健康な体の維持をめざし
子どもの頃から取り組む予防医療
みやもとこどもクリニック
(京都市伏見区/桃山御陵前駅)
最終更新日:2022/06/01


- 保険診療
病気を未然に防ぐ「予防医療」。小児科においてもその重要性が注目されているが、予防医療の実現には栄養バランスが取れた食事や適度な運動に加えて、家庭でのだんらんや親子のコミュニケーションが欠かせない要素となるため、子どもの頃からの生活習慣が大切だと「みやもとこどもクリニック」の宮本良平院長は話す。また、子どもが規則正しい生活を送り、病気を未然に防ぐためには、保護者が予防意識を持つことが何よりも必要。子どもの頃から予防医療を実践するメリットやクリニックでの取り組みについて、宮本先生に詳しく聞いた。
(取材日2020年3月12日)
目次
栄養バランスの取れた食事と適切な運動を行うことが大切。家庭での親子の対話も欠かさずに
- Q小児における予防医療とはどのようなものですか?
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A
▲小児の予防医療も大切だと語る宮本院長
予防医療と聞くと、検査や検診を連想する人が多いのではないでしょうか。血液検査などの結果から、肝臓の数値やコレステロール値が高いとわかったことをきっかけに、体の健康を意識し始める人は少なくありません。しかし、将来なり得る病気を未然に防ぐには、幼少期の頃から食事や運動に気を配ることが大切です。栄養バランスをきちんと考えた食事を毎日取り、友達と一緒に外で元気に遊ぶことによって、丈夫で健康な体づくりにつながるのです。また、生まれ育った生活環境は将来に影響を与えます。幼少期の積み重ねは、家庭を持った際に実践する傾向があるため、早い段階で習慣づけることが重要だと考えています。
- Q日常生活で心がけるべきことを教えてください。
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A
▲バランスのよい食事、適度な運動が必要
ファストフードが普及していることに加え、清涼飲料水を好む子どもは増加しています。栄養バランスが偏ると、肥満の原因になってしまいます。将来の生活習慣病を予防するためにも、自宅で栄養バランスの取れた食事をすることが大切です。また、近年はゲームで遊ぶ子やスマホを持つ子が増えていて、昔に比べると外で遊ぶ機会が少なくなっています。ゲームのやり過ぎやスマホの見過ぎは運動不足を招きますし、骨と筋力の発達にも影響が及ぶことも。ゲームで遊ぶ際には時間を決めるなどして、なるべく外で遊ぶ時間をつくっていただきたいですね。
- Qこちらのクリニックで取り組んでいる予防医療は何ですか?
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A
▲気づかれにくい「弱視」。早期発見のための検査を
当院では弱視の検査を実施しています。弱視とは、視力の成長期で成長が止まってしまい、視力が悪いままの状態を指します。早期発見・早期治療がポイントになりますが、気づきにくいのが特徴。お子さん自身が「目が見えにくい」と言葉にするのは難しいことですし、さらに3歳を過ぎると視力はだんだん固定されてしまいます。弱視検査を3歳児検診の必須項目としていない自治体は多く、検査の認知度もまだまだ低い現状がありますが、将来の視力のために3歳までに一度受診していただければと思います。検査の所要時間は10秒ほどと短く、痛みを伴うこともありません。検査結果から弱視が疑われる場合には対応可能な眼科に紹介させていただきます。
- Q今後の取り組みについてお聞かせください。
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A
▲母親や子どもがしっかり意識を持つことが大切だそう
取得した野菜ソムリエの資格を生かして、今後は食育にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。具体的には、お母さんを対象としたセミナーや勉強会を院内で実施したり、専門家と連携して「子ども食堂」を開催したりしていきたいですね。「子ども食堂」とは、この地域に住む高齢の方を指導者として迎えて、玄米の良さやお箸の持ち方など、食にまつわる知識を子どもたちに伝える場のこと。日頃の生活を意識することに限らず、子どもたち自身が食事に興味を持ってもらうきっかけを提供したいと考えています。予防医療に前向きな当院のスタッフたちにも協力してもらい、この地域に住むお母さんや子どもたちと深く関わっていきたいです。
- Q保護者の方へのメッセージをお願いします。
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A
▲親子の会話が大切と語る宮本院長
栄養バランスの取れた食事や適度な運動はもちろんですが、子どもの予防医療において最も大切なことは、自宅での親子の対話です。いろんな家庭があると思いますが、お母さんを応援したい私の立場からすると身近にいる母親とのコミュニケーションは心を育む上で大切だと思います。仕事等で忙しい家庭が増える現代ですが、週に一度は家族全員で食卓を囲むなど、対話の場を設けていただければと思います。また、十分な睡眠を取るなど、子どもが規則正しい生活を送るためのサポートもしていただきたいですね。過干渉は良くありませんが、日頃から親子で対話する時間を楽しんでいただき、家庭で取り組める予防医療を実践していただければと思います。