伏原 豪司 院長、栗田 浩樹 先生の独自取材記事
脳神経外科ブレインピア坂戸西
(坂戸市/坂戸駅)
最終更新日:2025/03/17

のどかな風景が広がる坂戸市入西地区にある、広々とした平屋の建物が「脳神経外科ブレインピア坂戸西」だ。脳神経外科の専門的な診療に取り組む伏原豪司院長は、埼玉医科大学国際医療センターとその関連病院で、頭部外傷や脳卒中・脳腫瘍・てんかんなど脳疾患治療全般に幅広くあたってきた。その豊富な知識と経験を生かし、脳卒中の予防や早期発見・早期治療、病院での手術を終えた患者のフォローに注力。頭痛への専門性も高く、伏原院長のもとには頭痛に悩む患者が多く訪れる。「Heartful・Brain・with・Smile」の理念を掲げる伏原院長と、同院の立ちあげに関わった栗田浩樹先生に、地域における同院の役割や診療内容について聞いた。
(取材日2024年11月27日)
幅広い頭の病気や症状を専門的に診療
こちらは地域医療の中でどのような役割を担っているのでしょうか?

【伏原院長】当院の役割は大きく分けて2つあります。1つは病院での治療を終えた患者さんのフォロー。例えば日高市に脳卒中の治療を行っている埼玉医科大学国際医療センターがあるのですが、そちらで脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの手術を受けて退院をした方の再発予防のための治療を行っています。もう1つは病気の予防と早期発見。脳卒中のリスクである生活習慣病の治療を行い、頭痛の裏に脳の病気が疑われる場合などは迅速に適切な所へおつなぎしています。また、同医療センターから脳卒中外科・脳卒中内科・脳脊髄腫瘍科の先生に来ていただいており、脳に関する病気の診療を幅広く行っています。
【栗田先生】私は同医療センターにも籍を置いており、当院の立ちあげにも関わりました。このような受け入れ先があるからこそ、大学病院では急患への対応に専念できますし、当院の存在は地域医療と先進医療を両立させる一つの手段だと思っています。
どのような患者さんが訪れていますか?
【伏原院長】頭痛やめまい、手足のしびれ、口がうまく回らない、物忘れなどの症状が多く、頭の外傷にも対応します。私は頭痛の診療も専門としており、最近は頭痛に関する受診が増えています。原因として多いのがストレートネック。スマートフォンの使用やゲームをする際の姿勢が影響し、首の骨の自然なカーブがなくなると、肩や首の筋肉に負担がかかり、緊張型頭痛、いわゆる肩凝り頭痛を引き起こすと言われています。また多くの患者さんが苦しんでおり、日常生活に支障をきたすのが片頭痛です。当院では緊張型頭痛はもちろん、片頭痛の先進の治療も行っています。「頭痛持ちだから」と受診をためらわず、お気軽にご相談ください。いつもの頭痛が、命に関わる頭痛だったということもあるんですよ。治療には正確な診断が必要不可欠です。まずは画像検査で脳腫瘍やくも膜下出血など、重い病気の有無を確認します。その次に症状を見極め、適切な治療につなげます。
脳内や肩凝り以外に頭痛の原因が潜んでいることもあるのですね。

【伏原院長】そうですね。女性の方で生理周期が深く関係している場合には婦人科、精神疾患によるものと思われる場合には精神科と、他科の先生と連携して治療を進めることもあります。めまいに関しても同様で、脳が原因でない場合には耳に原因があることも多くあります。重心動揺計装置で鑑別し、耳が原因で起こっているめまいに関しては、耳鼻咽喉科を紹介するようにしています。これらは検査して初めてわかることですし、脳腫瘍やくも膜下出血などの病気を見逃さないためにも、心配な症状があれば早めにご相談ください。
医師もスタッフも笑顔で、受診しやすい環境を
特に力を入れていることは何でしょうか?

