ね、経験を積みました。病室ではよく一緒に遊んだりおしゃべりしたり、ついつい長居したものです(笑)。病院の中でも何か楽しめることはないか考え、子どもにも親御さんにも「温かみのある診療」を心がけてきました。その経験を地域の皆さまのために生かせたらと思い、開業を決意したんです。
子どもも保護者も「遊びに行く」感覚で訪れてほしい
診療方針やモットーを教えてください。

ずばり「元気な時も行きたくなるクリニック」です。予防接種や健康診断など病気ではなくてもクリニックに行かなければならないことはありますし、子どもが自ら「行きたい!」と思える場所にしたいと考えました。クリニックに行きたくない気持ちを減らすだけでなく、来てくれたら楽しいと思ってもらえる場所にしたかったのです。くまさんこどもクリニックで「元気になって楽しくなって」お帰りいただきたいですね。
具体的にどのような診療を行っているのでしょうか?
小児科全般を診ます。一般的な症状をはじめ、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など子どもの体のことなら何でもお任せいただけたらと思います。生後2ヵ月からのワクチン接種や乳幼児健診も行い、健診の際には視覚や聴覚の検査も行います。また、アレルギー検査は30分ほどで41項目のアレルギーの有無を確認でき、舌下免疫療法も行っています。重症化の可能性がある疾患の場合には、必要に応じて迅速に東京都立小児総合医療センターなど近隣の医療機関へ紹介いたします。僕自身、同センターで定期的に若手の先生方の指導にあたるなど、密に連携を取っていますので安心して受診していただきたいですね。
視覚と聴覚の検査についてお聞かせください。

視覚や聴覚に問題がある場合、子どもの成長に大きな影響を及ぼします。見る・聞くという感覚は本人からの訴えがないと気がつきにくいのですが、幼い頃は訴えることが難しく、また「人と違う」ことがわからない場合も多いため早期発見には検査が重要です。視覚については、弱視スクリーニング検査で目の見えにくい状態を確認し、弱視になるリスクを早期に発見するよう心がけてきました。聴覚についても同様に、聴覚スクリーニング検査を行っています。聴力は言葉の習得や情緒の発達に影響を及ぼすため、何か問題がないか少しでも早く発見して治療につなげ、子どもたちの成長の一助になればと思います。健診時以外でも対応できますので、ご希望の方はお申し出ください。
感染症についてのお考えもお聞かせください。
感染症の中には治療薬がなく対症療法で対応するしかないものも多いです。しかし、たとえ対応の方法に変わりがなくとも、できる限り検査等で何の感染症であるのかを特定するようにしています。それが本人の症状緩和に役立つのはもちろん、周囲の対策にもなるためです。例えばRSウイルスなどは、本人の症状が軽くても新生児に感染すると命に関わることもあります。感染症の種類を明らかにすることは、家族や保育園など周りの人たちのリスクを避けることにもつながるんです。また、ウイルスの種類がわかれば、発熱が何日くらい続くなどの予測が立つので、不安も軽減できるでしょう。クリニック内の体制としても、スタッフの体温など体調を毎日確認することはもちろん、空気清浄機も24時間稼働させるなど、常に気を配っています。
気軽に立ち寄り、気軽に相談できる場所でありたい
診療の際に心がけていることは何でしょうか?

何より心がけていることは「説明を丁寧に、わかりやすく」ということです。子どもにも親御さんにもわかりやすい言葉でお話しするよう心がけています。例えば熱がある場合、どこをどのようにどれくらいの時間冷やすなど、家でケアしやすいように具体的でわかりやすい説明を第一に考えています。お薬の飲み方、粉薬の上手な飲ませ方、お薬が苦手でなかなか飲んでくれないときの対処法や塗り薬の塗り方、やめ時など疑問が残らないように説明します。子どもの様子、症状、成長過程での疑問、心配に思っていることなど、どんな些細なことでも相談してほしいと思います。
来院する方々への思いや、今後の展望をお聞かせください。
皆さんリラックスして来院してくださっている印象です。僕の膝に乗ってきてくれる子もいますし、聴診器のおもちゃを使い僕の胸に当ててくる子もいます(笑)。時には、来院するたび泣いてしまっていた子が泣かずに来院してくれることも。小さい頃からずっと通っている子もいるので、成長を感じるたびにうれしく感慨深いです。これからも地域の子どもたちの健康と成長を見守っていくことが何よりの生きがいです。また、難しい疾患を抱える子どもを家で診ているご家族は、不安で孤独だと思います。そういったご家族のケアも含めてサポートしていける存在でありたいですね。今後はさらに診察を受けやすくするために、医師の数を順次増やしていく予定です。
読者へのメッセージをお願いします。

クリニックに来てくれる子どもの成長を見守る気持ちで診療を行っていますので、いつでも気軽に来てほしいですね。総合病院などの専門機関とは役割が違いますので、病気のことだけではなく予防に関することや育児の悩み、相談したいことがあればいつでもいらしてください。子どもにとってクリニックを「怖い場所、行きたくない場所」にはしたくないんです。「くまさんのところに行こうね!」と気軽に連れてきていただけるとうれしいですね。スタッフには現役ママさんも何人もいますし、みんな子どもが大好きで、子どもと触れ合うことにも慣れています。子ども、親御さん双方にとって安心できる場所になれるよう努めていきたいですね。