生理前のイライラや情緒不安定に悩む人へ
PMS、PMDDとは
ブレインケアクリニック
(新宿区/新宿御苑前駅)
最終更新日:2025/02/14


- 保険診療
生理前のイライラや倦怠感、ネガティブな思考に悩む女性は多いだろう。近年、生理前のさまざまな症状を指すPMS(月経前症候群)という言葉がメディアで取り上げられるようになり、一度は目にした人もいるかもしれない。新宿御苑のそばに位置する「ブレインケアクリニック」の根本安人先生は、PMSやPMDD(月経前不快気分障害)といった生理前の症状は、婦人科に相談する人も多いが、精神科を受診するメリットもあるという。PMSやPMDDのそれぞれの症状や、受診の目安、症状改善に向けたアプローチについて話を聞いた。
(取材日2025年1月29日)
目次
抗うつ薬の服用、漢方や精神療法など、PMSやPMDDによる症状へのアプローチは多岐にわたる
- QPMS、PMDDの特徴、それぞれの違いを教えてください。
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A
▲生理前には日常生活に支障を来すほどの精神症状が現れることも
PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)は、排卵日から次の生理が始まるまでの間に症状が現れます。PMSは腹部の膨満感やむくみ、頭痛、倦怠感といった身体面の症状、イライラ感や不安感、抑うつ感といった精神面の症状が挙げられます。PMDDはその中でも、強い抑うつ感や絶望感、人が変わったような怒りっぽさなど、日常生活に支障を来すほど精神症状が悪化した状態を指します。いずれも生理が始まると数日以内に症状が収まる点が特徴です。PMSは生理が始まる思春期から閉経する40代頃までに起こることが多く、PMDDはそれに加えて仕事や育児といったストレスが多い環境にいるとなりやすいといわれています。
- QPMS、PMDDで精神科を受診するメリットを教えてください。
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A
▲精神科の医師である根本安人先生に話を聞いた
当院のような精神科の場合、最初からPMSやPMDDの症状だと訴えて来院される患者さんは少なく、最初は不眠や抑うつ感などの症状で来院し、鑑別診断を考えていくうちにPMSやPMDDが関係していたと判明するケースがほどんとです。精神科を受診するメリットとしては、そうした不眠や抑うつ感に対して専門的な薬物療法やカウンセリング、認知行動療法といった精神療法的なアプローチができる点が挙げられます。カウンセリングなどを通して、不安やネガティブな感情への対処方法を身につけることをめざします。また当院では、患者さんお一人お一人の症状に合わせて漢方薬の処方も行っています。
- Q受診の目安を教えてください。
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A
▲少しでも気になる症状があれば、受診を検討してほしい
一つの目安として、家事ができない、人間関係に悪影響を及ぼすなど、症状によって日常生活に支障が出ているかどうかが挙げられます。深い抑うつ感や絶望感、感情のコントロールができないといったことも目安になるでしょう。とはいえ、心の問題は自分の物差しでしか測れないため、ご自身では気づけないことも多いです。少しでも症状に悩んだら気軽に受診していただきたいですね。
- QPMS、PMDDにはどのようなアプローチ法があるのですか?
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A
▲患者に合った治療プランを提案
漢方の使用や、先ほど挙げた精神療法などがあります。PMSやPMDDは女性ホルモンの不均衡によって脳のセロトニンが不足することによって起きるといわれています。そのため、抑うつ症状に対してはセロトニンを増やすための抗うつ薬が選択肢の一つに挙げられ、その場合は生理前の2週間だけ使用します。PMSやPMDDの抑うつ症状は、よく車のガス欠に例えられます。抗うつ薬は一時的にガソリンを供給するイメージで、カウンセリングなどの精神療法は、ガス欠を起こしにくい運転の仕方を身につけるというイメージです。目的によってアプローチの仕方が変わるため、患者さんの性格や環境に合わせた治療プランを立てていきます。
- Q漢方を用いた治療も行っているのですね。
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A
▲漢方薬の治療に精通している根本先生
そうですね。漢方では、体を「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つの物差しで考えます。PMSやPMDDなど、生理に関係する症状は血の巡りの問題といわれているため、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「加味逍遙散(かみしょうようさん)」といった瘀血の改善に有用とされる漢方がよく処方されます。漢方薬には食べ物のような成分が多く配合されているため、まれにアレルギー反応や偽性アルドステロン症、間質性肺炎といわれる副作用が起こることがありますが、月経困難症などに処方される低用量ピルと比較すると圧倒的に少ないといえるでしょう。当院では、患者さんの体質や症状に合わせた漢方薬を処方しています。