心臓がたまに痛いのは心臓病の可能性
予防のための生活習慣病対策
かわなみ内科
(福岡市城南区/六本松駅)
最終更新日:2022/06/24


- 保険診療
胸の痛みや違和感、息苦しさなど、命に関わる心臓疾患を疑わせるような症状を感じれば誰しも怖いもの。もちろん中には気胸といった肺にまつわる病気の可能性もあるものの、自分では判断することができないため早めの受診が肝要だ。そこで循環器内科として心臓疾患の診療に携わってきた「かわなみ内科」の川浪憲一院長をインタビュー。「心臓疾患を引き起こす大きな要因の一つは高血圧や糖尿病をはじめとした生活習慣病。症状が出てからでは深刻な状況になっていることもあります」と話し、同院においては無症状のうちから治療することで、狭心症や心筋梗塞といった重大疾患の予防をめざしているという。そんな川浪院長に、心臓疾患と生活習慣病の関連性をはじめ、検査から治療についてまで幅広く話を聞いた。
(取材日2021年9月29日 情報更新日2022年6月23日)
目次
循環器内科は心臓疾患や生活習慣病の専門家。健康診断で異常値が出たらまずは受診を
- Q胸部の痛みや違和感から、どういった病気が考えられますか?
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A
▲悲観することなく、まずは気軽に相談をしてほしい
まずは命に関わる狭心症や心筋梗塞といった、心臓の血管が細くなったり詰まったりすることによる虚血性心疾患が考えられます。これも血管にまつわる病気ですが、大動脈解離・解離性大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症という病気のケースも。他には呼吸器系の病気で肺に穴が開く気胸、胸膜炎、肋間神経痛なども候補に上がるので、症状があれば検査を行い心臓に問題があるかを診断することが重要。心筋梗塞に関しては左胸の痛みだけではなく、人によっては関連痛で心臓から離れた左肩や顎、歯、胃の辺りなどに痛みが出ることがあるので、胸部に症状がないからということだけで安心はできません。心臓疾患は急変する可能性があるので早めの受診が肝心です。
- Q検査はどのような流れで行いますか? 来院のタイミングは?
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A
▲問診から読み取ることができる些細な症状も見逃さない
心筋梗塞は初回の発作で突然死することもあるので、少しでもおかしいなと感じたら受診することをお勧めします。来院いただいたらまずは問診を行い、病歴と症状を確認した上で、必要に応じて血圧、脈拍、酸素飽和度を計測。胸部エックス線検査や心電図検査、血液検査で異常所見があれば、心臓超音波検査などを実施して診断をつけていきます。場合によっては24時間心電図を計測するホルター心電図検査をお願いすることもあります。息がしづらい、息をしたら痛むなど、呼吸に連動した症状があれば呼吸器疾患の可能性もありますが、自分で判断することは難しいので、まずは専門家に相談しましょう。問題がなければ安心にもつながります。
- Q心臓疾患の原因についても教えていただけますか?
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A
▲さまざまな知識や患者の背景を考慮し、病名を特定していく
先天性のものもありますが、いわゆる生活習慣病による動脈硬化によって合併症として心臓疾患を患うケースが多いです。例えば高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、痛風、睡眠時無呼吸症候群、不眠症など生活習慣に起因するもの、加えて喫煙習慣などがあれば心臓疾患のリスクは高まります。心臓をはじめすべての臓器は血管から酸素と栄養をもらって動いているので、血管の状態を悪化させる生活習慣病は大きな要因となります。初期の生活習慣病は基本的に症状がなく、症状が出てしまう頃には深刻な状況になっていることも多々あります。知らないうちに心臓が悪くなってしまったということもあるため、無症状のうちから治療することが大切です。
- Qだとすれば日々の生活習慣の見直しや予防がとても大切ですね。
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A
▲パンフレットを用いてわかりやすく説明する
そうですね。まずは健康診断を定期的に受けて、血圧などに異常が見つかった際には早めに受診をし、心臓疾患の予防につなげていきましょう。生活習慣病それぞれによって予防策はありますが、まずは太らないこと。太るような食生活や運動習慣を続けていれば、自ずと血圧は上がり、尿酸値なども上がっていきますからね。それともう一つ、健康診断の前だけ生活を見直しているケースは要注意です。実際には悪い生活習慣は改善されておらず、本当は数値が悪いのに見過ごしてしまっていたということにもつながりかねません。健康診断は生活習慣病の治療や予防にとって一つの大きな指標なので、普段の生活のまま受診するというのも大事ですよ。
- Q先生が生活習慣病の治療で大切にしていることはありますか?
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A
▲患者との信頼関係を重視していると語る川浪先生
生活習慣病はこれまでの習慣に根差しているので、なかなか改善することは難しいもの。だからこそ一人で頑張らずに家族を巻き込むようにお話ししています。まずは検査データを家族にも共有し、体重を何キロ減らす、飲酒量をこれだけ減らすと宣言してみてはいかがでしょうか。また治療には時間もかかりますから、モチベーションを下げないように寄り添うことを重視しています。中には薬を飲み始めたら一生やめられないと考えている方もいらっしゃいますが、悪い生活習慣を改善でき血圧や血糖などの数値が安定につながれば薬をやめることは可能です。そうしたこともしっかりと伝えながら、前向きに治療に取り組めるように努めています。