歯根端切除術の費用や痛み、術式とは
根管治療の次の選択肢
南林間ひまわり歯科
(大和市/南林間駅)
最終更新日:2025/09/22


- 自由診療
神経を取った歯は根管内にばい菌が残っていると、歯根の先からばい菌が出てきて、根の先の骨が溶けて袋状に膿がたまる。これを「歯根囊胞」といい、痛みや腫れを伴うことも。根管治療で治癒が難しい場合は、抜歯をしてインプラントや入れ歯にするケースが多いが、「歯根端切除術」という方法でなら、自分の歯を残しながら歯根嚢胞の改善がめざせるという。「歯根端切除術は、できるだけ歯を残したいという願いに応えるための選択肢の一つです」と話すのは、この治療に詳しい「南林間ひまわり歯科」の鴇田拓也(ときた・たくや)院長。遠方からも多くの患者が相談に訪れるという歯根端切除術について、詳しく話を聞いた。
(取材日2025年3月12日)
目次
抜歯しかないと諦める前に相談を。天然歯を残すことがめざせる歯根端切除術
- Q歯根端切除術は、どのような時に行うのですか?
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A
▲モニターを見ながら歯の状態を確認できる
歯根囊胞が大きく再度の根管治療でも治癒が見込めない場合は、抜歯と判断されます。歯根端切除術はこのようなケースにおいて検討される治療法で、歯根端切除術を行うことにより、抜歯を回避できる可能性が高まります。適応症としては、かぶせ物を壊したくないという場合や、かぶせ物の土台となっている「コア」が長く、外す際に歯根破折のリスクが高い場合、根管治療を複数回行っても治癒しない場合、歯根吸収を起こしており根管治療での治癒が見込めない場合、歯根端切除術を既に行っているのにもかかわらず再発してしまった場合などが考えられます。
- Q歯根端切除術のメリットを教えてください。
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A
▲抜歯を回避するための方法があることを知ってほしいと話す院長
最大のメリットは、抜歯をせず自分の歯を残すことが期待できる点です。最近、早期に抜歯してインプラントを勧める風潮がありますが、インプラントにも欠点はあり、自分の歯に勝るものではありません。ですので、抜歯を回避するための方法があることを知ってほしいです。歯根端切除術をすると抜歯を回避することが望めるとは言いましたが、実は歯根端切除術を行っても術後抜歯になるケースは多くあり、その理由としては術中に逆根管充填を行わないことが挙げられます。また、歯根端切除術は適切な材料で逆根管充填を行えば成功が見込めますが、適切な逆根管充填を行っていない場合も多いのが実情ですので、施設選びにも注意が必要でしょう。
- Q具体的には、どのような治療をするのですか?
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A
▲マイクロスコープを用いて治療を行っていく
手術は局所麻酔下で行うので、痛みを感じることはほぼありません。麻酔の注射をした後、歯根囊胞が生じた部分の歯茎を切開し、骨に小さな穴を開けて膿の袋を取り出します。次に、ばい菌が出てくる根の先端を切断して切断面に小さな穴を開け、そこから根管内の汚物やガッターパーチャと呼ばれる古い根管充填剤を取っていきます。専用の機械で根管内を可及的に清掃した後、逆根管充填を行い、根管内からばい菌が出てこないよう密封します。そして歯茎を縫合して手術は終了です。翌日に消毒、1週間後に糸取りを行います。
- Q処置後の注意点はありますか?
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A
▲治療前後で丁寧な説明を心がけている
手術後には感染予防のための抗生剤と鎮痛剤を服用していただきます。歯茎の痛みや腫れ、唇や頰の腫れ、内出血、しびれ感などが生じる場合があります。手術から1〜2日程度は痛みが残りますが、鎮痛剤を服用すればそこまで気にならない程度です。内出血による紫色や黄色のあざや腫れ、しびれ感といった症状についても、時間の経過とともに、1〜2週間程度で自然と回復するでしょう。手術を受けた直後は、患部に刺激や圧力を加えることは避けてください。術後しばらくは、辛いものや硬いものを口にするのは控え、食事の際には治療した歯以外の歯で噛むようにお願いしています。
- Q歯根嚢胞以外にも、抜歯と判断されるケースがあるそうですね。
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A
▲鴇田院長はあらゆる方法を駆使し、歯を残す可能性を探っている
歯根嚢胞と同様に抜歯を勧められるケースとしては、歯根破折があります。歯根破折は多くの場合、根管治療済みの歯に起こり、抜歯の原因としてかなりの割合を占めます。歯根破折が起きた場合、通常はそのまま経過観察するか、抜歯宣告を受けるかのどちらかのことが多いんです。ただ、経過観察を選択すると、破折した歯根周囲の骨が大きく欠損してしまうという欠点も。そこで当院では、破折線を除去して接着する「破折接着治療」を積極的に行っています。破折の時期が早期であれば、口腔内で破折接着治療を行います。破折から時間がたっている場合は、一度抜歯して破折片同士を接着し、抜歯窩(ばっしか)に戻す「意図的再植術」を行っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯根端切除術/16万5000~20万9000円、意図的再植術/18万7000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。