うつ病などで復職が怖いときには
リワークで職場復帰への一歩を
ブレインケアクリニック
(新宿区/新宿御苑前駅)
最終更新日:2024/11/26
- 保険診療
うつ病や適応障害などで休職した後、いざ職場復帰をめざそうとしても、さまざまな不安や恐怖を抱えてしまい、どのように一歩を踏み出していいかわからないことも多いはず。そうした悩みを抱えている人に向けた、リワークと呼ばれる職場復帰支援のプログラムがある。新宿御苑前にある「ブレインケアクリニック」では、看護師、臨床心理士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師など多職種の専門家が連携しながらリワークのプログラムを実施し、再発防止も考慮した取り組みを行っている。同クリニックの名誉院長を務める今野裕之先生は、「休職から一旦、リワークを挟むことで、復職後の再休職を防止するための助けにもなります」と話す。リワークの具体的なプログラム内容や復職までのプロセス、リワークで大切にしていることなどについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年10月17日)
目次
精神疾患は身体的、心理的、社会的要因の相互作用で生じる。医療機関によるリワークで効果的な支援を
- Qリワークとはどういったものなのでしょうか?
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A
リワークとは、うつ病や適応障害で休職中の方を対象にした、復職と再発防止をめざすための集団療法によるプログラムです。職場は集団であるため、リワークでは集団の中でストレスをためない働き方を習得していきます。精神疾患は、身体的、心理的、社会的な要因の相互作用によって生じます。リワークのプログラム内では主に心理的および社会的要因を重点的に扱いつつ、並行して身体的な要因の専門的な診療も行います。医療機関がリワークを行うことで、休職の要因を広く全体的に扱うことができ、より効果的・効率的な支援をすることがめざせます。
- Qリワークはどのような方にお勧めでしょうか?
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A
早く復職したい方、復職のために何をすればよいかわからない方、再休職しないための働き方を身につけたい方に、リワークは有用です。再発防止のために、主治医や会社からリワークを勧められて来院する方もおられます。休職後は、まずは休養し、症状の治療と体調の回復に努めることが大切です。体調、生活リズム、気持ちがある程度安定し、週3日のリワークによる集団活動ができる状態になったときが、当院のリワークを開始できるタイミングです。 当院のリワークでは、リワーク検討者向けの説明会を週1回実施しており、復職・再発防止やリワークについて詳しくお伝えし、始め方のご案内もしています。
- Qこちらで行っているリワークプログラムについて教えてください。
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A
復職だけでなく再発防止をめざし、より良い働き方を習得できるようにプログラムを構成しています。 生物・心理・社会・職業とカテゴリーを区切り、それぞれにプログラムを作成しています。具体例としては、生物カテゴリーでは睡眠・食事・運動などの心理教育、心理カテゴリーでは認知行動療法やグループワーク、社会カテゴリーではアサーションなどのコミュニケーション、職業カテゴリーでは疑似的なプロジェクト活動などです。この他に、再発防止に取り組むためのプログラムもあります。プログラムには、知識を学ぶ講座とグループワークがありますが、全体的に対話型のプログラムを多くしています。
- Qどのようなステップを踏んで職場復帰をめざすのでしょうか。
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A
当院では再発防止コースと体調回復コースを設けており、それぞれのステップがあります。再発防止コースではまず体調安定を図り、認知・コミュニケーション・ストレスマネジメントのスキルを学びます。その後、休職要因を検討して再発防止策にまとめていきます。基本的には復職可能となった時点で卒業、期間の目安としては初回の休職では4ヵ月程度、複数回の休職では6ヵ月程度ですが個人差は大きくなります。体調回復コースは復職に必須の体調回復をめざし、再発防止の検討はできる範囲で行います。期間と目標は個別に設定、短い場合は2週間ということもあります。個人ごとに回復度合いは違うため、過負荷にならないよう調整しながら進めます。
- Qチームで大切にされていることを教えてください。
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A
休職には複数の要因が絡まり合っているため、専門性の異なる多職種の連携が必須です。当院では看護師、臨床心理士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師などが連携しています。連携のためには、担当職種の専門性が高いことは前提ですが、自分自身の専門性のみで断定せず、各職種の観点から、より適切なものにアップデートしていくという考え方が大切です。また、連携のためにはチーム全体で共通の方向性を持ち、いかに利用者のニーズに応えることができるかという判断基準で考えることを重視しています。