パニック障害などの不安障害は
発作や症状との向き合い方を考える
ブレインケアクリニック
(新宿区/新宿御苑前駅)
最終更新日:2025/02/14


- 保険診療
耐え難い不安と身体の症状によって、日常生活に支障を来してしまう不安障害。近年、不安障害を訴える患者の数は増加傾向にあるという。中でも、突然の不安発作や動悸、発汗といった症状を伴うパニック障害に悩む患者は少なくない。東京メトロ丸ノ内線・新宿御苑前駅から程近い場所にある「ブレインケアクリニック」では、患者の不安の要因を解明することに努め、個々の症状に合わせた治療を行っている。同院の根本安人先生は、治療において、まずは患者の不安に共感し、理解することが大切だと話す。パニック障害をはじめとした不安障害の症状や受診の目安、治療方法について話を聞いた。
(取材日2025年1月29日)
目次
患者一人ひとりの環境に合わせ、西洋医学と東洋医学を照らし合わせた多彩なアプローチで治療を行う
- Q不安障害とはどのような病気か教えてください。
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A
▲不安障害について語る根本先生
不安障害とは、過剰な不安が長期にわたって続き、日常生活に支障を来す状態を指します。不安という感情は人間にとって大切で、不安があるから準備をしたり、用心したりできます。しかし過剰な不安が存在すると、生活のさまざまな場面で障害となってしまうのです。不安障害にはパニック障害や全般性不安障害、強迫性障害、社交不安障害などがあります。中でもパニック障害は強烈な不安発作とともに突然の発汗や動悸、胸の痛みや息苦しさが起こる疾患で、そういった症状が、およそ10分以内にピークに達するといわれています。また、同じような発作が起きるのではないかという予期不安も伴います。
- Qパニック障害の原因や受診の目安を教えてください。
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A
▲無理をせず医療機関に受診を
パニック障害の原因は完全には解明されていませんが、脳の中の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの不均衡、遺伝、トラウマやストレスといった心理的要因、または環境的要因が原因として挙げられています。一概には言えないものの、頭脳労働者や常に気を張っている環境にいてストレスを感じている方がなりやすい傾向にあります。また、発症するかしないかは、その方のもともとの性格や、失敗をどう乗り越えてきたかといった過去の経験も関係します。先ほど触れたパニック障害の症状が1ヵ月間に複数回起こる場合は、受診の対象となります。
- Q不安障害には、自律神経系の症状を伴うことが多いそうですね。
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A
▲パニック障害は発作と併せて自律神経系の症状を伴う
自律神経には、活動時や緊張時に働く「交感神経」と、休息時や睡眠時に働く「副交感神経」の2種類があります。パニック障害の不安発作は、交感神経が優位な状態です。不安というのは一種の人間のセンサーで、交感神経が過剰に使われすぎるとこのセンサーが壊れてしまい、さまざまな反応が体に起きます。循環器系では動悸や血圧上昇、呼吸器系であれば息切れや息苦しさ、消化器系ですと吐き気や胃の不快感が挙げられます。パニック障害は不安発作と自律神経系の症状がセットで起こるのが基本で、体の症状だけですと別の疾患の可能性があります。
- Qこちらのクリニックではどのような治療を行っていますか?
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A
▲西洋医学と東洋医学をかけ合わせて診療を行う
SSRIといった抗うつ薬や、頓服として使用できる抗不安薬を用いて治療を行い、症状に合わせて漢方薬も処方します。また当院では患者さんの身体の状態を診て、その人に合わせた食事や栄養、運動、睡眠やストレス管理などの指導も行っています。例えば食事は、野菜、魚、豆類、発酵食品などを中心に取ってもらったり、一日のうちで食事を取らない時間を長く作ってもらったりといったアドバイスを行います。西洋医学的な見方と、東洋医学的な見方を照らし合わせ、患者さんに合った治療プランをオーダーメイドで組み立てるのが当院の特徴です。診療の際には、まず患者さんが不安で困っているという部分に共感し、受容することを大切にしています。
- Qパニック発作が起きてしまった時の対処法はありますか?
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A
▲「まずは目の前のことに意識を向けてほしい」と話す根本先生
治療中であれば、頓服薬の服用が有用です。また、広場恐怖症を伴うパニック発作であれば、その場から離れることが大切です。例えば、電車内で発作が起こりやすい場合、各駅停車に乗り換え、こまめに途中下車をして発作が発生しやすい状況を回避するなどが挙げられます。普段の心がけとしては、「今」に集中する意識を持っていただけたらと思います。人間は過去や将来について考えすぎて不安になることが多いです。ですが、生きているのは今のこの時間、この現実なので、変えられないことや不明確なことではなく、目の前で起こっていることに意識を向いていただきたいですね。