小腸と大腸の画期的な検査
保険適用のカプセル内視鏡
森田内科・胃腸内科
(高槻市/高槻市駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
内視鏡検査と言えば、口や鼻、肛門からファイバースコープを挿入するのが一般的だが、近年は小型カメラ内蔵のカプセルを飲んで消化管内を撮影し、小腸や大腸の腫瘍、ポリープ、出血、潰瘍などの病変を見つけていく内視鏡検査が受けられるようになった。2014年に保険適用となり、実施しているクリニックはまだそれほど多くはないが、精密検査が難しいとされる小腸の診断や、大腸カメラが挿入できず、これまで大腸の詳しい検査ができなかった人に活用されているという。内視鏡検査に特化した「森田内科・胃腸内科」は、大阪で早くからカプセル内視鏡を導入したクリニック。どんな流れで検査を行うのか、またカプセルが体に残ってしまうことはないのかなど、院長の森田英次郎先生に話を聞いた。
(取材日2018年3月14日)
目次
基本的にカプセルを飲むだけで、小腸全域の精密検査が可能。条件をクリアすれば大腸にも保険適応で対応
- Qカプセル内視鏡とはどのような検査ですか?
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A
超小型カメラを内蔵したカプセルを飲み込み、消化管を通過しながら腸管内部を撮影します。カプセルから体外の記録装置に画像が転送され、それをもとに観察と診断を行います。もともとカプセル内視鏡は、小腸の疾患を調べるために作られました。長い小腸は精密検査が難しく「暗黒大陸」とも呼ばれていましたが、カプセル内視鏡により入院が不要で、苦痛の少ない検査が可能になりました。2012年から、腸管の狭窄がなければ小腸疾患が疑われるすべての人が保険適応で検査を受けられるようになりました。また2014年からは大腸においても通常の内視鏡検査が困難で病気が疑われると判断されれば、保険適応でカプセル内視鏡検査が受けられます。
- Qカプセル内視鏡の具体的な流れを教えてください。
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A
前日の午後8時までに食事を済ませ、翌日来院したらカプセルを飲み、8つの電極を体に装着します。小型の記録装置を携帯し、小腸検査の方はそのままお帰りいただいて、普段どおりの生活を過ごすことができます。磁場の強い場所に行くと、画像が正確に記録できないことがあるので注意してください。午後7時頃にクリニックに戻り、記録装置と電極を返却。カプセルは使い捨てで、排便時に体外に自然排出されます。大腸検査の場合は外出ができず、カプセルが排出されるまで院内で洗腸液を飲み続けます。回収した画像データを解析し、検査結果が出るのは小腸で約3日後。大腸カプセルは前後にカメラがあり画像数が多いので、約1週間後となります。
- Qこちらのクリニックでカプセル内視鏡を受けるメリットは?
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A
日本でカプセル内視鏡の臨床試験がスタートしたのは2003年。獨協医科大学と社会保険中央総合病院(現・東京山手メディカルセンター)が臨床試験を行ったのが始まりです。小腸疾患が専門だった私は、大学からその病院に派遣され、幸運にもカプセル内視鏡の臨床試験に早期に関わることができました。厚生労働省の承認を得て、保険適用となる前からカプセル内視鏡に携わり、2010年にクリニック開院とともにカプセル内視鏡を導入しており、いわば草分け的なクリニックと言えます。当院では小腸と大腸の検査を実施していますが、開業医レベルで本格的に導入している医療機関は全国でもまだ少ないといわれ、他院からの紹介も少なくありません。
- Q小腸カプセル内視鏡が出てこないことはありますか?
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A
小腸に狭窄がある場合、カプセルが排出されない恐れがあるため、パテンシーカプセルというものを用いて、事前に消化管の通り具合を確認してから検査を行います。一方、消化管内に病変があることでカプセルが滞留するとも考えられ、アクシデントというよりも、滞留が病気の発見につながるとも考えられます。カメラは生体適合プラスチックでできており、合併症を引き起こす心配はまずありません。カプセルが滞留して出てこないときは、しばらく下剤を服用しながら経過を観察します。それでも排出されない場合は、口と肛門の近いほうから小腸内視鏡を使ってアプローチしていき、原因を探りながらカプセルの回収を試みます。
- Q大腸検査において、一般的なチューブ型の内視鏡検査との違いは?
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A
病気を探すという点ではどちらも同じですが、カプセルの動きは外部からコントロールできないため、カメラを挿入するチューブ式の内視鏡検査のように病変から組織を採取したり、その場でポリープを切除したりすることができないのが欠点です。費用も保険適用でも安くはありません。大腸カメラがうまく入らず、カプセルを希望して来られる方もおられますが、当院の大腸カメラは細さや長さなどバラエティー豊富に取りそろえ、内視鏡挿入技術には自信を持っています。他院で大腸内視鏡検査が難しかった場合でも、当院なら対応できることもあるかもしれないので、カプセル内視鏡の選択肢も含めて気軽にご相談ください。