小野田 教高 院長の独自取材記事
新宿金沢内科クリニック
(新宿区/新宿駅)
最終更新日:2024/08/09
新宿駅前にある「新宿金沢内科クリニック」。2021年から院長を務める小野田教高先生は、甲状腺疾患や内分泌を専門とするドクター。ごく微量のホルモンが、生きるために重要な役割を果たし、また、さまざまな病気と関わることに興味を持ち、内分泌の研究や診療に打ち込んできたという。バセドウ病や橋本病といった甲状腺疾患はもちろん、甲状腺腫瘍の精密検査に欠かせない穿刺吸引細胞診の専門家でもある小野田院長。甲状腺疾患や糖尿病は患者と長く付き合っていくことが必要であるため、患者の話をよく聞き、環境や背景までを考えた診療を心がけ、スタッフや他の医療機関との連携も重視する。真摯な人柄が伝わる穏やかな語り口も印象的だ。そんな小野田院長に同院の特徴や、甲状腺疾患や生活習慣病の診療に対する思いを聞いた。
(取材日2024年7月18日)
甲状腺疾患や生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群を専門に
まず、こちらのクリニックの特徴を教えてください。
私の専門である甲状腺疾患の診療を柱として、もともと当院が力を入れてきた糖尿病・高血圧症・脂質異常症といった生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群の診療を行っています。睡眠時無呼吸症候群については、単にCPAP(持続陽圧呼吸療法)を導入しているだけでなく、さまざまな生活習慣病の背景に睡眠時無呼吸症候群が関係するため、高血圧や糖尿病の治療の一つの切り口として睡眠時無呼吸症候群の診断を重要視しているのが特徴です。新宿駅のほぼ隣というような場所ですから、患者さんは広範囲から来られますね。仕事帰りでもここなら通院できるという方も少なくありません。
甲状腺疾患を専門とされたのはどうしてですか。
ホルモンはとても微量で、分泌する内分泌器官も非常に小さいですが、人はホルモンがなくては生きていけないこと、ホルモンの影響でさまざまな病気が起きるというところが興味深く、その代表的な疾患である甲状腺疾患を専門にしようと決めたのです。大学卒業後は東京女子医科大学大学院で内分泌の研鑽を積み留学も経験して、臨床や基礎研究に取り組んできました。ただ大学病院には全国から患者さんが紹介されてくるので、病態としては偏っている面もあり、実際の疾患分布や地域医療の実態も知りたいと考えて、地域の中核病院の腎臓内科に入職しました。その後、透析医療や腎クリニックの立ち上げ、救急医療にも携わり、さまざまな疾患の診療を経験してきました。
こちらの院長に就任された経緯を教えてください。
甲状腺疾患に対する思い入れをずっと持つ一方、透析医療に携わる中で、不幸にして視力を失ったり、足を切断せざるを得なかったりといった、糖尿病の合併症が進行した方に多く出会いました。ここまで重篤になる前に、検査値に異常が出た時点から生活習慣の改善や適切な治療によって、つらい思いをする方をなくしたいと考えるようになったのです。そこで、甲状腺疾患の診療と、健康を維持するための生活習慣病の診療をライフワークとしたいと考えて、こちらの院長に就任しました。3年を経て最近は、コロナ禍で通院を控えていた方がまた来てくださるようになったり、外国の方も来てくださるようになったりしています。
院内連携で患者の背景にも配慮した全人的医療をめざす
甲状腺疾患とはどのような病気なのでしょうか。
そもそも甲状腺とは、のどぼとけの下にある内分泌器官で、体の代謝や成長などを調節する作用がある甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、脳にある下垂体という部分から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されています。血中の甲状腺ホルモンが過剰になる場合は甲状腺機能亢進症と呼ばれ、代表的なものはバセドウ病です。逆に、甲状腺の働きが低下して血中の甲状腺ホルモンが不足する場合が甲状腺機能低下症で、代表的なものが橋本病です。また甲状腺ホルモンの異常はなくても、甲状腺に腫瘍が発生することがあります。良性の場合が多いですが、悪性の甲状腺がんもあるので注意が必要です。
女性に多い病気と聞きました。
