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米田 浩基 院長の独自取材記事

藤沢在宅クリニック

(藤沢市/藤沢駅)

最終更新日:2019/08/28

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藤沢駅近くの幹線道路沿いにある「藤沢在宅クリニック」は在宅医療をベースに、土日午前中限定だが頭痛と認知症専門の診療も行っている。診療は基本的に米田浩基院長が担当し、在宅でニーズの高い皮膚科と精神科は必要に応じて専門の医師も担当する。「在宅の主役は患者さんとご家族。最期までご自宅などで過ごしていただけるよう、その方の心に寄り添う医療をめざしています」と米田院長。脳神経外科から在宅医療に移った経緯から群発頭痛の治療のことまで、医療に対する熱い思いを聞いた。
(取材日2018年12月27日)

在宅医療に加え、群発頭痛や認知症の診療も行う

こちらは在宅と外来の両方で診療されるそうですね。

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その通りです。ただ診療の分野はそれぞれ異なり、在宅はご自宅や施設で療養される患者さんが対象で、外来は毎週土・日曜日の午前中に開設し、群発頭痛という大変につらい頭痛で悩まれる患者さんと、認知症の患者さんやご家族の相談を受けています。在宅では高齢や病気や障がいなどで通院が難しくなった方が、住み慣れたご自宅や施設での療養を続けられるよう、訪問看護師や介護スタッフと協力しながら支援しています。加えて必要なときは当院から理学療法士を派遣する訪問リハビリテーションもご提供します。患者さんは病院入院中のリハビリテーションで体力や運動機能をある程度まで回復させ、ご自宅に戻られることが多いのですが、在宅療養中はそうした機会にあまり恵まれません。そこで訪問リハビリによって体力や運動機能を維持するよう働きかけ、一人でも寝たきりの方を減らしたいと考えています。

在宅医療ではどのような方を診ているのですか?

当院ではご自宅と施設を合わせて500人弱の在宅の患者さんを診ています。脳卒中になって病院で治療を受けて、退院後も継続治療が必要な方、がん末期で緩和ケアを含む終末期医療を望まれる方なども多いですね。また近年は認知症の方も増えています。認知症の患者さんで徘徊などの周辺症状が強く出てきた場合は、薬の処方など症状緩和の処置も必要になってきますが、私は「悪いところを治す」という西洋医学的な考えだけでなく、「そうした症状もまるごと含めて一人の人間」という視点も大切にして、患者さんのあるがままの姿を受け入れたいという想いがあります。このため認知症の診療では、ご家族の方が周辺症状にどう対処すればよいかなどの相談を受けているんですよ。また、おかしい行動や言動があって、認知症が疑われる方の診断なども行っています。

外来で診ている群発頭痛について教えてください。

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群発頭痛は目の奥がえぐられるように痛む頭痛で、「ドリルで穴をあけられるような」と例える方もいるほど激しい痛みが続きます。あまりにも痛くて横になって休むこともできず、頭を壁にぶつけるなどの興奮状態に陥るケースもあるほか、痛みのある側の目の充血、流涙(りゅうるい)、鼻詰まりや鼻水などを伴うことも多い病気です。こうした痛みが毎日決まった時間帯に数時間おきます。そうした頭痛の期間「群発期」が数週間から2・3ヵ月ほど続いた後、突然症状が治まり、1年ほどたつとまた始まるという周期性も特徴。根治の方法は解明されていないのですが、当院では痛みの軽減のため、鎮痛剤の点鼻・皮下注射、酸素吸入などのほか、翼口蓋神経節という鼻の奥にある神経の束に麻酔をかけて痛みの伝達を遮断する神経ブロックという方法もご提供しています。この翼口蓋神経節ブロック時に、内視鏡を使用するのも当院の特徴です。

医師と各専門職、地域との連携で充実した在宅医療を

在宅ではどんな診療が受けられるのですか?

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在宅医療は事前の計画に沿って定期的にご自宅や施設を訪ね、診察や必要な処置、薬の処方などを行う訪問診療と、緊急時に24時間で対応する往診で成り立っています。当院では私がすべての患者さんの全症状を診ることを基本に、必要に応じて皮膚科や精神科の医師にも診てもらっています。また在宅医療は医師、看護師、リハビリテーションや介護のスタッフなどが連携するチーム医療です。私が定期的に訪問する以外に、看護師が訪問して在宅療養をサポートし、患者さんの様子の確認や医師の指示にもとづく医療的処置などを行います。加えて訪問リハビリで運動機能の維持にも努めています。

チーム内の連携で工夫されている点はありますか?

