短時間の日帰り手術で不快な症状の
改善をめざす下肢静脈瘤の治療
船橋静脈瘤クリニック
(船橋市/船橋駅)
最終更新日:2023/06/28
- 保険診療
足がだるい、むくむ、つるなどの不快感に加え、血管が浮き出ている、凸凹しているなどの症状が出るのが、下肢静脈瘤。実際に、これらの症状に悩んでいる人は少なくないかもしれない。そんな下肢静脈瘤の治療を専門的に行っているのが、「船橋静脈瘤クリニック」の永嶋晴永院長。同院では、下肢静脈瘤に対するカテーテル治療を取り入れ、短時間で痛みに配慮しつつ、日常生活にも影響を与えにくい方法で、その不快な症状から患者を解放することをめざしているという。そこで、永嶋院長に下肢静脈瘤の基本的なことや同院が取り組むカテーテル治療の流れなどについて、詳しく教えてもらった。
(取材日2023年4月27日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q下肢静脈瘤について教えてください。
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A
足の静脈は、足先から上に向かって、心臓へ血液を送っています。このように、足の静脈の血液は重力に逆らって上方向へ流れているので、重力の影響で血液が下に戻るのを防ぐために、静脈には逆流防止弁がついています。下肢静脈瘤は、その弁が壊れてしまって血液が下に逆流してしまう病気です。下肢静脈瘤になる原因は、単に加齢によるものや長年の立ち仕事、女性の場合は、妊娠や出産で血管に負担がかかるなどさまざまです。また、中高年に多い病気ですが、生まれつき血管が弱い場合などは、20〜30代など若い人でも発症することがあります。
- Qどのようなときには、受診したほうが良いのでしょうか?
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A
主な症状としては、足のむくみや重だるさが、朝にはあまり感じず、夕方になるにつれてだんだん強くなります。また、足がつりやすくなることもあります。最初は、ふくらはぎの内側や裏辺りの血管が浮き出る、ぼこぼこ膨らむなど見た目の症状から始まりますが、これらは人により、必ずしもあるとは限りません。また、進行すると皮膚炎を起こし、足のこぶのところがかゆくなったり、足首などに色素沈着を起こします。さらに、長期間放っておくと潰瘍になり、傷から感染症になる恐れがあります。下肢静脈瘤は、基本的には命に関わる病気ではない一方で、QOLには大きな影響を与えます。気になる症状があるのなら専門医療機関の受診をお勧めします。
- Q治療は、どのようにして行いますか?
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A
根本的な治療方法としては、カテーテルを使って医療用の接着剤を血管の中に注入して血管を塞ぐ血管内塞栓術と、血管内に挿入したカテーテルを使い高周波の熱で血管を焼いて塞ぐ血管内焼灼術があります。アレルギーの有無や患者さんの希望などによって、方法を選択します。逆流している血管を塞いでしまっても体表面の近くには血管がたくさんあるので、そのうちの数本血液が流れなくなっても、問題はありません。また、症状が軽く手術を希望しない場合には、日中に弾性ストッキングを履いて過ごしてもらう方法もあります。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と超音波検査
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まずは問診で、足のだるさや重み、血管が浮き出ているなどの症状や既往歴、服用している薬、アレルギーがあればその種類、立ち仕事、出産経験、家族歴などを確認。その後、超音波診断装置を用いて、足の付け根やふくらはぎなどを検査して、下肢静脈瘤の有無や、あればその程度などを診断する。検査での不快感はほとんどないそう。
- 2診断と治療方針の説明
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続いて、医師より超音波検査や診断の結果について伝えられる。下肢静脈瘤の原因やどのような手術が必要になるのか、手術についてのメリット・デメリットについても説明される。他の治療法についても併せて説明されるが、患者が手術を希望した場合、手術日の予約と手術を受けることに問題がないかを確認する血液検査のための採血が行われる。
- 3カテーテル治療
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手術日に来院して受付を済ませたら、使い捨ての紙パンツに履き替えて、手術台に横になったら手術が始まる。最初に麻酔をした後、血管にカテーテルが挿入され血管内塞栓術か血管内焼灼術が行われる。どちらの術式でも手術にかかる時間は、片足で30分程度だそう。両足を続けて手術をすることも可能だという。手術当日は、車の運転を避けること以外は、日常生活に大きな制限はないそうだ。
- 4手術の1週間以内に来院
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手術から1週間以内に受診して、治療箇所の確認のため超音波検査を受ける。下肢静脈瘤の治療で、ごくまれながらも体の奥にある深部静脈に血栓ができることがあるため、その確認も行われる。また、血管内焼灼術の場合は、手術後はしばらく弾性ストッキングの着用が必要となるが、医療用接着剤による血管内塞栓術のときは、その必要はないそうだ。
- 51ヵ月後と3ヵ月後に再検査
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手術から1ヵ月後と3ヵ月後に再度、受診。前回の受診時と同様に治療箇所の確認や血栓ができていないかなどを超音波検査で確認していく。また、長期間にわたって強い負担がかかり血管が弾力性を失っていると血管の膨らみが残ることがあるそう。その場合でも健康上は問題がないが、気になるのであれば、硬化剤を用いた治療も可能だという。