そのほくろは良性? 悪性?
メラノーマとの違いや検査・除去方法
大城皮フ科クリニック 大口本院
(丹羽郡大口町/江南駅)
最終更新日:2025/04/24


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皮膚にできる黒色のできものである「ほくろ」。人目につきやすい位置にあったり、大きかったりするほくろが気になり、いつか除去したいと考える人は少なくないだろう。近年は皮膚科だけでなく、さまざまな診療科でほくろのケアを行っており、費用に配慮した処置を提示するクリニックもあることから、「気軽に受けられる処置」としても知られている。この現状に対して、長年皮膚がん治療を専門に研鑽を積んできたキャリアを持つ「大城皮フ科クリニック 大口本院」の大城宏治院長は、「安全・安心に除去するためにはクリニック選びが重要」と話す。大城院長によると、皮膚がんの一つ「メラノーマ(悪性黒色腫)」とほくろは見分けるのが難しく、事前検査が欠かせないという。そこで大城院長に、ほくろとメラノーマの違いや除去の流れについて話を聞いた。
(取材日2024年5月18日)
目次
ほくろが短期間のうちにできた、急に大きくなった場合は要注意。見落としを防ぐためにも、専門家に相談を
- Qほくろと、ほくろに似た「メラノーマ」について教えてください。
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A
▲手軽なイメージのほくろ除去。いくつか注意点があるという
いずれも皮膚にできる腫瘍で、ほくろは良性腫瘍であるのに対して、メラノーマは悪性腫瘍に分類されます。どちらも黒色をしているので見た目に違いがわかりづらく、患者さん本人はもちろん、皮膚科の専門家でなければ医師であっても判別は非常に難しいといえます。メラノーマは「形がいびつ」「色むらがある」といった特徴があるといわれていますが、必ずしも特徴的な所見が皮膚の表面に現れるわけではありません。中には、見た目には何の変哲もない小さなほくろがメラノーマだったというケースも珍しくないのです。ですので除去にあたっては、除去するほくろ“とされるもの”が、本当にほくろであるかどうかを見極めるための検査が不可欠です。
- Qどのような場合にメラノーマを疑ったら良いでしょうか?
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A
▲皮膚がんを見落とさないため、クリニック選びが重要と話す院長
ほくろが急に発症したり大きくなった場合には注意が必要です。また、日本人特有のケースですが、手のひらや足の裏にはメラノーマができやすい傾向にあるため、それらの部位にあるほくろは注意が必要です。これも急激に大きくなった場合には一度検査を受けるとよいと思います。新しいほくろができたと気づいて、それが短期間のうちに5mm以上になった場合などは医師の診察を受けましょう。また、先天性色素性母斑(黒あざ)には皮膚がんができやすい傾向にあるといわれています。一般的にいわれる「形が左右非対称」「色むらがある」などの特徴がある場合は、病気が疑われる不安を軽くするためにも、一度専門家に相談すると安心かと思います。
- Q除去に際して、どのような検査を行うのですか?
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A
▲患部に光を当て、フィルター越しに診るだけで、痛みは特にない
まず行うのが、ダーモスコピー検査です。皮膚に強い光を照射して患部を観察する検査で、これにより良性・悪性のおおよその見分けができます。当院ではほくろやできものには必ずダーモスコピー検査を実施しています。観察眼を育てるためには、皮膚科医でも最低でも4〜5年の訓練が必要な、熟練度が求められる検査ですね。他にも、ほくろの深さや血管の位置など、皮膚の内部を観察する際には超音波検査を行います。検査や診察の結果良性で、当院で除去できると判断しても、メラノーマを完全には否定できないので、必ず病理検査を行います。事前の診察により強くメラノーマが疑われる場合は適切な医療機関を紹介します。
- Qほくろの除去方法の種類を教えてください。
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A
▲患者の負担が少なく「きれいな仕上がり」を大切にしている
除去方法は大きく分けて、切除手術とレーザー処置の2種類です。どちらの方法を選択するかは、部位によって判断が異なります。ほくろの形に合わせて皮膚を切り取り縫い合わせる切除手術に対して、レーザー処置の場合は、レーザーを照射して皮膚の表面を削り取ります。小さなほくろを除去するのには便利なのですが、処置後へこんだ状態のまま、あるいは反対にぷくっと盛り上がることがあり、場所によっては目立ってしまうことも。一方で切除手術の場合、縫合患部をしわや顎の輪郭に沿わせることで目立ちにくくなります。5mm以上など大きなほくろの場合は切除手術を提案することが多くなります。
- Q日常のケアで意識しておくと良いことはありますか?
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A
▲アフターケアが重要。除去後のサポートにも力を入れる
皮膚を守るためには、何と言っても紫外線対策は欠かせません。紫外線によって受けるダメージは肌荒れなどの皮膚トラブルだけでなく、メラノーマを含めた皮膚にできる悪性腫瘍のリスクを高めてしまいますから。女性は美容に対する意識やメイクの習慣がある影響もあって、紫外線対策に意識的に取り組む方が多いですが、男性は無頓着な人が少なくありません。将来的なトラブルを防ぐためにも、年齢、性別問わず、紫外線対策にしっかり取り組んでいただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはほくろ/切除手術:1万円~(保険適用の場合もあり)、レーザーによる処置:7500円~