早期発見と継続治療で失明の防止を
緑内障について
はりの眼科
(大阪市東淀川区/淡路駅)
最終更新日:2024/12/24


- 保険診療
日本人の失明原因1位である緑内障。40歳を過ぎると、なんと20人に1人が発症するとも言われる身近な眼疾患の一つだ。しかし、初期には自覚症状がなく、現状を維持するために治療を始めても変化を感じることはほぼないため、治療を継続できる人はそれほど多くないのだと「はりの眼科」の張野正誉院長は残念そうに話す。なぜなら放置した緑内障が自然治癒することはなく、視野や視力に変化が起きてから慌てて駆け込んできても失った機能を取り戻すことは不可能だからだ。寿命をまっとうするまで「見える暮らし」を維持するためには、現時点では「治療の継続」しかないと張野院長は力を込める。当院に導入されている視野計は姿勢が楽で、測定時間も短い。両目を開けたまま検査できる。そこで今回は改めて、緑内障やその治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2024年11月18日)
目次
眼底検査による早期発見と継続的な治療で「見える」人生を
- Q緑内障は身近な病気と聞きました。どういう病気なのですか?
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A
▲緑内障は早期発見や治療が重要だと眼球模型で説明する張野院長
緑内障は、眼圧が上昇することにより視神経が障害され、視野異常や視力低下を引き起こす病気です。ほとんどの場合、症状がゆっくり進んでいくこと、片方の目に異常が起きても反対の目で補完してしまうことから、初期〜中期にかけてほぼ自覚症状はありません。そのため「見えにくい」「見え方がおかしい」と受診した時には症状がかなり進行していることが多く、最悪の場合には失明に至ることもあります。「失明」と聞くと珍しい病気のような気がしますが、実は40歳以上の20人に1人が発症すると言われる身近な病気です。一度傷ついた視神経が元に戻ることはないため、なによりも早期発見・早期治療により症状の悪化を防ぐことが大切です。
- Qどんなきっかけで発見されることが多いのでしょうか?
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A
▲新鋭の視野計を導入。測定時間も短く、楽な姿勢で検査できる
緑内障の典型的な症状として「視野が狭くなる」ことがありますが、初期に気がつくことはまずありません。そのため、緑内障とわかるきっかけは主に人間ドックや健康診断です。人間ドックの眼底写真撮影で、視神経乳頭陥凹拡大が見つかれば、緑内障発見のきっかけになります。眼底写真はすべての健康診断に含まれているわけではありませんので、40歳を過ぎたら、検診の際には眼底写真の入っている人間ドックを受けていただければと思います。また眼科での眼底検査はもちろん、コンタクトレンズの処方や定期健診などの機会を利用し、緑内障ではないかどうかを診断していただくことをお勧めします。
- Qこちらのクリニックではどのような治療を受けられますか。
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A
▲患者一人ひとりに合わせたアドバイスや点眼方法を指導
現時点では緑内障を根治する治療法はありません。しかし、医師の指示どおりに点眼薬などの薬物治療を続ければ、視野障害の進行を抑えることが期待できます。長く付き合っていく病気ですので、当院では「やめずに続けられる治療」を心がけています。患者さんは性格もライフスタイルもそれぞれ違いますし、症状も違います。患者さんとよく話し合いながら、その人に合わせた治療を進めていきたいと思っていますので「1日に何度も目薬をさせない」「首が悪くて上を向いて点眼ができない」など、どのようなことでも気軽に話していただければと思います。当院ではレーザー治療や手術にも対応していますので、組み合わせながら治療を進めていきます。
- Q症状が進行する場合には手術を行うのですね。
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A
▲目の病気を見逃さないように細部までしっかり検査を行う
薬物治療やレーザー治療で十分に眼圧低下が見込めない時に、手術が必要になることがあります。当院では心身に負担の少ない日帰りの緑内障手術を実施しています。日帰りとはいえ手術は怖いものだと思いますので、術前には丁寧な診察・検査・説明を行いますのでご安心ください。手術時間は10~20分程度で、手術中の痛みは少なく、痛みを感じやすいのは麻酔の注射の時くらい。白内障がある場合には、白内障と同時手術を行います。ただし、手術の後はしばらく頻回の診察が必要です。重症の場合は、20~60分程度かかり、入院による手術が必要となりますが、適切な病院を紹介させて頂きますので、ご安心ください。
- Q早期発見・治療をするために大切なことは何でしょう。
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A
▲安心して受診できるよう、丁寧でわかりやすいを説明を心がける
まず大切なのは違和感を放置しないこと。気になることがあったら眼科を受診する習慣をつけることです。ドライアイやかすみ目に悩んでいても市販の目薬で対応する人は多いですし、眼鏡やコンタクトレンズを作るために眼科を受診する人は少ないかもしれません。しかし私たち眼科医は、どんな患者さんに対しても眼科疾患の可能性を念頭に置いて、丁寧に検査・診察を行っています。自分では気がつかない眼科疾患もたくさんありますので、気軽にご相談いただきたいと思います。そして、緑内障が見つかれば、診察や治療をやめないことです。失った視野は取り戻せません。見えなくなってから後悔しないためにも、担当医とよく相談してほしいと思います。