【伏原院長】やはり脳卒中の予防です。脳卒中は、重い麻痺を残して日常生活に支障をきたすこともある大変な病気です。ですから、脳卒中を起こしたときの手術や治療も重要ですが、そうなる前にしっかりと予防することが大切ですね。特にご高齢の方に多いのが、隠れ脳梗塞。脳梗塞ではないものの、血の巡りが悪くなっている箇所が見つかるケースが多くあります。その中には動脈硬化や頸動脈の狭窄がある方が多く、投薬や栄養指導、定期的なMRI検査なども行いながら、脳梗塞を起こさないようにフォローしています。
【栗田先生】すでに一度手術を受けた方の再発予防にも力を入れています。脳梗塞は生活習慣病と関わりが深いですから、脳内の他の場所や心臓など、全身のどの血管でも同じことが起こり得ます。一次予防も二次予防も、脳ドックで異変をいち早く見つけることが重要です。
物忘れの診療も行っているのですね。
【伏原院長】当院の外来診療では、物忘れが主訴の方の診療も行っています。物忘れを専門とする外来は、基本的に神経内科の医師が担当となります。物忘れの場合は、まずは簡易的な知能検査をしてから、MRIを用いた脳の海馬の萎縮を診る検査などを行なって診断していきます。認知症の診断は、検査の一つで異常があったからといって認知症とは決められないなど、難しいところがあるのです。当院ではそれらの検査結果や症状などを総合的に判断するようにしています。そして認知症だと診断された場合、進行を遅らせるための薬を処方しますし、薬を出すほどでなければ「なるべくみんなと一緒に外出しましょう」「テレビを観ましょう」「新聞を読むようにしましょう」など、普段の生活で取り入れやすい行動のアドバイスを行っています。
診療の際に心がけていることを教えてください。

【伏原院長】理念として「Heartful・Brain・with・Smile」を掲げ、スタッフも含め笑顔で、受診しやすい環境にすることを心がけています。また、患者さんは心配事や何かしらの症状があって受診されているはずですので、脳の検査で異常がなくても「何もなくて良かったですね」では終わらせたくありません。脳神経の問題ではなかったとしても、耳鼻咽喉科や婦人科、精神科など、必要と思われる診療につなげるようにしています。
【栗田先生】当院ではMRIを含めて一通りの検査が可能です。画像上のちょっとした変化も見逃さないよう、細心の注意を払って読影を行い、できるだけ早く患者さんに結果をお伝えできるよう努めています。そして理念にある通り、患者さんの前では笑顔でいたいですね。
頭痛・めまい・物忘れなど、いつでも相談してほしい
伏原院長はなぜ医師を志したのですか?

【伏原院長】私の父はインターネット関連の仕事をしていましたし、私も工学や情報処理などの道に進むのかなと漠然と思っていました。ですが高校2年生の時に家族が脳神経の病気にかかり、それが比較的珍しい、積極的な治療法も乏しい病気だったのです。「現代でも、そのような病気があるんだ」と驚きましたし、悔しい思いもありました。その経験があって、高校3年生の1月に「医学部に行く」と決心したんです。家族や友人はとても驚いていましたよ。
栗田先生は初めから医師をめざしていたのでしょうか?
【栗田先生】選択肢の1つではありましたね。検察官の父から「社会のために仕事をしなさい」と教えられて育ち、縁があって医師の道を進むこととなりました。脳神経外科というのはシビアな分野で、命が救われることもあるのですが、後遺症でつらい思いをする患者さんも多くいらっしゃいます。例えば脳ドックで未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、破裂率は約1%といわれていますが、どう対処すべきかは難しい問題です。また大学病院では目の前の患者さんを助けることに精一杯で、その後の人生に寄り添うということはなかなか難しいのが実情。それでも脳神経外科を志して入職してくる若き医師たちや、病院を退院し当院に来てくださる患者さんのために「私にできることを、笑顔で頑張ろう」と思えるのです。
読者へメッセージをお願いします。

【栗田先生】私は主に、手術を終えた患者さんの二次予防を担当しています。脳神経の病気になった際、カテーテルなどの外科手術は治療の一部であり、その後の服薬や体調管理が何より大切。二度と再発しないために、一緒に取り組んでいきましょう。
【伏原院長】MRIやCTを備えて病気の予防と早期発見に注力し、院内での迅速な対応はもちろん、他院との連携も強化して適切な医療につなげています。頭痛にお悩みの方もぜひ一度いらしてください。重い病気が隠れていないかも含めて、原因をしっかりと調べます。「この症状は、脳に関係あるのだろうか」などと気にすることはまったくありませんから、頭痛・めまい・物忘れなど、心配な症状があればいつでも受診してほしいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは脳ドック/1万6500円~
帯状疱疹ワクチン/9350円~