病気の発症、悪化を未然に防ぐ
予防医療のためのクリニック活用法
おおくまクリニック
(名古屋市名東区/本郷駅)
最終更新日:2024/11/05


- 保険診療
生涯にわたって健康的に、生き生きと暮らしていくためには、病気にならないこと、病気になったとしても重症化を防ぐことが重要といえる。一方で、主だった症状などがなく、今まさに困っていることがないと、なかなかクリニックを受診しようと思うことはないだろう。長年循環器内科を専門に重症患者の急性期医療に従事し、「おおくまクリニック」を継承後は予防医療の提供に取り組む海野一雅(うんの・かずまさ)院長は「何もなくとも、病気のリスクが潜んでいることも珍しくありません。肝心なのは早めに気づき対処することです」と話す。そんな海野院長に、予防医療の意義をはじめ病気を防ぐためにはどういったタイミングでクリニックを受診すると良いのかなど、予防医療に関する基礎知識や活用法のアドバイスについて話を聞いた。
(取材日2023年6月28日)
目次
かかりつけ医は、病気にならないための「一次予防」と、重症化を防ぐ「二次予防」を支える大事なパートナー
- Q予防医療の目的とは何でしょうか?
-
A
▲「おおくまクリニック」では予防医療に注力している
予防医療には主に2つの考え方があります。一つは病気にならないように未然に防ぐ「一次予防」、もう一つは病気になってしまった場合に悪化や合併症の併発を防ぐ「二次予防」です。つまり予防医療の目的とは、病気にならないよう普段から良い状態を保つ、あるいはこれ以上悪くならないように経過を診ていくことであり、これらを担うのが地域のクリニックの役目だと考えます。受診される患者さんの多くは心疾患など何かしらの病気を抱えていらっしゃるので、診療ではもっと大きな病気への発展を防ぐため二次予防的なアプローチも行います。ですがやはり病気にならないに越したことはないので、一次予防の重要性も広く知っていただきたいですね。
- Qどのようなタイミングでクリニックを受診したら良いでしょうか?
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A
▲将来のリスクを軽減するために早めの受診を
まずは何かしら気になる症状が続いている、あるいは継続的な治療が必要な病気がある場合は、きちんとクリニックを受診しましょう。また、主だった症状を自覚していなくても、健康診断の結果で要再検査、要経過観察といった判定が出た場合にも、一度クリニックを受診して医師に相談するのが望ましいです。例えば血圧が高いと指摘されたけれど、本人としては特に自覚症状もないしそこまで不安視していない、といったケースは珍しくありません。ただ指摘を受けた際に、これを放置しておくとどんな病気を招いてしまうのかなど、将来のリスクを知っておくと、現状を見直すきっかけになります。この気づきが一次予防の入り口となるのです。
- Qこちらで行っている予防医療の取り組みを教えてください。
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A
▲検査機器が充実しており、詳しい検査ができる
健康診断結果をお持ちいただいた患者さんには、結果の解説をした上で必要な検査を行います。私が循環器を専門としているのもあり、血液検査や心電図、胸部エックス線画像診断など基本となる検査を受けられる体制を整えています。心疾患のリスクがあると考えられる患者さんに対しては、心臓エコー検査や負荷心電図なども行っています。必要な検査を行うことで、客観的に健康状態を評価し、さらに検査が必要なのか、どんな治療が必要なのかなどを見極めていきます。
- Q自分の健康状態を客観的な視点から理解するのが大事なのですね。
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A
▲良い方向に導くために、海野院長は十分な説明を心がけている
脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞といった病気は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病、あるいはこれらの病気によって起きる動脈硬化とも、とても深く関係しています。だからこそ将来の大きな病気を防ぐためには、もっと手前の段階から介入して、生活習慣を見直したり、必要なお薬を飲んだりとアプローチしていく必要があるのです。また、良い方向に導いていくために欠かせないのが、十分な説明ですね。一度でも大病を患ったことのある人のほうが、苦い思いをした経験を反省して、予防医療に親身に取り組まれるんです。一方で一次予防の場合は、ご本人にとっては別段お困り事もない状況ですから、その分実感が伴いにくいと思います。
- Q患者の理解を深めるためにどんなことを心がけていますか?
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A
▲身近なクリニックへの受診は、今の健康状態を知るきっかけとなる
患者さんの理解が十分でないと、せっかく治療をスタートしても途中で中断してしまうことがあります。また患者さんの中には「薬を飲むのは嫌だ」と抵抗されたり「この後どうなってしまうのか不安」と訴えてこられたりする方もいらっしゃいます。ですから抵抗感や不安を軽くするため、健康状態を改善するためにはどのようなステップを踏む必要があるのか、どんな選択肢があるのかなど時間をかけて丁寧にわかりやすく説明することを常に心がけています。もちろん、お薬での治療が必要と判断すれば薬を飲んでいただくことになりますが、まだ病気になる手前の段階であれば、生活習慣を見直すために運動や食事管理などから始めていきます。