岡野 達正 院長の独自取材記事
岡野整形外科
(墨田区/両国駅)
最終更新日:2024/11/25
JR中央・総武線両国駅から徒歩3分、都営大江戸線両国駅からは徒歩8分に位置する「岡野整形外科」。院長の岡野達正先生は、この地で曽祖父の代から100年近く続く接骨院を2016年にリニューアルし、整形外科のクリニックとして新規開業した。クリニック1階が整形外科、2階がリハビリテーション科になっており、成長期の子どもから高齢者まで幅広い層の人々が来院する。患者一人ひとりにオーダーメイドの治療を提供する岡野院長は、「患者さんが何に一番困っているのか。それを理解することで治療のゴール設定ができます」と話す。そんな院長に、クリニックの特徴や診療方針などについて詳しく聞いた。
(取材日2023年10月25日)
子どものスポーツ障害に注力、啓発活動も積極的に
患者層について教えてください。
子どもから高齢者まで、全体的にアクティブな方が多いですね。お子さんであれば部活動でスポーツをしている人がよく来院しますし、30~40代、さらにもっと上の年齢の方々でもテニスやサッカー、ゴルフ、バレーボール、マラソンなどをしている方が多く、運動の際のケガや痛みなどの相談でいらっしゃいます。また、当院では特に子どものスポーツ障害に力を入れています。小学生から中学生にかけての成長期に、強い筋肉の収縮を起こすと骨がやわらかいこともあり、いろいろな場所に障害が生じやすいんです。また、子どもの頃からケガを我慢して運動を続けてしまうと、後々まで影響を及ぼすような障害にもつながりかねません。そのため、そうした知識をより多くの人に知ってもらおうと、患者さん向けの勉強会を開いたりイベントで講演を行ったりといった活動もしています。
子どもの障害は親や指導者の意向、部活動での事情なども関係しそうですね。
そうですね、患者さんの立場や状況によっても変わってきます。例えば、1ヵ月運動を我慢して治療に専念すれば完治することが望めるとしても、患者さんがその後も長くスポーツを続けるのか、直前に迫っている試合に出場することが優先なのかなどによっても判断は異なります。当院でも大人であれば、試合に出るために痛み止めの注射を打つことも可能ですが、小学生の患者さんにも同じような処置をしてもいいかといえば難しいですよね。親御さんのわが子をレギュラーにしたい、休ませたくないという思いが強くなることもありますが、長期にスポーツを続けることを考えたら、しっかり休ませて治療に専念することも大切ですよということは伝えていきたいですね。
講演などの啓発活動では、どんなことを発信しているのでしょうか?
こうしなければいけない、このように休まなければいけないといった話をするのではなくて、ケガをした時にはこんな治療器やストレッチ方法があるということや、クリニックに行けばこんな診断・治療が可能ですといったような知識をお伝えするようにしています。ケガをした時、対処の選択肢を知っておくのは大切なことです。実際、当院に通っている子が同じ学校やチームでケガに悩んでいる子に僕の話をしてくれて、患者さんの輪が広がった時などは、僕の想いがきちんと伝わっているんだなと思えてうれしいですね。
歴史を大事にしながらクリニックとしてリニューアル
もともと、100年近く続いた接骨院だったそうですね。
僕の曽祖父が1920年に柔道整復術を行うようになったのが始まりです。この周辺は相撲部屋がたくさんあったので、力士の施術に関わることが多かったようですね。その流れから祖父や父が仕事を受け継ぎ、接骨院として長くこの地に根差してきました。2016年に僕が院長になり、「岡野整形外科」としてリニューアルして開業しましたが、父は現在も当院のリハビリテーション科に在籍しています。60年以上前から通われている患者さんもいるんですよ。
岡野先生が医師免許を取得し、整形外科のクリニックとなったことでどんな変化が?
対応の幅が大きく広がったと思います。医師としての診断ができるようになったことで、薬を出したり注射を打ったりエックス線撮影ができるようになったことはもちろん、接骨院時代に比べ、理学療法士や看護師といった多職種との連携が図りやすくなったことも大きいですね。また院内の設備としては、エコーや骨粗しょう症の検査機器、微弱電流治療器、衝撃波やラジオ波の治療器など多様な機器も導入し、幅広い検査や治療に対応できるようになりました。これにより、僕だけでなく理学療法士にとっても適切なケアを行うための武器が増えたと思います。
理学療法士など、複数の視点で患者さんを見られるのはメリットの一つですね。
ええ。医師だけでなくリハビリテーション科の理学療法士たちなども含め、チームとしてトータルで患者さんを見られるようにしています。例えば、スポーツをしていて膝に痛みがある場合でも、実際には股関節や走り方に原因があるなど、自分が思っているのとは違う場所に問題があるというケースは多いんです。そうしたときに僕の視点だけではなく、各分野の専門家に異なる視点からも見てもらって、すり合わせながら治療方針を立てることができるのは大きなメリットですね。高齢者の膝・腰の痛みも同様に、実は別の箇所に原因があることが多いので、スポーツに限らず日常生活でお困りの患者さんにとってもお役に立てると思います。
患者の目的に合わせた適切なゴール設定を
患者さんを診察する際に大事にしていることを教えてください。
何に一番困っているのかをお聞きするようにしています。例えば膝が悪い高齢の方が来院された時に、痛みをすべてなくすことが目的なのか、多少痛くても日常生活が問題なく送れればいいのかによってゴール設定は変わってきますよね。漠然と「膝が悪いから手術しましょう」ではなく、目的達成のために手術が適しているとわかればご本人も手術を受けることに納得しやすいですし、逆にゴール設定によっては無理に手術をする必要がない場合もあるでしょう。患者さんがどうなりたいかという目的によって、診療方針を決めていきます。
今後やっていきたいこと、未来の展望をお聞かせください。
スポーツをする子どもたちのための活動をさらに広げていきたいと思っています。自分の体の使い方やケガについて正しい知識を得てもらいたいのはもちろんですが、持ち運びができるエコーなどの機器がありますので、外で子どものケガや、その前段階の注意しなければならない状態をその場で見つけてあげることもできます。私自身もいろいろなスポーツに親しんできましたので、子どもから高齢者に至るまで生涯スポーツができるようサポートをしたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
日常生活の中でケガや痛みなど、何か困ったことがあれば一度ご来院ください。必ずしもどこか痛いところがあるといったお悩みに限らず、健康増進のため、よりポジティブなことをしていきたいといったご相談もお受けしています。その際にも、どのような生活をしたいのか、患者さんお一人お一人が何をしたいのかという「目的」をお伺いしていきます。目標設定を決めることで、どんな治療やリハビリテーションを提供できるかが定まりますので、ぜひ詳しくお話をお聞きできればと思います。