そうですね。バセドウ病も橋本病も女性に多く、バセドウ病は比較的若年の女性に、橋本病は40代以上の女性に多い印象があります。閉経後の女性のうち、5、6人に1人は橋本病といわれています。疲れやすい、冷えるなど更年期障害と紛らわしい症状が特徴なので、見逃されている方が圧倒的に多いのではないでしょうか。また流産や不妊とも関わりが深いといわれており、当院にも、不妊治療を行う婦人科の先生からのご紹介が増えています。
診療する上でどのようなことを大切にされていますか。
生活習慣病や甲状腺疾患の診療は、一人ひとりの患者さんと長く付き合っていくものですから、患者さんのさまざまなお話をしっかり聞いていくことを大切にしています。病気だけではなく、その方の社会的な背景や、ご家族の問題を含めて総合的に診ていかないと、病気に打ち勝つことはできません。また、長い治療生活の間には、他のさまざまな病気やトラブルが起こることもありますので、全人的に診ることが必要だと思っています。そのためには、私一人の力では無理ですから、管理栄養士や看護師といった専門性を持ったスタッフにも協力してもらいながらチーム医療を実現して、患者さんにフィードバックしていくことを心がけています。スタッフには、常に患者さんとは目線を合わせて、笑顔で対応してほしいと伝えています。実際、スタッフはみんな優しくてニコニコして患者さんに接してくれていますから、私も安心しています。
気軽に受診でき、満足できるクリニックをめざして
ところで、先生はどうして医師を志されたのでしょうか。
きっかけの一つは、小学6年の冬休みに福島県のスキー場で足を骨折した経験です。3学期のほとんどを福島と自宅のある東京の病院で過ごしました。小児科病棟で、同室の小児喘息の子どもたちが、明け方に発作を起こして苦しそうにしているのを目の当たりにしたのです。私は骨折で足は不自由でしたが、基本的には健康だったので、病気に苦しむ同世代がいることを知り、こうした人を一人でも減らしたいと思ったのです。もう一つは父方の祖母が東京女子医科大学の前身、東京女子医専で学んでいたことです。結婚で中退したのですが、「私の望みを子どもが成し遂げてほしい」という句を残していました。でも父は血を見るのも嫌なタイプで(笑)、医学の道には進まなかったので、私が祖母の志を継ぎたいという思いもあったかなと思います。そうした経緯もあり、東京女子医科大学には親しみを感じていたわけです。
今後の展望についてお聞かせください。
院内のチーム医療に加えて、手術やより専門的な治療が必要になった場合の病診連携を進めていくことが大切だと考えています。また、甲状腺疾患を専門とする医師は比較的少なく、しかも都内でもその多くは大学病院や専門病院に在籍しており、当院のようなクリニックで専門的な診療を行っていることは少ないと思います。甲状腺の腫瘍が疑われる場合は頚部超音波検査を行い、さらに悪性と思われる場合は、超音波検査で甲状腺の内部を確認しながらがんが疑われる部分に針を刺して細胞を採取する「穿刺吸引細胞診」という検査が必要になります。院内で速やかに検査を行い、必要な治療につなげられるよう体制も整えています。甲状腺疾患の分野で、ぜひ多くの患者さんのお役に立ちたいと考えていますので、安心してご相談いただきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
当院は、「ここに来てよかった」という気持ちになっていただけるようなクリニックをめざしています。予約制ではありますが、紹介状は不要ですし、甲状腺疾患の血液検査も初診日に行い、速やかに診断することができます。さらに精密な検査や専門的な治療が必要な場合は、近隣の大学病院や大きな病院との病診連携の体制も整えています。もちろん、糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群の診療も専門的に行っています。一番の良さは、専門的な診療を身近に、そして親身に提供できることです。気になる症状がある方、健康診断などで異常を指摘された場合など、ぜひ受診してください。とても便利な場所にありますから、通勤や買い物帰りなどに気軽によっていただけるかと思います。また、当グループのクリニックはいずれも便利な場所で、連携もしていますから、通院しやすいところを選んでいただければと思います。