糖尿病など全身疾患との関連も
全身の健康のための歯周病管理
山田歯科医院
(相模原市中央区/相模原駅)
最終更新日:2021/10/12
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歯を失う原因の第1位である歯周病は、虫歯と同様に細菌感染症で歯肉炎と歯周炎に大別され、働き盛りの年齢層ではほぼ80%の罹患率ともいわれている。自覚症状がないことや、活動期と慢性期を繰り返し進行することで、そのまま放置され気づいた時には重症化していることも。そのため検診による早期発見・早期治療が重要とされている。そこで、日本歯周病学会認定歯周病専門医であり、日々地域の人の口の健康を支える「山田歯科医院」の山田晴樹院長に、歯周病の概要や治療について、また、最近耳にする機会も増えた、歯周病と全身疾患との関連性について詳しく聞いた。
(取材日2020年4月3日)
目次
自覚症状なく静かに進行。糖尿病など全身疾患との関連も深いため、定期検診で早期発見を
- Q歯周病はどのような病気ですか?
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A
歯周病は、痛みなど際立った自覚症状が少なく、気がついた時には進行していることが多いため「静かなる病気」といわれています。成人に多い歯周炎は、歯周病原因菌によって歯周組織に生じる炎症性疾患で、歯と歯周組織との付着の喪失や歯を支える歯槽骨の吸収が起き、ほとんどの場合、慢性的に進んでいきます。活動期には腫れたり出血しやすく急速に進行することから、歯肉からの出血が病状の指標となります。また、早期接触、強い側方圧、歯ぎしりなどの外傷性咬合が併発すると、歯周組織の炎症は増悪し、組織破壊は急速に進行するため、重症化を防ぐために噛み合わせの調整が必要になる場合もあります。
- Qどのような治療をするのでしょうか?
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A
歯周病治療のゴールは歯周病の進行を止めて歯周組織を守ることです。歯周組織は家でいえば基礎部分。かぶせ物、詰め物をするにしても歯周組織が健全なほうが良い結果につながるため、まずは歯周病検査、エックス線、場合により歯科用CTでの撮影を行い歯周組織の状態を把握します。その上で浅い所のプラークや歯石の除去、次いで歯周ポケット内のプラークや歯石の除去という基本治療を行います。当院では歯周組織再生剤による歯周組織再生療法も行っていますが、これは誰にでも適応する治療ではないですし、いきなり行うこともできません。まずは歯周基本治療とブラッシングをマスターしていただくことが必要です。
- Q歯周病と全身疾患にはどのような関係性がありますか?
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A
健康寿命を延ばすために、全身の健康維持・疾病予防とともに欠かせないのが、口の中の健康維持・疾病予防です。最近は、歯周病と全身疾患との因果関係や関連性を研究・解明する学問である歯周医学により、全身の健康のための歯周病管理の重要性がますます強調されるようになってきました。歯周病は、動脈硬化症や、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患、誤嚥性肺炎、早産・低体重児出産、糖尿病、関節リウマチ、菌血症などと因果関係があり、発症や進行に影響を与えるという報告があります。また口からウイルスが侵入することがありますので、ブラッシングなどの口腔ケアはインフルエンザ予防の観点からも大切です。
- Q特に歯周病と糖尿病には密接な関係があると聞きました。
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A
歯周炎の炎症により生じる化学伝達物質TNF-αはインスリンの抵抗性を増大させ、糖尿病を悪化させる可能性が報告されています。私は日本歯周病学会の歯周病専門医ですが、歯周病は糖尿病と大きく関連があることから、現在、相模原市医師会に所属する糖尿病を専門とする内科の先生方や相模原市歯科医師会の有志の先生方とともに糖尿病医科歯科連携を積極的に行っています。歯の欠損があると咀嚼がうまくできず、軟食や丸のみとなりがちで血糖値が上昇しやすくなるため、歯周病治療で歯を維持することはもちろんのこと、欠損部分は義歯を補うことをお勧めしています。
- Qかかりつけの歯科医院でしっかり管理することが大切なのですね。
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A
そうですね。2019年に当院は「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」となりました。「か強診」の施設基準を満たした歯科医院では、虫歯、歯周病、口腔機能低下それぞれの重症化予防に関わる処置には保険の適用が認められます。そのため、継続的な口腔管理など、よりこまやかにケアをしていくことが可能となるのです。具体的には小児や大人へ白濁のあるような初期虫歯へのフッ素塗布が健康保険で行えるようになったほか、歯周病治療後、状態の安定している患者さんについては、プラークコントロールやスケーリングなどの毎月のメンテナンスも健康保険で行えるようになりました。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯周組織再生剤による歯周組織再生療法/1ブロック(1-4歯)6万円(自由診療の場合)
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。