熱田 晴彦 院長の独自取材記事
熱田内科クリニック
(京都市下京区/四条駅)
最終更新日:2022/06/16
京都市営地下鉄烏丸線・四条駅5番出口直結、阪急京都本線・烏丸駅からも徒歩3分という商業中心地にある「熱田内科クリニック」。大学病院や大規模病院で糖尿病や甲状腺をはじめとする代謝・内分泌領域を専門としてきた熱田晴彦院長が2014年に開業。検査当日の結果報告・治療スタートなど、“病院の診療”をイメージし、診療受付時間や待ち時間への工夫など誰もが通いやすいクリニックをめざしている。糖尿病を中心に生活習慣病診療に力を入れる同院では、在籍する看護師や管理栄養士とのチームで生活習慣の改善もサポート。同院の特色や診療方針、感染症対策、患者と接する際に心がけていること、今後の展望など、幅広く話を聞いた。
(取材日2022年5月19日)
病院と同等の診療密度を実現。検査・治療開始を1日で
開業に至った理由を教えてください。
開業前の10年間は、京都第二赤十字病院で糖尿病や甲状腺など代謝・内分泌領域を専門とし、週2回ほどの外来のほか、入院中の患者さんや透析を受けている方の診療、当直の際は救急など幅広く担当し、糖尿病のコントロールが悪かった人が心臓病になって運ばれてきたり、普段から通院していたけれど突然別の症状があって調べたら新たな病気が見つかったりというケースをたくさん見てきました。しかし病院の外来は医師の担当日が決まっており、診療受付時間も短いのがデメリット。“その日に検査をして同日中に結果を知る”という病院での診療を本来必要している働き盛りの年代の方は、受診が困難だと言わざるを得ません。そこで病院の診療密度はそのままに、コンパクトに切り取って持ってきたクリニックを開業したいと考えたんです。
こちらのクリニックにはどのような特色がありますか?
これまでの糖尿病治療の専門性を生かし、病院同様に検査実施と結果報告を当日行い、その日のうちに管理栄養士たちも交えて治療プランの検討をする点です。検査をして結果は後日お伝えするという流れだと「忙しくて検査結果を聞きに行く時間がなく、放置したことで悪化してしまった」ということがあるのですが、当院では、検査から治療まで即日対応を可能にしており、異常が判明したその日から治療を開始することもあります。誰もが来院しやすい環境を提供するため、四条駅や烏丸駅から徒歩数分の中心地を選びました。大阪や奈良、滋賀などからもアクセスが良く、診療時間も19時までとすることで仕事を終えた後にお越しいただける環境を整えています。糖尿病であれば1型糖尿病も含め10~90代と幅広く、喉の違和感や体重の増減、多量の発汗など甲状腺の病気を疑って来院される女性も非常に多いですね。
診療方針をお聞かせください。
先ほども申し上げたとおり、今日わかることは今日調べ、すぐに報告して、アップデートされた専門的な知識を持ってその場で治療方針を決めるのが当院の診療方針です。糖尿病を中心とした生活習慣病では合併症を引き起こさせないよう、看護師や管理栄養士の力を借りた「チーム医療」により、患者さんの病気を管理していきます。もし私の専門外の疾患の疑いが出てきたときは「自分でも診られるはず」と引っ張らず、また様子見などせずに、その領域の専門家である先生にできるだけ早くコンタクトを取ってご紹介しています。
小さな変化も見逃さず、常に最善の治療をめざして
スタッフさんも専門性を持って糖尿病治療にあたっていると伺いました。
当院には糖尿病療養に精通した看護師や、管理栄養士が在籍しており、患者さんの治療をサポートしています。私から何か言うことはないのですが、「こうした勉強がしたい」「患者さんが服用している薬について知りたい」など、患者さんのためになることを自発的に学んでくれています。看護師も当院で働き始めてから糖尿病療について専門知識を身につけたいと勉強してくれたんですよ。当院のような専門性の高いクリニックに勤務したいと考えてくれるスタッフだけあって、向学心や意欲が高い人ばかり。「こうしてほしい」など頼まなくても自ら意識高く取り組んでくれる人材は宝と言えますし、とても恵まれているなと感じています。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
