多職種連携での訪問診療によって
その人らしい生活をサポート
メディケアクリニック石神井公園
(練馬区/石神井公園駅)
最終更新日:2024/10/04


- 保険診療
すべての団塊の世代が75歳以上となる2025年、さらに全人口の約35%が65歳以上になると予想される2040年。日本において、在宅医療への取り組みは急務だ。他方、在宅医療の必要性は高齢者だけにとどまらない。難病患者や終末期を迎える患者にとっても在宅医療は重要な選択肢だ。そうした中、開業から一貫して訪問診療に力を入れてきたのが「メディケアクリニック石神井公園」。歯科医師、看護師、薬剤師などの医療者、ケアマネジャーやヘルパーといった介護専門職者との連携はもちろん、弁護士、ハウスクリーニング業者、理美容師、ネイリストといった医療や介護職ではない職種との連携も重視する。治療だけでなく、患者自身が自分らしく生活できる環境づくりにこだわる、長濱久美理事長らしい取り組みだ。そんな同院の訪問診療を取材した。
(取材日2024年7月5日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q地域の医療施設との連携はどのように取っていますか?
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A
当院では、薬剤師、訪問看護師、ケアマネジャー、ヘルパーといった医療や介護者と連携しています。大規模病院ともつながっているので、入院が必要になった際にも紹介が可能です。私自身も、週に1回、順天堂大学医学部付属練馬病院の呼吸器内科で外来を担当しているので、同院にお願いすることもできます。練馬病院であれば、私も患者さんの状態を把握できるので安心です。また、歯科医師とも連携しているので、口腔内のトラブルもご相談いただけます。365日、緊急時にもスムーズな訪問診療を行うには、地域の医療者との連携は欠かせません。病気だけでなく、患者さんの生活全般のサポートができる連携をめざしているところです。
- Q訪問診療の対象はどのようなケースですか?
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A
基本的には通院困難な方になります。歩けない方はもちろんですが、認知症で介護が必要な方なども含まれます。がんの方や、私は呼吸器が専門なので、酸素療法を行っている方などにも対応しています。若いからといって訪問診療を受けられないということはなく、20代でもがんを患う方もいらっしゃいますので、通院が困難だと思われる場合はご相談いただきたいですね。積極的な治療よりも生活の質を維持したり、向上させたりする目的の終末期医療を望まれる患者さんのケアも行っています。ここでも多職種による連携が必要です。例えば、管理栄養士からのメニュー提案だけでなく、調理方法の直接指導も受けていただくことができます。
- Q費用はどのくらいかかりますか?
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A
訪問診療も保険適用となるので、年齢や健康保険の種類によって、医療費の1~3割の負担となります。治療や検査内容、訪問時間で費用が異なるため、一概にいくらということはできません。ただし、高額療養費制度で所得に応じた自己負担限度額が設定されていますので、その点はご安心いただけると思います。また、ケアマネジャーとも連携するので、介護保険も一部利用可能です。お支払いは現金でも承れますし、事前にお手続きいただいた口座からのお引き落としもできます。薬については、訪問調剤が便利です。薬剤師さんが訪問し、薬を届けてくれます。在宅医療に関するさまざまなサービスについて、できるだけご案内するように心がけています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1クリニックに相談
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初回は電話での相談が多い。患者本人や家族、ケアマネジャーや病院などから連絡を受け、同院のソーシャルワーカーが対応する。初回問い合わせの後、ソーシャルワーカーが患者宅を訪問し、患者や家族の意向をヒアリング。その後、ヒアリングした内容に基づいて、医師と看護師による訪問診療がスタート。場合によっては管理栄養士も同行し、患者の栄養管理についても対応する。
- 2医療チームミーティング
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難病や重症患者の状態を中心に各医師が申し送りを行う。各患者の詳しい経過や状態については、医療用の連携アプリを利用して共有しているという。訪問診療を行う患者はすべてアプリに登録され、医師、看護師、患者家族、ケアマネジャー、ヘルパー、薬剤師など、関わる人全員が共有できる仕組みだ。患者の日々の様子を連携者が詳細に入力することで、スムーズな診療が行えるよう努めているそう。
- 3初回訪問
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初回は患者とのコミュニケーションを重視。医師が目線の位置や、声のトーン、話す速度などに気を配り、患者が心を開きやすい状況をつくることを心がけているという。飾られている置物や写真などから、患者の興味がある話題を見つけ話をすることも心がけているそう。
- 4家族のケア
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患者家族の不安にも寄り添ってくれる。例えば、医師と患者が話している間に、看護師が家族に声をかけ、医師の説明が伝わっているか確認するなど、医師と看護師の連携も重要視。終末期の患者の場合は、これからどういった経過をたどるのかを詳細に記した冊子を用いて家族に説明してくれる。すべて同院のスタッフが作成しているという冊子は、わかりやすい言葉とイラストで書かれ、患者家族に寄り添う気持ちが込められている。
- 5定期訪問
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前回の状況をもとに、それぞれの患者に応じた治療が施される。同行する看護師とともに治療だけではなく、便通や食事の様子など日常生活の話も引き出しながら適切な処置をしてくれる。次の訪問までのアドバイスもある。