当院では各自が患者さんのご自宅を訪問して得た最新情報、気になる点などをタイムリーに共有して適切に対応するために、クラウド対応の電子カルテを活用しています。例えば看護師から「ここが腫れています」という報告と写真がカルテにアップされたら、私や皮膚科の医師が確認して判断して対応を指示したり、次回の診療に生かしたりと密接な連携を図っています。もちろん院内だけでなく地域との連携も重要で、例えば救急医療を行う総合病院や近隣の病院と密接に連絡を取り、入院にフレキシブルに対応してもらい、治療を終えたらまた在宅へという流れを作りました。また、地域のケアマネジャーさんなどからの「病気のことを知りたい」という要望に応え、定期的に「高齢者の体と医療を考える勉強会」も開催するなど、お互いに顔の見える関係の中で在宅医療を充実させたいと考えています。

診療時に大切にされることをお聞かせください。

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在宅医療の主役は患者さんとご家族で、医師やそれぞれの医療専門職は脇役に過ぎません。私は医療者として言うべきことはきちんと伝えながらも、ご本人やご家族の心に寄り添いたいと願っています。最期の時を前に、おそらくご本人は「自分の人生はどうだったろうか」とお考えのはずで、そんなときはご家族が体をゆっくりさするなどして、感謝の気持ちを示すといいでしょう。そうした穏やかな看取りの形をもっと多くの人に伝えたいと思い、私がこれまでに出会った患者さんとのエピソードを『在宅医の告白 「多死社会」のリアル』という本にまとめました。

脳卒中の後遺症に興味を持ち、脳外科から在宅医療に

こちらで開院されるまでの経緯を教えてください。

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大学卒業後は脳神経外科の専門病院で主に脳卒中の治療に携わりました。ただ脳卒中などの脳血管障害は、治療開始が遅れると体の麻痺や言語障害など重い後遺症が出ることが多いのです。そうした患者さんの長期的なフォローに関心を持ち、救急医療とリハビリテーションに力を入れる病院に移り、治療だけでなく、患者さんの退院後の生活環境をどう整えるかという退院調整にも参加しました。そこでは必要な知識を得たいと思ってケアマネジャーの資格も取得したんです。このような経験から退院後を診る在宅医療に取り組もうと決め、しばらく経験を積んだ後に当院を開院しました。実は小さい頃、脳梗塞で倒れた祖母を私の実家で介護していた時期があったんですよ。当時は公的な医療・介護サービスもなく、父も単身赴任中で、母は大変な思いで私を含む4人の子育てと祖母の介護をしていました。そんな状況に力不足で何もできなかった悔しさも大いに影響しています。

在宅医療のどんなところにやりがいを感じますか?

患者さんのご自宅や施設での診療は大がかりな検査が難しいといった制限はあるものの、診療科を問わず対応する総合的な診療ができ、「かかりつけ医」の醍醐味を感じます。特に高齢の患者さんを診る際は薬による治療だけに頼らず、ご本人の心と体、生活面までトータルに把握して診療することが重要で、例えば心不全や在宅医療で問題になる床ずれなどは、必要な栄養がとれていないと治りにくい・再発しやすいことも多いのです。痛みが改善したり、心地よく過ごせたりといった喜び、逆に病気が治らない無力感など、在宅医療で起きる良いことも悪いことも分かち合える、そんなかかりつけ医でありたいと思っています。

最後に地域の方にメッセージをお願いします。

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いずれは在宅医療にしたいが時期はもっと後で……とお考えのご家族は多いのですが、そうした方こそ早めにご相談されるようお勧めします。というのも「入院から在宅に移り、亡くなるまでの時間が予想以上に短かった」と悔やまれるケースをいくつも見てきたからです。また、すでにご自宅で介護を続けられている場合も、自分たちだけでギリギリまで頑張ってしまうと、ご家族が体力的にも精神的にも持ちません。相談してもすぐに在宅に入る必要はありませんから、一度在宅医療でどんなことができるのかを聞いていただければと思います。またインターネットの動画配信サイトでは、私が皆さんに語りかける形で情報を提供しています。

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