時には絵を描いたり、時間をかけて丁寧に解説したりと、かみ砕いたわかりやすい説明を心がけています。また患者さんの「この間はここが痛かった」「こんな症状が出たことがある」など、たとえ小さなことでも変化を見落とさないようにしっかりとお話をお聞きするようにしています。また、糖尿病など生活習慣病の検査数値は、その日・その瞬間のデータであり、その後どう上がり下がるのか、上下する数値はどんな形のグラフを描くのかを、従来の血糖値測定をはじめさまざまな検査を組み合わせて多角的に評価し、病状を捉えます。そこで見えた問題点を解消できるよう指導や投薬を検討するわけですが、例えば同じ系統のお薬でも患者さんによって合う・合わないがあるので、経過によって細かく薬を変更するなど、常に患者さんにとって適切な治療が提供できるよう努めています。
感染症対策についても教えてください。
当院は糖尿病患者さんが多く、感染症の疑いがある方と一緒のスペースでお待ちいただくことはできません。そのため発熱患者さんの診療枠は設けておらず、お電話やウェブ予約などをいただいた際には、対応可能な医療機関をご紹介しています。もしご来院の際に発熱が確認された場合は、パーティションタイプの空気清浄機で区切ったスペースでお待ちいただくことになります。そのほか診療室など各部屋では空気清浄機による常時換気を実施し、待合室や受付には飛沫防止のカーテンを設置しています。また、患者さんが長時間滞在しなくて済むよう、項目を絞った検査で時間の短縮を図り、検査結果までの待ち時間を買い物や用事にあててもらい、順番が来たら携帯電話でお呼び出しするなど、院内の密を避ける工夫もしています。
食事制限があっても「おいしい」「楽しい」はかなう
院内も先生のこだわりがあふれていますね。
医療機関らしからぬ、まるで自宅のような温かみのあるリラックスできる空間にしたいと考え、当院は住宅専門の設計事務所にお願いし、住宅で使用される建材で内装をつくりあげました。季節ごとに変わる待合室の植物は、江戸時代から続く京都の老舗花店にしつらえていただいている生け込みです。鉢にも骨董品が使用されており、美術品でありながら主張しすぎない落ち着いたデザインで、患者さんをお迎えしています。また、ビル入り口から院内・トイレまで完全バリアフリーで、車いすユーザーの方も車いすのまま受診いただけますし、エレベーターはストレッチャーも載ることができる十分なスペースのもの。寝たまま移動も可能です。
今後考えている取り組みなどありますか?
新型コロナウイルス感染症が落ち着いたら、本職の調理師さんに協力していただき、糖尿病など生活習慣病の方も簡単に取り入れられるレシピをお教えする料理教室のようなものを催したいなと考えています。例えば「管理栄養士と行く買い物ツアー」も組み込み、どんな食材を選んだらいいのかをお教えした上で、お料理まで一緒に作れば楽しいですよね。いくら病気でも制限してばかりでは苦しくなっていくだけですが、「おいしい」「楽しい」ことに制限は一切なく、トータルで塩分やカロリーが抑えられていれば問題ないんです。決して“お先真っ暗”ではないので、希望を持っていただける取り組みにできたらと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
日常生活の中で「少しおかしいな」と体調に違和感を覚えている方、また健康診断などで指摘を受けているけれど受診には二の足を踏んでいるという方は、例えば糖尿病であれば当院、おなかの症状であれば消化器内科、神経症状であれば神経内科など、身近にある専門の診療科への受診を検討してください。問題がなければホッと安心できますし、何か病気があってもできるだけ早く治療に取りかかれます。もし治療が必要だと言われた場合は、その病気を正しく理解して受け入れ、医師としっかり話し合って納得いく治療を受けてください。それが病気を重症化しないためにとても重要なことです。当院では、日本糖尿病学会糖尿病専門医である私、管理栄養士、糖尿病療養について学んだ看護師ら専門知識を持ったスタッフが、患者さんが前向きに取り組めるテーラーメイドの医療をご提供しています。