外見や不快症状に悩む下肢静脈瘤
低侵襲性の日帰り治療が可能に
船橋静脈瘤クリニック
(船橋市/船橋駅)
最終更新日:2020/12/08


- 保険診療
足の血管がぼこぼこと膨れ上がってしまう下肢静脈瘤。「船橋静脈瘤クリニック」の春山興右院長は「従来、下肢静脈瘤の治療は、入院が必要で切開の傷が残るというハードルの高いものでした。そのため治療のタイミングを逃してしまったという人も多いと思われます。ですが、近年、体に負担の少ない血管内治療が保険診療として認められ、治療のハードルがぐっと下がってきています」と話す。下肢静脈瘤は命に直接関わる重大な疾患ではないため、治療を真剣に考えなかった人も、これなら治療をより身近に感じられるはずだ。実際、どのようなプロセスで治療が進んでいくのか、春山院長に教えてもらった。 (取材日2018年12月28日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qまず下肢静脈瘤について教えてください。
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A
静脈には体の末端から心臓に血液を戻す働きがあります。足の静脈には、重力に逆らって血液を戻さなくてはならないため、逆流を防ぐ弁がついています。下肢静脈瘤は、この逆流防止弁が壊れることで引き起こされます。足の血管がぼこぼこと膨れ上がったり、足がだるい、重苦しい、足がつるなどの症状が出てきます。進行するとかゆみ、色素沈着、皮膚潰瘍などの皮膚のトラブルも起きてきます。良性の疾患で命に関わることはありませんが、加齢とともに進行していきます。遺伝的要素が強いと考えられていますので、親族に発症した人がいる場合は注意してください。立ち仕事をしている人、妊娠、出産経験のある人も発症しやすいといわれています。
- Qどんな時に受診したほうがよいのでしょうか。
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A
足が重苦しい、だるい、よく足がつるなどの不快な症状に気づいたら早めに受診しましょう。静脈がぼこぼこと膨れ上がったり、蜘蛛の巣状に静脈が広がっているなど外見が気になる場合、さらに皮膚炎や色素沈着などの皮膚炎を発症している場合も受診が必要です。下肢静脈瘤は5年10年かけて徐々に進行していく疾患ですので、なるべく早期に受診して診断することが求められます。これまで近くのかかりつけ医などを受診しても、「放っておいて大丈夫」となどと言われ、そのままにしておいたら症状が悪化したというケースもあります。ご自身で足を観察して何か気になることがあったら、下肢静脈瘤専門のクリニックを訪ねてください。
- Qどんな治療法がありますか。
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A
静脈瘤の症状によって治療法は異なります。軽症の場合、保存的療法として生活習慣の改善や弾性ストッキングの着用によって症状を抑えます。ただし根本的治療ではありません。こぶのように膨らむ伏在型静脈瘤では血管内治療を行います。これは静脈内に高周波を当ててその熱によって血管をふさぐ治療法で、高周波治療とも呼ばれます。また、静脈が蜘蛛の巣状や網目状になっている場合は、硬化療法を行います。静脈に硬化剤という薬を注入し、その後弾性ストッキングなどで圧迫し、静脈瘤そのものを退化、消失させることが目的です。高周波療法、硬化療法、いずれも保険適用で、日帰りで行えます。治療した当日から日常生活を送ることができます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1 問診と超音波検査
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どんな症状が出ているか、足の重み、だるさなどの症状があるか、本人の既往歴、何か薬を飲んでいるかどうか、家族に下肢静脈瘤を起こした人がいるかどうかなどについて、丁寧に問診。その後、超音波検査で静脈の状態をチェックする。血液の逆流や滞りがあるかどうかを詳細に検査。主に足の太ももとふくらはぎの静脈を調べて、どの程度進行しているか判断する。
- 2診断と治療方針の説明
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問診と超音波検査によって、進行程度を診断。初期段階で軽症の場合は、生活習慣の改善や弾性ストッキングの着用を指導し、進行を抑制する。血管が膨らんでいる、もやもやと透けて見えるなどといった外見上気になる場合は、静脈瘤の種類と血管の太さによって、高周波療法もしくは硬化療法を選択。同クリニックでは、治療を敬遠されがちな細かい蜘蛛の巣状や網目状の静脈瘤に対しても治療を実施している。
- 3症状に合わせた治療を実施
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治療は超音波で血管の位置や状態を確かめながら行う。高周波治療の場合は、局部麻酔で片側10~15分。両足でも20~30分と短時間で終わる。高周波で焼かれた静脈は血液が流れなくなり、その後3~6ヵ月で体に吸収されていく。硬化療法の治療時間は5~10分程度だが、治療の範囲によって若干長くかかる場合も。治療中は、看護師が優しく声かけをしてくれるという。
- 4治療の翌日に検査
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治療を受けた翌日、もしくは翌々日に来院して超音波検査を受ける。合併症が起きていないか念のため確認をするほか、血液の逆流がないかどうか、静脈がきちんと閉じているかなどを丁寧に検査していく。
- 51ヵ月後、3ヵ月後に再検査
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治療して1ヵ月後に静脈の状態をチェック。超音波検査によって血液の逆流がないかどうか、血管が閉じているかどうかを詳細に確認する。血管のぼこぼこは治療後、徐々に治まっていくので、ぼこぼこが順調に治まっているかどうかも確認する。さらに3ヵ月後に最終確認を行う。再発していないかどうか、他の静脈に症状が起きていないかなどをチェック。何も問題がなければ治療は終了。
自由診療費用の目安
自由診療とは弾性ストッキング(保存療法の場合)/7000円~